永代供養とは
永代供養とは、残された家族や子孫に代わって、墓地管理者(お寺)が永代に渡りお墓を管理する供養です。
少子高齢化によって「お墓の継承者がいない」「故郷のお墓参りに行けない」といった需要が増え、お寺が管理と供養を行ってくれるお墓が増えています。
なお、永代は永遠と混同されがちですが、「長い年月」を意味する言葉であり、遺骨の安置期限が決められています。
また、永代供養墓は、合祀墓や合同墓、合葬墓、共同墓など、墓地や霊園によって名称が異なります。提供される内容に大きな差はありませんが、遺骨の安置期限や収蔵できる数などに違いがありますので注意しましょう。
永代使用との違い
永代供養と似た言葉に「永代使用」があります。永代使用とは、お墓の土地を永代にわたって使用する権利のことで、墓石を立てる際はその土地の使用料として永代使用料を支払います。
通常のお墓の場合、一度永代使用料を払えば、あとは子々孫々までそのお墓を継承することができます。
永代供養墓の特徴
永代供養墓には、従来の一般的なお墓と異なる特徴がいくつもあります。
費用の安さ
一般的に永代供養墓は、墓石の費用がかかりません。また、ひとつの土地(墓所)をシェアするかたちとなるため、一般のお墓と比べて格段に安くなります。
基本は契約時の費用のみ
基本的に永代供養墓は、契約時に費用を支払えばその後の費用はかかりません。ただし、生前申し込みの場合は、生前管理費がかかる場合もあります。
宗旨・宗派は不問
永代供養墓の多くは、宗旨・宗派を問わずに利用できます。ただ、墓地の管理者によっては、「仏教のみ」などの制限を設けている場合があります。
安置期限が過ぎた遺骨は合祀される
永代供養墓は、管理母体(お寺など)が続く限り遺骨を安置してくれるわけではありません。安置期間は墓地により異なりますが、33回忌や50回忌などの弔い上げをもって合葬墓・合祀墓に合祀されます。
つまり、数十年経つと、遺骨は他の方の遺骨と一緒に共同のスペースで合葬されるわけです。弔い上げをした遺骨は、土への埋葬や、納骨堂で遺骨の一部を残すなどのかたちで方法で供養されます。
永代供養墓のイメージはシェアハウス
永代供養墓と一般のお墓の違いは、大きく2つあります。
1つ目は、永代供養墓では、他の家族の遺骨も一緒に安置されること。
2つ目の違いは、子や孫がお墓を継承しなくても、霊園や寺院が代行して管理・供養してくれること。
例えるなら、一般のお墓が一軒家であり、永代供養墓はシェアハウスや寮とイメージすればわかりやすいでしょう。
永代供養にかかる料金の内訳
永代供養にかかる料金の主な内訳は、永代供養料とお布施、刻字料の3つです。一つずつ請求される場合もあれば、セット料金で支払う場合もあります。
永代供養料
永代供養料は、永代供養墓の維持・管理、故人の供養にかかる費用です。多くの場合、永代供養料のなかに墓所使用料が含まれます。
永代供養墓は大きく分けて「単独墓」「集合墓」「合祀墓」の3種類があり、どのタイプかによって永代供養料も変わります。
とくに合祀墓は、遺骨を全て合同の墓所に埋葬する形式で、各種永代供養のなかでも経済的負担が軽く、3~10万円が相場となります。ただし、他の人の遺骨と混ざってしまうため、遺骨の返還ができない点は注意が必要です。
お布施
永代供養墓でもお布施を渡す場合があり、納骨法要(お墓に遺骨を納骨する儀式)の際、僧侶に渡します。
相場は3万~5万円が目安です。また、単独墓で開眼供養などを行う際は、さらに金額を上乗せする必要があります。霊園によっては、お布施代が永代供養料に含まれている場合もあります。
刻字料
刻字料は、石碑や墓誌などに故人の名前を彫るための費用です。多くは永代供養料に含まれますが、追加料金になっている場合もあります。刻字料は3万円ほどが相場です。
永代供養墓で追加費用が発生する場合
永代供養に追加費用は発生しないと思っていたのに、後々に別途で費用を請求され、トラブルに至るケースが頻発しています。ただ、決して不当な請求ばかりではなく、多くは事前の確認で防げる問題です。
刻字料
前述のとおり、刻字料は別途料金となっている場合があります。また、戒名をつけてもらうと、別途でお布施が必要になります。
個別法要
永代供養墓の多くはお盆やお彼岸などに合同法要を行いますが、これとは別に個別で回忌法要を希望する場合は費用が発生します。
読経のお布施として一周忌法要で3~5万円、三回忌法要で1~5万円程度が相場となり、会場の使用料なども必要となります。
年会費などの継続的な費用
永代供養の追加費用として最もトラブルになりやすいのが、継続的な料金体系です。基本的に永代供養は一括の支払いで済むところがほとんどですが、堂内墓などでは継続的な費用が発生する場合もあります。
まず、永代供養墓を生前に契約した場合です。契約者(納骨予定者)が存命中は、年間で数千~2万円程度の年会費が発生することがあります。
もうひとつは、檀家になることを条件に永代供養墓を提供する寺院です。このケースでは入檀料や護持会費など、一般的なお墓を持つのと同じように継続的な費用が発生します。
いずれの場合も、契約前にしっかりと料金体系を確認しておきましょう。
まとめ
永代供養墓は、家族や子孫に代わって寺院がお墓の管理・供養を行ってくれる上、一般的なお墓と比べて費用を抑えられます。しかも、大半の永代供養は一括の支払いのみで、後々の費用は発生しません。
その一方で、個別法要や戒名へのお布施、存命中の年会費などで別途請求を受けてトラブルに至るケースがあります。
いずれも事前の確認を徹底すれば防げる費用ですので、トラブルとならないよう気をつけましょう。