2025年には6人に1人が一人暮らし!おひとり様支援はどうなっていく?

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はじめに

国立社会保障・人口問題研究所が公表した直近の将来推計によれば、2025年の単身世帯(一人暮らし)は、2015年より8.4%増えて1996万世帯になるとみられています。
つまり「6人に1人強が一人暮らし」になる計算です。

そういう状況下でのおひとり様支援について、どのようなシステムがあるのか紹介します。また、成年後見制度や信託など、一人で死んだときの支援や、サービスについても検討します。

民間会社の見守りサービス

民間会社の見守りサービスにもいろいろな種類があり、自分に合ったシステムを選ぶことができます。民間の見守りサービスは、まだ元気で、自立して生活できる人が対象です。

見守りサービスには、主に「訪問型」、「センサー型」、「カメラ設置型」、「宅配型」、「オート電話とオートメール型」などの種類があります。民間企業のサービスは全額自己負担なので、ご自身の生活状況に合わせて選ぶことを勧めます。

訪問型のサービス

訪問型サービスは、郵便局や水道、そして電気など地域と密接に関係している会社が提供しています。郵便局の見守り訪問サービスは、以前から行なわれていて、広く認知されています。

郵便局の見守り訪問サービスには、見守り電話(自動音声)と、駆けつけサービスのシステムがあります。見守り電話は体調の把握ができるシステムで、駆けつけサービスは、内容によっては消防への通報も行います。

センサー型サービス

センサー型のサービスは、セコムなど警備会社では動線上に設置したセンサーの反応により安全確認をします。一定期間センサーの反応がないときは、自動的にコントロールセンターへ異常信号が送られる仕組みになっています。

最近では、家電類の使用頻度から、安全確認ができる電気ポットや電気ジャーなどがあります。また、ガス会社や電気メーカーなどでも、ガスの使用や照明などを通じて、離れて暮らす家族が安全を確認できるサービスを行なっています。

カメラ設置型サービス

警備会社などが実施しているサービスで、カメラの映像はスマートフォンやPC、タブレットなどで確認できるシステムです。カメラ設置型のサービスは、緊急時の呼びかけにも答えてくれるのが特長です。

実際の姿を確認できるので安心ですが、24時間365日監視されるのを嫌う人もいます。それでも、深夜の転倒などでも駆けつけてくれる安心感はあります。

宅配型サービス

宅配サービス型見守りは、食事の宅配を行なうことで高齢者の安全を確認するシステムです。主に平日の決まった時間前後に食事を宅配し、会話を通じて健康状態などを把握しています。

食事の宅配時に安全確認を行なうものですが、訪問サービスと似ているサービス形態です。

オート電話とオートメール型サービス

オート電話サービスでは、決まった時間に自動で電話がかかり、健康状態などを自動音声で尋ねるシステムです。いくつか回答が用意されていて、プッシュボタンで答える仕組みなので簡単です。また、オートメールでの安全確認も、返信するだけで済みます。

各自治体の見守りサービス

民間企業だけではなく、自治体でも独自の見守りサービスを行なっています。緊急時の通報機器の貸し出しや、食事の提供を行なっている自治体もあります。近頃ではNPOと自治体が連携して、見守りサービスを行なう地域もでてきました。

見守りサービスの内容は、それぞれの自治体ごとに違っています。お住まいの地域ではどんな見守りサービスがあるのか、一度確認してはいかがでしょう。どのようなサービスが行なわれているのか、把握しておくのも必要なことです。

老後の財産管理への不安

老後の不安を解消し、手助けしてくれる制度の一つに、成年後見制度があります。

一人暮らしでも、まだ若いときは、あまり老後のことなど気にならないもので、どうにかなるだろうと軽く考えてしまう人が多いものです。しかし、親を見送る年齢になってくると、だんだん自分の老後のことが心配になってきます。

成年後見制度は、自分の財産管理を手助けしてくれるシステムの一つです。成年後見制度のメリットとデメリットも含めて、詳しく説明します。

成年後見制度

成年後見制度は、高齢になって自分の財産を管理できなくなる前に、財産の管理を行なう人を選んでおく制度です。また、生活していく上での補助や支援も同時に行えるようになります。

成年後見人が必要な対象者は、認知症や精神障害と知的障害があり、財産管理や契約などの判断ができなくなっている人です。この制度を使うことで、不利益な契約を結ぶことを回避できます。

成年後見制度の後見人の選び方には、「法定後見制度」と「任意後見制度」の二つの方法があります。法定後見制度と任意後見制度の大きく違う点は、法定後見制度は家庭裁判所が後見人を選任し、任意後見制度は自分で後見人を選ぶことができる点です。

法定後見制度は判断能力が衰えている人が対象で、任意後見制度は自分で判断できる人が対象です。

法定後見制度

法定後見制度は、本人や配偶者、または四等親内の親族及び検査官が申し立てを行なうことができます。本人や配偶者、または四等親内の親族及び検査官の申し立てで、家庭裁判所が審判で法定後見人を選任することになります。

この制度には、保護人の状況などによって、「成年後見人」と「保佐人」そして「補助人」の3つのなかから選ぶことができます。法定後見人制度の下で、本人に不利益な状況の契約なども、後で取り消すことが可能になります。
ただし、本人の申し立て以外に保佐人や補助人に同意権や代理権を与える場合は、本人の同意が必要です。

また成年後見人は、保護人に関する事柄について、その都度家庭裁判所に報告する義務があります。不動産に関しても、重要な事柄には裁判所の許可が必要ですし、成年後見人を監督する「成年後見監督」の選任が行なわれたりもします。

また、法定後見人だからといって何でもできるわけではなく、権限のない事柄もあります。

*後見人ができないこと
・戸籍に関する、すべての変更と認知
・遺言書を作成すること
・軽度の診察や緊急処置を除いた、医療行為への同意

法定後見人はとても重要な役目を担います、安易に誰でもなれるわけではありません。法定後見人になれない人の基準も、あらかじめ決められています。

*法定後見人になれない人
・未成年
・家庭裁判所から解任されたことがある、法定後見人、保佐人、補助人
・破産者
・行方不明者
・本人に対して起訴をしている者と、配偶者やその直系の血族

任意後見制度

任意後見制度は、まだ自分で判断できる元気なうちに、認知症などで判断能力がなくなったときの後見人を自分で選ぶ制度です。自分で選んだ任意後見人と、公証役場で公証証書によって任意契約を結ぶことになります。任意後見人に自分の生活及び、財産管理や療養看護にかかわる事務手続きの代理権を与える任意契約です。

本人の判断能力が著しく低下したときに、裁判所が選任した任意後見監督者の管理のもとに適切な契約を結びます。任意後見人についても、その任に適さない人が決められています。

*任意後見人になれない人
・未成年
・破綻者
・行方不明者
・家庭裁判所から解任されたことがある、法定後見人、保佐人、補助人
・本人に対して起訴をしている者と、配偶者やその直系の血族
・任意後見人には適さない事例がある人

*任意契約公正証書作成に必要な料金
基本の手数料 11,000円
登記嘱託手数料 1,400円
登記所に納付する印紙代 2,600円
その他 公布する正本代金と郵送などの切手代

後見制度のメリットとデメリット

どのような制度にも、メリットとデメリットは必ずあり、後見制度についてもそうです。自分の老後のために、そのメリットを活かし、デメリットをいかに最小限に抑えられるかがカギになります。メリットとデメリットを正確に把握しましょう。

メリット

法定後見制度では家庭裁判所が法定後見人を選任し、適切と判断した人を決めます。選任された法定後見人の下で財産の管理や保護がなされ、不利な条件での契約などを回避できます。また、相続の事案が生じても、財産を容易に把握できるメリットがあります。

任意後見人の場合は、法定後見人のメリットに加え、自分で任意後見人を選任でき、複数人に分けて権利や権限を分けることができます。任意後見制度では複数人に分けることで、リスクの軽減ができるのが一番のメリットです。

デメリット

成年後見制度のデメリットは、手続きの複雑さと、ときには選任された人が、勝手に自分の財産を処分したり、財産を使い込むことを阻止できない点です。

民事信託や家族信託

民事信託とか家族信託という言葉は、普段あまり聞くことがなく、なじみのない方も多いと思います。他に頼り託す信託という方法は、一人暮らしの人にとって、心のより所になる新しいシステムです。

家族信託(民事信託)では、信頼できる家族や親族などに、自分の財産管理や亡くなった後のことを託すことができます。たとえば、ペットを飼っている場合、自分が亡くなった後に人を指定してペットの飼育を頼むこともできます。

また、持ち家があっても、年を取って一人暮らしができなくなり、施設に入所することがあります。その際に、自分で家の処分や管理ができるのか、亡くなった後の自宅のことも含めて決めておけます。

さまざまな不安な出来事を信託できますが、費用もそれだけかかり、かなりの出費になります。家族信託(民事信託)は財産に関しての信託は可能ですが、契約などの身上監護権のような権利はありません。

信託業務には遺言信託もあり、財産の把握や遺言書の作成も手伝ってくれます。信託という形は、今後、私たちの暮らしをいろいろとサポートしてくれるシステムの一つといえます。

一人暮らしの人にとってのサポートはさまざま

年齢に関係なく、単身世帯で暮らしている人(一人暮らし)が多くなっています。いつまでも元気で生活できたら幸せですが、明日何が起こるのか、誰にもわかりません。いつ何が起きてもいいように、いろいろと知って準備しておくことも、一人暮らしの人には必要です。

一人暮らしの人にはさまざまなサポートやサービスがあり、一人でも安心して暮らせる状態をつくりやすくなっています。自由に、そして安心して暮らせるサポートを選びましょう。