はじめに
日本では冠婚葬祭にかかる費用が高額になりやすく、大規模な物だと数百万円以上も負担しなければいけない場合もあります。
特に葬儀は急を要する事も多いので、事前に準備をしておかないと突然の支払いに対応出来ない可能性もあります。
そこで今回は、そういった冠婚葬祭にまつわる経済的負担を軽減してくれる互助会について解説していきます。
互助会とは
互助会とは「冠婚葬祭互助会」の略称であり、このシステムに加入する事によって毎月掛金を支払う代わりに、結婚式や葬儀などの冠婚葬祭に関わるサービスや費用の補助を受ける事が出来ます。
互助会については日本全国で約250社あるとされていますが、その取りまとめ役である業界団体や統括団体も同じく複数存在している事から、互助会という言葉自体は特定の企業や団体を指している訳ではありません。
互助会の仕組み
互助会は加入している会員から毎月掛金を徴収する事によって、冠婚葬祭の設備投資や備品の購入などを行っています。会員は掛金と引き換えに結婚式や葬儀などを安価で実施出来るだけでなく、積み立てを完了すれば逝去するまで互助会のシステムを利用可能になるというメリットがあります。
このような仕組みは共済や保険と似ていますが、互助会の場合は掛金を現金としてではなく、各サービスとして受け取るという違いがあります。なので、互助会は積立貯金のような仕組みではないと認識しておきましょう。
互助会の費用
互助会の費用については主催している企業や団体によって違っています。
ただ一般的には数年かけて約20~60万円を積み立てる事が多いので、月々の掛金は1,000~5,000円程度が目安になります。
また仮に積み立てを行っている最中に亡くなった場合は不足金を支払う事によって積み立てを完了した場合と同じサービスを受ける事が出来ます。
互助会の歴史
互助会の歴史は古く、最初の互助会は1948年に設立されたと言われています。
当初は戦後すぐという事もあり日々の生活もままならない人が多い中、冠婚葬祭にかかる経済的負担は今以上に大きく庶民にとっては悩みの種でした。
そのような背景から互助会による互助のシステムはすぐに社会に受け入れられ、日本全国に拡大していきましたが、その人気を利用した悪徳ビジネスや詐欺が流行した事から、1972年には許可制事業に指定され経産省の許可がなければ互助会を設立する事はできなくなりました。
互助会のメリット
互助会には以下のようなメリットがあります。
負担の軽減
互助会に加入する事のメリットとしては冠婚葬祭にかかる費用などの負担軽減が挙げられます。
積み立てを完了すれば一般的に相場よりも非常に安価に各儀式を行う事が出来ますし、その権利は自分が死ぬまで半永久的に持続します。
またプランによっては積立金を仏壇などの仏具の購入費に充てる事も出来ます。
安定した運営
互助会は全国展開している場合が多いので、仮に仕事などで引っ越す事になっても一貫して同じサービスを受ける事が出来ます。
また互助会は加入者から徴収した掛金で設備投資を行っているので、互助会が所有する葬儀場などは質が高いというメリットもあります。
充実したサービス
互助会の一部サービスは加入者の家族でも利用可能な場合が多いので、子供がいる加入者は初節句や七五三などでもサービスを受ける事が出来ます。
互助会のデメリット
一方で互助会の仕組みにはデメリットもあるので、しっかりと把握するようにしましょう。
選択肢の種類
一般的に互助会を通して冠婚葬祭を実施する場合は形式や会場が事前に決められているので、自分の要望に合わせてカスタマイズする事は出来ません。
また最近では小規模な結婚式や葬儀が定着しつつありますが、互助会では対応していない事も多いので、冠婚葬祭を質素に執り行いたい人にとっては互助会に加入するメリットは少ないです。
掛金の使い道
互助会に支払う掛金は、積み立てが完了しても各種保険のように現金で付与される訳ではなく、結婚式や葬儀などのサービスとして受け取る事になります。
また仮に互助会を通さずに冠婚葬祭を行ったとしても、それまでの積立金が払い戻される事はないので、掛金の使い道は限定的になってしまいます。
高額な解約手数料
互助会に加入した後、契約を解約しようと思うと解約手数料を支払わないといけないのですが、この手数料を非常に高額に設定している互助会が一部存在します。
また一般的な互助会でも掛金の総額に対して約1~2割の金額が請求されるので、加入の際は解約手数料をしっかりと確認するようにしましょう。
互助会に関するトラブル
互助会は冠婚葬祭に大きなお金をかけたくない人にとっては大きな助けとなりますが、一方で互助会のシステムや契約に関するトラブルが近年頻発しており社会的にも問題視されています。
特に多くの互助会が非常に高額な解約手数料を設定していた事から、2013年には消費者問題としてマスコミなどで取り上げられ官民一体の研究会が発足しました。
また2015年には互助会の解約手数料の違法性についての裁判が最高裁判所までもつれ込みましたが、最終的には「会報発行料と集金費用を超える分は取ってはならない」として消費者有利の判決が下されました。
この判決以降、解約手数料を値下げする互助会が増えつつありますが、実際には法の抜け道を活用する事によって手数料を水増ししたり、手続きを複雑にする事によって解約を難しくしている互助会も存在しています。
また
互助会に加入する際の注意点
上記のように互助会への加入はメリットがある一方で、解約手数料や契約の相違などのトラブルも起きやすいので、加入する前にしっかりと契約書やサービス内容を確認するようにしましょう。
また、そもそも結婚式や葬儀に対する興味が薄く、小規模な物で済ませたい人は自己資金だけでも実施出来る場合が多いので、自分の冠婚葬祭に対する考え方や資産状況なども踏まえて加入するかどうかを判断する事が大切です。
ただ地域によっては大規模な冠婚葬祭が習慣として残っている所もありますし、そういった地域で自分一人の判断で結婚式や葬儀のやり方を変えてしまうと要らぬトラブルに繋がる可能性もあるので、互助会のメリットは大きいと言えます。
まとめ
今回ご紹介した通り、互助会に加入する事によって冠婚葬祭にかかる費用や手間を軽減する事が出来ます。
ただ費用が全額補助されるという訳ではないですし、解約金などのトラブルが発生する事もあるので、自分のライフスタイルや冠婚葬祭に対する希望などを踏まえて慎重に検討してから、加入の判断をするようにしましょう。