デジタルデータはこれからのエンディングノートの必須項目

この記事は約6分で読めます。

現代では連絡先や写真など、ありとあらゆる物をデータとして保存する事が一般的となりましたが、その分自分の死後にデータをどう扱えばいいかをエンディングノートなどを通して伝える事が大切になってきます。

そこで今回は終活におけるデータの扱い方について詳しくご説明していきます。

データの管理の必要性

デジタルデータはこれからのエンディングノートの必須項目

20年ほど前までは友人の電話番号や住所はメモ帳に書き、撮った写真は現像してアルバムなどに保存するのが当たり前の時代でした。

しかし今となっては、日常に関係するありとあらゆる事がスマートフォン1台で関係する時代です。人によってはスケジュールの管理やお店での支払いもスマートフォンで済ませてしまうので、スマートフォンがなければ生活が出来なくて困ってしまう人も多いのではないでしょうか?

そしてスマートフォンはパスワードや指紋認証によって厳重にロックされているので普段は安心かもしれませんが、あなたが亡くなった後遺族の方がそのスマートフォンの中にあるデータを取り出そうと思っても、パスワードなどを知らなければ解除する事は出来ません。

なのでスマートフォンやパソコンに大量のデータを保存している人こそ、自分の死後のデータの扱いについてしっかりと考える必要があります。

終活とデータの関係性

仮にあなたが亡くなると、遺族は故人の友人などに訃報の連絡をする事になります。その際に手書きの住所録やメモ帳があればそれを見ながら連絡出来ますが、もし全ての連絡先がスマートフォンに入っている場合は、そのスマートフォンのロックを解除しなければいけません。

では、遺族の誰もパスワードを知らずロックが解除出来ないとどうなるのでしょうか?

もちろん携帯会社やメーカーはパスワードを教える事は出来ませんし、エンディングノートや遺書に記載がなければ解除する方法はないので、誰にも連絡出来ない事になってしまいます。

またスマートフォンで月額サービスを利用している場合は解約しないと不要なお金が請求され続けますし、ネット銀行の口座やECサイトのアカウントも整理しないと不正アクセスを受ける可能性もあります。

このように個人の死後にやらないといけない事は多いですが、パスワードなどが分からなければ遺族は何も出来ないので、終活を通してデータやパスワードの整理を行わなければいけません。

データの管理方法

デジタルデータはこれからのエンディングノートの必須項目

データやパスワードの管理方法には以下のような種類があります。

エンディングノート

エンディングノートは自分の葬儀や遺産の事だけでなく、データの処理やパスワードなどについて記入しても問題ありません。

特にオンライン上で記入が出来るエンディングノートであれば保管場所を忘れてしまう心配をしなくていいですし、書いた内容が自動保存されるのでうっかりで消えてしまうという事もないです。ただそういったサービスにログインするためにはメールアドレスやID、パスワードが必要な事が多いので、それらを遺族に伝える事は忘れないようにしましょう。

紙媒体

市販されているエンディングノートやメモ帳に手書きでパスワードなどを書き出していくのも一つの方法です。

ただし、紙媒体にパスワードなどを記入する場合は保管場所に気を付けましょう。目につくような場所に保管していると、誰かに盗み見られたり写真を撮られて悪用される危険性があります。なので自分だけが分かる場所や小さい金庫などに入れておくと安心でしょう。

物理メディア

今は色々なサイトのパスワードを一括で管理出来るソフトが市販されているので、そういったソフトを活用している人も多いと思いますが、その場合ソフトを入れているスマートフォンやパソコンが破損するとデータもまとめて消えてしまう可能性があります。専門の業者に依頼する事でデータを復旧出来る場合もありますが、100%成功する保証はないですし時間もお金もかかるので、そういった時のためにパスワードに関するデータをUSBやCD-Rのような物理メディアにコピーして保存しておくと良いでしょう。

ただ物理メディアには以下のような欠点があるので注意して下さい。

寿命

物理メディアには寿命があるので、データを永久に保存出来る訳ではありません。

特に直射日光や高温多湿には弱く、気を付けていても5~10年程度でデータが読み取れなくなる事が多いので、数年ごとに新しい物理メディアに乗り換えるようにしましょう。

再生機器

USBもCD-Rもパソコンのように再生するための機械がないと使用出来ません。特に最近のパソコンはそういった機能を搭載していない事も多いので、家に1台もない場合は故人が使用していたパソコンなどは処理しないようにしましょう。

また寿命の問題もあるので、あくまで物理メディアは補助的な物として考えておく事をオススメします。

クラウドストレージ

クラウドストレージとはインターネット上にファイルを保存・共有出来るように設計されたサービスの総称です。もちろん、実際には世界中に存在するサーバーにデータが保存される訳ですが、基本的にはインターネットさえ繋がっていればどこからでもアクセスする事が出来るので、非常に使い勝手が良いというのが特徴です。

なので写真や動画データだけでなくパスワードに関するデータもクラウドストレージに保存しておけば利便性を高めつつ管理の負担を減らす事が可能です。

ただしクラウドストレージに保存するデータの容量によっては金額が高くなってしまいますし、場合によってはサービスが終了してしまいデータが取り出せなくなる可能性もあるので、しっかりと比較してから利用するサービスを選びましょう。

データを管理する時の注意点

デジタルデータはこれからのエンディングノートの必須項目

遺産と同じく、あなたの死後にデータの整理を行うのは遺族の人たちです。その中には故人が使用していたサービスを解約したり、写真や動画データを他の端末に移す作業も含まれます。そして、その作業の殆どはロックを解除したりサービスにログインしてからでないと行えません。

なのでデータやパスワードを保存する際は後々の事まで考えるようにしましょう。

データを整理する人の事を考える

自分の死後にデータを整理する人によってはパソコンの使い方が分からなかったり、物理メディアを再生するための機械を持っていない可能性も考えられます。なので、あなたのデータを整理する人の事を考えて、その人に一番負担がかからない方法でデータを保存するようにしましょう。

また電子機器に疎い人だと専門用語や横文字が理解出来ずに困ってしまうケースも多いので、エンディングノートなどにデータの扱い方について書く際はなるべく誰でも理解出来るように簡単な言葉で説明するようにする事をオススメします。

データの断捨離をする

終活の際にデータをまとめたり整理していると、全く使っていないサービスが出てくると思います。そういった場合は、事前に解約やアカウントの削除を行っておくと、自分の死後にデータを整理する人の負担を減らす事が出来ます。

パスワードを忘れている場合は作り直す

オートログインが可能なサービスだと、IDやパスワードを入力する必要がないので忘れてしまっている事があります。基本的にはどのサービスでもIDやパスワードを忘れた場合に復旧するための機能が備わっているので、もし思い出せない場合は新しく作り直すようにしましょう。

まとめ

ご紹介した通り、今はありとあらゆる物やデータがスマートフォンのようなデジタル機器に集約され、パスワードによって厳重に守られています。

しかしパスワードやロック解除の方法をしっかりと残しておかなければ、訃報を誰にも知らせる事が出来ないですし、ハッキングや乗っ取りによって遺族が不正請求を受けるリスクなども高まってしまいます。

だからこそ生前の段階からデータの扱い方についてしっかりと考え、もし自分に何かあったとしても遺族が困らないように対策をしておきましょう。