生前契約をしていた葬儀社が倒産!いったいどうなるの?

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葬儀の生前契約とは?

葬儀の生前契約とは、自分自身の葬儀の内容や予算、葬儀会場などをあらかじめ決定し、葬儀社と予約契約を結んでおくことです。

生前契約を行う葬儀社は葬儀会社、冠婚葬祭互助会などがあります。

契約できる葬儀内容

契約できる葬儀内容では、葬儀の形式、葬儀規模、葬儀会場、その他の細かい希望などです。

葬儀の形式では、「一般葬」、火葬のみ行う「直葬」、家族のみで行う「家族葬(密葬)」などで、宗教形式では、日本で大半を占めるのは「仏式」の葬儀ですが「キリスト教式」「神式」などの葬儀を選ぶこともできます。その他の細かい希望では、死亡を伝えて欲しい人、葬儀の演出などです。

葬儀の生前契約の流れ

葬儀の生前契約のおおまかな流れとしては、葬儀社を選ぶ・葬儀内容を相談決定・契約を結ぶの3つの段階になります。

葬儀社の選択では、生前契約のサービスを提供している業者の話を聞き内容を比較検討し、見積りを出してもらってサービス内容や価格を比較した上で利用する業者を決めます。

業者と相談しながらどのような葬儀にしたいのか、葬儀の形式や遺影の写真など具体的に内容を決定。納得ができたら業者と契約を締結し葬儀を委託します。

その際死後の葬儀や埋葬に関する事務の代理権を与える「死後事務委任契約」を結んでおくと死後の仕事がスムーズに運びます。希望通りの葬儀内容で葬儀が行われるように「公正証書遺言」を作成しておくことも可能です。

葬儀費用の支払いはいつ?

生前契約の場合、葬儀料金の支払方法は次の3つです。

・契約時に前払い
・葬儀後に後払い
・葬儀信託を利用して葬儀後に精算

その他、生前相談ができる会員制度を設けている葬儀社もあります。会員になることで、実際に葬儀を行うときにさまざまな特典を受け取れます。たとえば葬儀料金が10~20パーセント程度安くなる場合や、お見舞金が出たりするなどです。会員制の費用では無料から入会金1万円程度まであります。

葬儀の生前契約のメリット・デメリット

ここで葬儀の生前契約についてのメリット・デメリットを確認しておきましょう。

葬儀の生前契約するメリット

生前予約のメリットは主に以下の3つです。

・自分が亡くなったあとの葬儀を任せられる
・本人の希望に沿った葬儀ができる
・ある程度の費用目安を把握できる

生前契約は子どもに葬儀の負担をかけたくないという人や、「おひとりさま」で誰も自分の葬儀をしてくれそうもないという人にとっては、自分が亡くなったあとの葬儀のことを任せられ、安心できる点がメリットです。

また葬儀は、多くの場合急な出費となります。生前予約であれば、想定する規模や内容の葬式を執り行う場合に、どの程度の費用が必要となるかを事前に把握できるので安心です。

葬儀の生前契約するデメリット

メリットと合わせて、デメリットも3つ紹介します。

・遺族が生前予約を知らなければ実行されない
・遺族の思い描く葬式との食い違いでトラブルとなるケースがあり得る
・業者が倒産してしまう可能性がある

まず本人が生前予約をしている事実を遺族が関知しない場合、遺族から葬儀社への連絡がなされず、予約内容が履行されないままとなってしまう危険性があります。

また生前予約した葬式の内容が、遺族の思い描く葬式とかけ離れているような場合には、遺族と葬儀社との間でトラブルとなることも考えられます。

万が一生前契約した業者が倒産した場合、葬儀費用を事前に支払っておいたにもかかわらず、業者が破綻してしまうと無駄になってしまう恐れがある点も覚えておきましょう。

生前契約する場合の倒産などに対応する予防策

葬儀の生前契約する場合の特別の社会的な保証制度はありません。ただし、業者により信託制度による保全システムがあるので確認していきましょう。

葬儀社による信託会社提携

葬儀社の信託会社との提携による信託制度の活用があります。前払い金は将来、葬儀が執り行われるまで投資運用はせず、専用の銀行口座で管理されます。信託会社が葬儀費用を管理しているため、仮に葬儀社が倒産した場合でも、信託法23条及び25条並びに信託契約の定めにより全額保全されています。

葬儀社は信託会社との間で、「葬儀費用保全信託契約」を結んでいます。必要な手数料は、信託会社の手数料20,000円(税別)と預り金額が50万円未満の場合は、預り金額の4%(消費税別)となっています。

冠婚葬祭互助会の前払い金保証制度

冠婚葬祭互助会とは、加入者が毎月一定額の掛金を前払金として払い込むことにより、冠婚葬祭の儀式に対するサービスが受けられるというシステムです。

加入者から前払いされた前受金は、主として結婚式場や斎場を建設する費用や維持費などに当てられる他、儀式に必要な各種の衣裳や祭壇などの備品を購入することなどに使われています。葬儀の生前予約については、冠婚葬祭互助会の契約そのものであるとも言えます。

冠婚葬祭互助会については前受金保全制度があります。消費者保護の観点等から、加入者が結婚式や葬儀に利用するまでの間、冠婚葬祭互助会が預る前受金は、割賦販売法によって前受金の1/2を保全することが義務づけられています。

まとめ

葬儀の生前契約とは、自分自身の葬儀の内容や予算、葬儀会場などをあらかじめ決定し、葬祭業者と予約契約を結んでおくことです。

現状、葬儀の生前予約をしても、葬儀社との葬儀契約については契約内容や前払い金を保証するための法的システムがないのが実情です。ただし、冠婚葬祭互助会に対する割賦販売法に基づく前受け金の2分の1の保全の制度はある点を覚えておきましょう。