いったい幾らかかるのお葬式

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誰もがタブー視してしまう葬儀の話

葬儀は「死んだ人に対して…」という後ろめたさがあるものの、心の中では「安く、早く、簡素に済ませたい」という気持ちがあるかも知れません。
しかし、なかなか口にできないという経験があるのではないでしょうか。

自分が喪主でないとしても、葬儀自体に何がどう料金が発生するのか、詳しく知りたくても「感情に流されて足元を見られてしまうのでは」と考えればきりがありません。
しかし「正しい葬儀の情報と知識を持つ」ということは、やはり人生において大切なこととなるでしょう。

亡くなった人を含め、残された人やその家族のためにも、葬儀について知っておくことはとても大事なことです。

この記事では、葬儀の費用と種類について解説していきます。

葬儀の種類と相場

2020年「第4回お葬式に関する全国調査」によると、葬儀費用の平均は約149万3,624円です。
全国都道府県、その地域によって値段の差は出るものの、おおよその相場として知っておくことは大変心強いでしょう。

大まかに分けると、葬儀には以下のものがあります。

一般葬

地域や風習などのしきたりに沿って、故人を手厚くもてなしたい方に向いているのが「一般葬」です。
家族や親族のみならず、生前から関係のあった方々も葬儀に来てもらい、華やかにお見送りをしたいという気持ちに沿った葬儀です。

マイクロバスを用意して送迎してもらうこともでき、30人以上を葬儀に呼べ、食事や祭壇も工夫を凝らしたものを用意することが可能です。
また、僧侶に読経してもらうので、そのお値段も含めます。

一般葬の全国平均金額は149万円(2020年)ですが、儀式の内容は細かなアレンジが可能なので、葬儀会社と相談の上、値段を大幅に抑えることもできるでしょう。
また、葬儀に来てもらった方々へのご飲食として、一人当たり2000円から5000円はかかると見ておく必要があります。

一般葬の流れは「お迎え→ご安置→お通夜→告別式→初七日→火葬」となります。

家族葬

規模を極力小さく行いたいというものが「家族葬」です。
故人が亡くなって、バタバタと慌ただしく葬儀が終わるのではなく、じっくりそばにいて見送りたいと希望する人に向いている形式です。

その名の通り、家族や親族、特に親しかった知人や関係者で執り行われるものなので、まさに「静かに、ひっそりと」葬儀が進められるでしょう。
家族葬の値段も一般葬同様に、葬儀会社によって大幅なアレンジが可能です。

会食の費用や祭壇の花の種類などを、必要最小限に抑えられるのもメリットの一つです。
過去に家族葬を行ったおよそ4割が、50万円~100万円の費用で行なわれています(家族葬の全国平均は113万円となります)

直葬

火葬は、基本的に葬儀を省略して火葬場へと故人を弔うことです。
しかし、故人が亡くなった際、その場所から個人を火葬場へ搬送して納棺・安置する作業が発生するので、必然的に葬儀社への依頼という形で進行することになります。

故人の死亡通知書を提出した上で火葬の許可が出るため、手続き一切に関わる費用や手間も、それなりに発生することを覚えておく必要があります。
また、火葬場で僧侶を呼んで読経し、直葬を行う人も年々増加しています。

直葬にかかる費用の平均は、約30万円です。
およそ9割の人が火葬を50万円以下で行っているので、参列者のいない分、食事代や人件費を抑えられた結果ともいえるでしょう。

一日葬

一日で葬儀と告別式を行い、あえてお通夜をしないシンプルな形の葬儀です。
お通夜を行わないため、参列者もかなり少なく抑えられ、ほぼ家族などの身内で済ませるという人も多いです。

お通夜の際に必要な料理や飲み物といった準備の必要もないため、準備する側の負担も軽いのがメリットと言えるでしょう。

社葬・合同葬

主に企業の創業者や地位の高い人が亡くなった際に、会社が主体となって行われる葬儀のことです。
この場合、想定外の事故などで殉職した場合も当てはまります。
また、一社のみならず複数の企業がともに葬儀を行うこともあり、それは合同葬と言われます。

家族や近親者が、家族葬や密葬で先に葬儀を済ませてから、社葬や合同葬を行うというケースも多々あります。

社葬と合同葬で注意が必要なのは、一般的に社葬は企業が葬儀の費用を負担しますが、合同葬は故人の家族と企業とで負担すると考えたほうがよいという点です。

亡くなった故人の会社が大きく、また故人の立場が重要な地位であった場合などはその葬儀費用はかなり大きくなります。
しかし、会社からその費用を出す上、損金(企業の収益から、損失の金額として差し引くことができるもの)として扱えます。

合わせて、遺族側も相続税対策として、葬儀の費用を控除対象とできるのです。

葬儀にかかる接待費用の内訳

「飲食接待費」とは、故人が亡くなってから、お清め・お通夜・葬儀・告別式(その間にかかる飲食を含む)、香典返しなど、これらの諸費用のことです。
葬儀の内容を取り決める際に、飲食接待費を葬儀会社との間で見積もりしても、当日の葬儀参列者の増減により実際の請求と差額が発生する場合もあります。

これらは、葬儀全体の2割~3割の費用を占めると考えられ、飲食の内容や香典返しの種類によっても金額が大きく変わってきます。

通夜振る舞い

その名の通り、お通夜に参列してくれた人たちへ振る舞う食事のことです。
故人の供養のために、弔問客へ食事やお酒を振る舞うという習慣です。

通夜振る舞いは、食事をする人の人数が確定しにくいという場合が多いので、あえて軽食やお茶菓子などで済ませるケースもあります。

精進落とし

葬儀や告別式の後や、火葬の最中、またはあとに提供される食事は「精進落とし」と呼ばれます。
精進落としは、通夜振る舞いのときの食事とは違い、参列する人数がほぼ分かるので、一人ひとりが食べられる形の仕出し弁当やお寿司、懐石料理などが提供されます。

注意点として、通夜振る舞いも精進落としも共に参列する人がいることを想定して、同じ内容の食事を提供しないようにしなければいけません。

なお、一人分の食事代は5000円前後と考えても良いでしょう。
その際、お酒代は別途発生します。

宗教者へのお礼

故人の所属する宗教や宗派にもよるものの、葬儀に宗教者を呼んでかかる諸費用のことです。
○○教の○○派、など千差万別ですが、一般的に宗教者へは葬儀を通して行われた読経・戒名授与によるお布施・往復の交通費などが発生します。

これらは葬儀会社とは関係のないもので、喪主と宗教者との間で直接支払われるものとなります。
しかし、これらの費用は特に決まった金額というものがなく、日頃の宗教者との関係の厚さや度合いによって、大幅に金額も変化します。

一般的には、個人の葬儀全体の費用から2~3割程度、およそ15万円~とみなして支払うというケースが多くみられます。
全国的には、地方のほうがその金額が大きい傾向にあり、中部地方の平均はおよそ60万円というデータもあります。

葬儀の場所による値段の違い

葬儀場や火葬場を行う場所を、民営にするか公営にするかでその値段も違ってきます。
最近では、斎場と火葬場が一緒になった施設も増えてきていますので、その場合は値段が変わります。

葬儀場(セレモニーホール)

・民営:約20万円~
・公営:約5万円~10万円
・寺院:約15万円~30万円(檀家でない場合、料金が割り増しになることも)

火葬場 

・民営:約5万円~15万円
・公営:約5万円以下
※ 注意点:公営の火葬場を利用する際、故人もしくは喪主がその地域の住民であることが利用の必須条件となります。

また、葬儀場と火葬場ともに、公営の場合は値段の安さもあり、予約が埋まっていてすぐに利用できないという場合もあります。
スケジュールも含めて柔軟な対応を望むのであれば、民営の施設を利用するということになるでしょう。

葬儀費用の対策

葬儀などに対して全額を自己負担するのではなく、保険や自治体の申請をすることにより、費用をまかなえる場合もあります。

互助会

正式には「冠婚葬祭互助会」と呼ばれ、一般社団法人日本冠婚葬祭互助協会の保険制度です。
葬儀保険同様、毎月掛け金を積み立て、冠婚葬祭での突然の出費に対応できます。

例)毎月3000円のコースで積み立てた場合: 葬儀代60万円→36万円(4割引き) また、葬儀で利用する会場や施設の割引もされます。
葬儀費用として毎月積み立てていた分を、家族の冠婚葬祭費用(結婚など)の使用に変更することも可能です。
幅広い使い方を考慮した上で加入することで、将来の備えともなるでしょう。

葬祭費補助(各自治体による)

国民健康保険、後期高齢者医療制度のどちらかに加入していれば、自治体へ申請すれば約3万円から7万円ほどの葬祭費の補助を受け取ることができます。

例)東京都足立区、後期高齢者医療制度加入者の場合: 葬儀終了翌日から2年以内であれば、葬儀を行った人に対して7万円が支給されます。
故人の医療保険省、申請者(主に喪主)の印鑑、申請者名義の預金口座、葬儀の領収書などが必要になります。

まとめ

「お葬式のために貯蓄をしておく」という人は、あまりいないと思われますが「自分が死んだときに家族に迷惑をかけたくない、葬儀費用くらいは残しておきたい」という人は多いのではないでしょうか。

「いざというとき」とはいえ、その「いざ」が「お葬式」というのも、資金の備えという気持ちに向かないかもしれません。
しかし、知識として葬儀の種類や葬儀費用を知っておくことは、やはりとても重要なことでしょう。

金額を知っているからこそ、今のうちに準備ができることもあります。
家族や親戚に迷惑をかけたくない気持ちを尊重するためにも、今からできることは進んで準備しておきたいものです。

今住んでいる地域でどのような施設があるのか、金額やその内容などを含めて家族と情報を共用しておくのも、備えのひとつなるのではないでしょうか。