はじめに
一般的に家のお墓は長男のみが継ぎます。
次男や女性は、多くの場合家のお墓には入れず、結婚して別の世帯を持てば新たにお墓を建てなければいけません。
そこで今回は、長男以外が新たにお墓を建てる際にどんなお墓を建てたら良いのかをご紹介します。
お墓の形式
お墓には1人で入るものから、大勢の人と一緒に入るなどのさまざまな形式があります。
ここでは、お墓の形式とそのメリット、デメリットについて解説していきます。
家墓(累代墓)
家墓は、親から子へ、子から孫へと、代々受け継がれる家単位の合葬墓で、塁代(るいだい)墓などの名前でも呼ばれます。
ただし、家墓に入ることができるのはお墓の承継者とその親族で、直系のみの場合が多いです。
墓石の正面には「〇〇家の墓」という文言が記されており、墓石の裏面やその横に設置される墓誌と呼ばれる石碑には お墓に入っている人の名前と没年月日などが刻まれます。
お墓の形態は、墓地や霊園の永代使用権を得て地上に墓石が建てられ、永代使用者の名義をお墓と共に承継していきます。
メリット
家としてのお墓の承継ができ、代々の先祖供養が行えます。
跡継ぎとなる人は改めてお墓を探さなくて良く、新たにお墓を建てる費用がかかりません。
デメリット
跡継ぎが必要で、跡継ぎがいないと承継されなくなってしまいます。
また、結婚した次男や女性はお墓に入れないことが多いでしょう。
さらに、お墓が地方にある場合はお墓参りがしにくい面も挙げられます。
金銭面では、寺院墓地の場合、毎年檀家としてのお布施が必要となるでしょう。
両家墓
両家の親を、1つのお墓に埋葬するのが両家墓です。
墓石には両家の家名を並べて記載したり「先祖代々の墓」と刻む場合が多いです。
メリット
両家の墓を1つにすることで、お墓を建てる費用を抑えることができます。
管理をする人が多いため、お墓の管理の手間が少なくて済むでしょう。
また、1つのお墓で済むので、お盆や彼岸のお墓参りを一緒に行うことができます。
寺院墓地の場合は同一宗派となり、法要も統一して行えます。
デメリット
寺院墓所によっては両家墓が建てられないこともあります。
また、両家の宗派が異なる場合は、戒名の記入や法要の際に問題になることも考えなくてはなりません。
両家の親を1つのお墓するとなると、両家の親族の理解を得るのが難しい場合もあるでしょう。
夫婦墓
夫婦墓とは、夫婦2人だけで入るために建てるお墓のことです。
子どものいない夫婦が自分たちで用意する場合や、嫁いだ娘が実家の両親のために建てることもあります。
墓石には「〇〇家之墓」ではなく、夫婦2人の名前を刻みます。
メリット
永代供養付きであれば、お墓の跡継ぎの心配をしなくて良いでしょう。
また、夫婦2人で建てるため、趣味や好みに合わせたデザインのお墓にすることが可能です。
デメリット
永代供養付きの場合は、後々合祀になるので合祀に反対の場合には向きません。
個人墓
1人だけで入るお墓を個人墓と言います。
著名人や有名人のお墓に比較的多い形式です。
その他、生涯独身だった方や諸事情で家族のお墓に入りたくない方のお墓も個人墓になります。
メリット
家の制度にとらわれず、墓石の形を工夫したり、好きな言葉を刻むことが出来ます。
著名人や有名人の場合、自分自身の実績を書いてもいいでしょう。
デメリット
永代供養付きでなければ無縁墓になる可能性があります。
また、永代供養の場合は後々合祀となります。
集合墓(納骨堂など)
寺院や教会などの宗教施設内にある、個別に区切られたスペースを使用し、納骨するのが集合墓です。
メリット
個別の墓石を作らないので費用がかかりません。
また、寺院や協会は都市部にあることが多いのでアクセスに困らないでしょう。
永代供養式なので承継者がいなくても無縁墓にならなくて済みます。
デメリット
お花のお供えやお線香の使用は、決められた共用部でしかできないことが多いです。
また、永代供養の場合は後々合祀となります。
共同墓
共同墓とは血縁のない友達や同じ趣味、宗教観を持つ人が一緒に入るためのお墓です。
複数の骨壷を同じ場所に安置する、集合墓の形態をとることが多いですが、一定期間納められた後に合葬される場合もあります。
メリット
同じ環境の人が祀られることにより、後世に渡って同様の仲間に祀ってもらえます。
また、同じ信仰を持つ人たちと一緒のお墓に入れます。
デメリット
共同墓を設立した団体が解散すると、お墓の維持が難しくなることも考えなくてはなりません。
また、一定期間納められた後に、合葬される場合もあります。
合祀墓
合祀墓は1つの埋葬施設に、他の人の遺骨と一緒に納骨されるお墓です。
お骨は骨袋に入れられるか、そのまま直に埋葬されますが、以後は霊園や寺が無償で管理を行ってくれます。
メリット
承継者がいなくても無縁墓にならず、管理費もかかりません。
デメリット
他人の遺骨と一緒に埋葬されることになります。
そのため、個別にお参りできる場所がありません。
また、後から思い直しても個別の遺骨を取り出すことはできません。
家の墓に入ることができない場合、 自由なお墓の選択も
自分が新たにお墓を建てる場合は費用はかかりますが、従来の家のお墓に捉われることなく、自由に建てられます。
新しくお墓を建てる場合は、次のようなことも考えておくと良いでしょう。
宗教・宗派の選択
多くの家のお墓は仏教式の檀家制度によっているため、戒名や法要の形式に制限があります。
しかし、新たにお墓を建てる際には自分が信仰する宗教のお墓にすることも可能で、場合によっては無宗教のお墓でも問題ありません。
運営事業者の選択
寺院墓地を利用する際は、新たに檀家になり入檀料やお布施を支払う場合が多いです。
一方で、民間霊園や公営霊園は宗教・宗派は不問で、管理費用も比較的安価で済むでしょう。
お墓の形態の選択
お墓の形態は個別に墓石がある一般墓や集合墓など、さまざまな種類があるので、自分の状況と照らし合わせて考えましょう。
お墓の承継者
立派なお墓を建てたとしても、自分が亡くなった後にそのお墓を承継して維持してくれる人が必要です。
昨今は少子高齢化によって子どもがいない家庭も増えてきているので、もし承継者がいない場合は永代供養墓のような維持・管理が必要のないお墓が良いでしょう。
お墓へのアクセス
住んでいる場所から遠方にあると、お墓参りなどが大きな負担となってしまいます。
また近場を選んでも転勤や、やむを得ない事情によって引っ越さなければいけないことも考慮してお墓の立地を選びましょう。
お墓の購入費用や管理費用
お墓の平均価格は80~120万円程度と非常に高価です。
他にも毎年の管理費用などを支払う必要があるので、お墓を建てる際は予算も考えておくことが大切です。
まとめ
最近では、都市型の永代供養墓や集合墓のような現代のニーズに合わせた新しい形のお墓も一般的になりつつあります。
長男は先祖代々のお墓を継いでいくことになりますが、次男は自分の宗教や好みに合った自由なお墓を建てることができます。
しかし、その後の維持や管理の問題も考慮し、建てる前にはしっかりと調べた上で実行していきましょう。