高齢になると軽い怪我や不調でも重症化してしまい、入院しなければいけない事が増えてきます。実際に2015年以降の入院者の65%以上は高齢者となっている事を考えれば、高齢者ほど入院のリスクが高いといっていいでしょう。
そこで今回は高齢者が突然入院する時にかかる費用や事前に出来る準備について詳しく解説していきます。
高齢者の入院の原因
若い人は体が丈夫ですし怪我や病気になっても短期間で治りますが、高齢者になると軽い病気などが重症化する事によって死亡に繋がってしまう事もあります。
転倒
高齢者に多いのが骨粗鬆症という骨が弱くなる病気にかかり、それまでは何ともなかった軽い衝撃でも骨折してしまう事があります。
特に高齢者の突発的な入院や介護の原因は、約25%hが転倒による骨折とされており、そのまま寝たきりになってしまうケースもあります。
また骨折が完治したとしても骨粗鬆症が治っていなければ転倒によるリスクは変わらないので、リハビリやその後の対策が非常に重要になってきます。
肺炎
若い人にとっても肺炎は危険な病気ですが、高齢者になり肺機能が弱っている所で肺炎にかかってしまうと、そのまま完治する事なく死亡してしまう事があります。
一方で肺炎の種類によってはワクチン接種で予防する事が出来るので、心配な方は呼吸器科がある病院などに相談してみましょう。
ガン
高齢者の死因の約26%はガンによるものです。近年では先進技術によるガンの早期発見や新たな治療法が開発されたりしていますが、発見時のガンの進行度や種類によっては治療が難しい場合も多いです。
ただ定期的な検査によって早期に発見出来れば、その分完治する可能性も上がるので年に1回は人間ドッグなどの検査を受ける事をオススメします。
脳血管性の障害
高齢者の入院理由の約18.5%が高脂血症や高コレステロールによる脳血管性の障害だと言われています。この脳血管性の障害には脳卒中や脳梗塞のような病気も含まれており、一度発症してしまうと治療が難しいため、常日頃から生活習慣や食事バランスに気を付けなければいけません。
衰弱
どれだけ健康な人でも歳を取ると、身体機能が徐々に衰弱してきます。それによって体を動かす事が難しくなり、結果として支援や介護が必要にあるケースが多いです。
高齢者の入院準備
高齢者が入院するとなると、書類だけでなく着替えのような生活必需品も準備しなければいけません。自分で準備出来る場合は問題ありませんが、体が弱っていたり緊急入院する事になった場合は自分以外の人の助けが必要となります。
子供や親族が近くに住んでいたり2世帯住宅で同居している場合はあまり問題にはなりませんが、遠方に住んでいると訪問してもらう事自体が難しくなります。
そのような場合は自治体が提供している高齢者訪問サービスを利用しましょう。実施状態や費用については各自治体で異なりますが、定期的に職員の方が家を訪問して困った事があればそのお手伝いや支援制度の紹介を行ってくれます。また最近では民間の警備会社なども類似のサービスを提供しているので、入院準備について不安を感じている方は自分が住んでいる地域の訪問サービスなどを確認する事をオススメします。
高齢者の入院期間
入院期間は患者の年齢に比例して増加していきます。例えば、14歳以下の子供が怪我や病気で入院する場合の入院期間は平均して1週間程度ですが、65歳以上になると45~50日間程度になります。
もちろん入院の理由や入院先の医療水準によって多少は前後しますが、歳を重ねるほど自己回復の機能が弱まり完治するのに時間がかかるので、高齢者の入院期間については1~2ヶ月程度は見ておいた方がいいでしょう。
高齢者の入院までの流れ
高齢者が入院するまでの流れには3つのパターンがあります。
医師の診断
ガンや心筋梗塞などが原因で普段からお世話になっている医師より入院の必要性を診断されると、そのまま入院する事になります。
他病院への紹介
普段かよっている病院に入院設備や治療に必要な設備がない場合は、かかりつけの担当医から他の病院への紹介状を書いてもらい事になります。その後、紹介してもらった病院で入院の診断を受けた場合は、そちらの病院に入院する事になります。
救急搬送
脳梗塞や路上での転倒によって救急搬送されると、近隣の大学病院などに搬送されそのまま入院する事になります。
ただし症状や重症度によっては受け入れ先の病院が中々見つからず、たらい回しになってしまう事もあるので、何かしら兆候がある場合は早めに病院で診察を受けるようにしましょう。
身内への連絡
入院の理由や症状によっては命に関わる可能性もあるので、そういった場合は兄弟姉妹や親戚などの身内へしっかりと連絡するようにしましょう。
特に遠方に住んでいるとお見舞いに来るのも時間がかかりますし、コロナの影響で面会を制限している病院も多いので、なるべく早い段階で連絡をしておく事で不要なトラブルも避けれるでしょう。
入院にかかる費用
入院にかかる費用は入院理由や患者の収入、年齢などによって異なります。ただ費用については入院する際に病院側から内訳を含めた詳しい説明があるので、疑問がある場合はその際にしっかりと確認するようにしましょう。
また難病のように高額な治療費が必要となる病気については、それぞれで定められた自己負担の限度額以上は国が負担してくれますので、その点も抑えるようにしましょう。
健康保険外の費用
病院から請求される医療費については限度がありますが、その全てが保険の対象となる訳ではありません。そのような対象外の費用については基本的に全額自己負担となります。
食費
入院中の食費については医療費に含まれないので、収入に応じた額を自己負担する必要があります。一般的な総合病院や大学病院では1食あたり460円、非課税所得者であれば100~160円の負担となります。
交通費
入院先までのタクシー代やガソリン代も自己負担になります。
雑費
紙おむつや洗濯代などについては1日あたり370円と規定されていますが、実際には交換や洗濯の頻度は個人差があるので、ある程度は自己負担しなければいけません。
ベッドや個室の差額
入院期間を快適に過ごすために通常よりも良いベッドや個室を希望した場合は、その差額を負担する事になります。
例えば4人部屋だと1日あたり2,000~2,500円程度ですが、個室になると8,000円前後が相場となるので約4倍も高くなってしまいます。
また相部屋を希望していても、感染症や病気の症状によっては強制的に個室となってしまう場合もあるので気を付けましょう。
保険外治療
保険外治療は保険治療と違い、治療法や使用する薬剤に大きな制限がありません。なので海外では承認済みだが日本では未承認のような最先端の治療も受ける事が可能になります。
ただしその分、費用は全額自己負担になりますし未知の副作用などが発生する可能性もあります。
入院に必要な物
入院する際にパジャマや下着のような生活必需品を個人で用意するかどうかは病院によって異なります。
病院から支給される場合は用意する必要はありませんが、そうでない場合はパジャマや下着、タオルなど日々の生活で使う物は一通り揃えておきましょう。
また個人で用意した物を使用する場合は名前の記入を求められる事が多いので、事前に入院に必要な物を用意する際は合わせて名前も書いておくと入院前後の手間を減らす事が出来ます。
まとめ
今回ご紹介した通り、高齢者はほんの些細な事がきっかけで入院する事になる可能性があります。そして一度入院すれば1,2ヶ月は家に帰ってこられない事を考えると、入院する人だけでなく周囲の人たちにとっても大きな負担となってしまいます。
だからこそ事前の準備や連絡をしっかりと行う事によってなるべく負担を減らす事が大切です。