はじめに
一般的に終身保険の払込は定年に合わせて設定されていますが、払込が満了になった後の保障や医療特約をどうしたらいいのか分からない人は意外と多いのではないでしょうか。
そこで今回は、終身保険と医療特約の関係について解説していきます。
終身保険とは
終身保険とは被保険者に対する保障が一生涯続く保険の事であり、被保険者が死亡や高度障害状態になった際に保険金を受け取る事が出来ます。
保障が半永久的なため一般的な定期保険よりも保険料は高くなりますが、毎月の支払額は変わらないため安定して保険料を支払える人にとってはメリットが大きく貯蓄性もある保険となっています。
終身保険の主契約と特約
終身保険に限らず保険は基本となる主契約と、オプションとしての特約の2つから構成されています。一般的に保険は主契約のみを契約する事は可能でも、特約だけの契約は出来ません。
また主契約の内容は各保険会社によって様々ですが、特約は医療特約を含む事が多いです。医療特約とは病気や事故で入院した際に給付金を受け取る事が出来るだけでなく、手術やリハビリなど色々な医療保障に対応している点が特徴です。
医療特約の保障内容
医療特約の保障内容は主に以下のような物があります。
疾病入院特約
最も一般的な特約であり病気で入院した際には入院給付金を、手術した場合には手術給付金を受け取る事が可能です。
入院給付金については一定の入院日数などの条件ごとに、支払われる金額が設定されている場合が多いです。
またガンや心疾患、糖尿病のように生活習慣病での入院に対応した生活習慣入院特約という物もあります。
ガン入院特約
ガンで入院した際には入院給付金が支払われますが、こちらは疾病入院特約などと違い入院日数による制限がない事が多いです。
女性疾病入院特約
乳がんや子宮筋腫など女性特有の病気で入院した際には女性疾病入院給付金が支払われます。
また基本的には女性特有の病気だけでなく、甲状腺障害など女性の発生率が高い病気にも対応している事が多いです。
先進医療特約
厚労省が認可している病院で認定済みの先進医療を受けた場合に、技術料に相当する給付金を受け取る事が可能です。ただし厚労省が認定する先進医療は定期的に変更されるので、事前の確認が必要となってきます。
払込が満了した後の医療特約
一般的に主契約の払込が満了になった場合、主契約の保障は継続されますが医療特約については払込満了時に保障も終了する事が多いです。
医療特約を払込満了後も継続しようと思うと、医療特約の保険料を前納で一括納付するか、分割で払わなければいけません。
医療特約の保障期間は原則的に80歳までとされていますが、保険会社によっては80歳以降の保障にも対応した医療特約を提供している所もあります。
医療特約の必要性
医療特約は60歳の払込満了時に終了するので必要ないと考える人もいますが、高齢者になると入院や手術の可能性は高くなります。そのような時に医療特約を契約していないと主契約だけでは対応出来ず、結果として医療特約の保険料以上のお金がかかってしまうケースがあります。
特にガンや生活習慣病は治療が長期間に渡る場合が多いですし、先進医療については公的医療保険の対象となっていないため治療費が割高になってしまいます。もちろん主契約の払込満了後も医療特約の保険料はかかりますが、お金で安心や健康を買えると考えれば1つの選択肢にはなるでしょう。
定期付終身保険とは
定期付終身保険とは主契約の終身保険に定期保険が特約として付与された保険商品の事であり、より手厚い保障に対応しているのが大きな特徴です。
基本的には更新型の保険商品なので、10年や15年などの区切り毎に定期保険の部分が自動更新されるのですが、それに合わせて保険料も高くなっていくため加入期間が長くなるにつれて保険料の負担は大きくなっていきます。
定期付終身保険の注意点
定期付終身保険も一般的な終身保険と同じく、一生涯に渡って保証されるのは主契約のみになります。ただ特約である定期保険は自動更新されていくので、必要がなくなったとしても解約しなければ毎月不要な保険料を支払う事になります。
また更新回数が増えて定期保険の保険料が増えてくると、保険会社から転換制度を勧められる場合がありますが、転換制度はしっかりと内容を把握していないと大きな損害を受けてしまう可能性もあるので注意しましょう。
終身保険の契約転換制度
契約転換制度とは現在加入している保険を解除して新しい保険に加入する制度の事です。この制度を利用するメリットとしては、現在加入している保険の積立部分などを下取りとして新しい保険に充てる事が出来るので、普通に契約するよりも保険料が軽減されます。
一見すると更新によって高くなった保険料を下げる事が出来るだけでなく、以前と同じような保障も受けられるのでメリットばかりに思えますが、実際にはこれまで積み立ててきたお金は新しい保険の支払いに充てられるので消滅してしまいます。
また積立型の保険だと保険会社が設定している予定利率に沿った利益を受ける事が出来ますが、この予定利率は経済状態などによって変動するので基本的には現在よりも過去の方が高く設定されています。つまり昔から契約している保険を解除して新しい保険を契約すると予定利率が下がってしまい、運用面での損害に繋がる可能性があります。
このような事から保険の契約転換制度は余程の理由がない限りは被保険者にとってメリットにはなりません。たとえ懇意にしている担当者から提案されても慎重に検討するようにしましょう。
保険を見直すタイミング
終身保険の払込満了時が近づいてきた際には特約も含めて保険内容を見直す事をオススメします。
例えば先進医療特約を契約していても、実際に先進医療を受ける確率は100万人に1人程度ですし、医療費の内訳も検査費用が多くを占めています。また生活習慣病についても、医療の発展によって自宅での療養が可能となった病気も多数ありますし、そのような病気のほとんどは日々の生活に気を付けていれば予防が可能です。
なので終身保険の払込が終わりそうになったら、自身の経済事情や健康状態を踏まえて公的医療保険以外の必要性について見直すようにしましょう。
まとめ
今回ご紹介した通り、終身保険の医療特約は払込が満了すると共に終了し、継続する場合は保険料の負担が大きくなります。
もちろん一生涯に渡って保障を受ける事が出来るという安心感もありますが、安易に加入や継続をするのではなく、老後の資産運用やライフプランと合わせてしっかりと考慮してから判断するようにしましょう。