会社で行う社葬とは?

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葬儀には家族単位で執り行う一般的な「個人葬」のほかに、企業が執り行う「社葬」があります。故人を見送り冥福を祈る点は共通ですが、個人葬と社葬にはいくつかの相違点があります。今回は社葬と個人葬の違い、社葬の流れ、社葬の服装、社葬に参列する際の注意点について解説します。

社葬とは

社葬は、会社が施主となり執り行う葬儀のことを指します。特に会社に対して功績のあった人が亡くなったときに、会社を挙げて行う葬儀です。具体的には以下の人たちが対象となります。

・会社の創業者、会長、社長、副社長、役員の役職に現在ついている人、またはかつてついていた人
・会社への大きな貢献、功績を残したと認められる社員
・社命による業務中の事故で生命を落とした社員

また、社葬には大きく分けて3つの形があります。

・社葬(団体葬):遺族による密葬の後、故人が信仰していた宗旨宗派に則り、会社が執り行う葬儀。
・合同葬:遺族と会社が合同で、または2つ以上の企業や団体が合同で執り行う葬儀。通夜、葬儀・告別式、火葬など、一般の葬儀とほぼ同じスケジュールで行う。
・お別れの会:四九日法要の前後に、宗教色を廃して故人にゆかりのあった人たちが集まるセレモニー。ホテルやレストランを利用することが多い。

社葬と個人葬の違い

社葬と個人葬の一番の違いは、社葬では喪主と施主を違う人が務めるということです。喪主とは遺族代表として葬儀社との打ち合わせを行い、葬儀・告別式では遺族代表挨拶をするなど、いわば葬儀の責任者です。施主とは葬儀費用を負担して金銭面で葬儀のサポートを行う立場の人をいいます。個人葬においては、喪主が施主を兼任することがほとんどです。一方、社葬においては、喪主は遺族が、施主は会社が担当します。会社には葬儀委員会が立ち上げられ、葬儀委員長が選出されます。

葬儀費用の負担

個人葬では葬儀費用を喪主や遺族が負担します。社葬では、葬儀費用のすべてもしくは一部を会社が負担します。企業によっては費用負担に関して社内規定に定められているところもあります。社葬にかかった費用は通常、福利厚生費として損金計上することができますが、故人の会社に対する貢献度や死亡理由が、社会通念上会社が負担するのが相当と認められる場合です。一般的には、戒名料、墓石購入費は遺族の負担になります。

社葬の流れ

一般的な社葬の流れは下記の通りです。

  • ①逝去:遺族より会社へ連絡
  • ②臨時取締役会の開催:葬儀日程、葬儀社、会場、予算の決定。葬儀実行委員会を立ち上げ、葬儀委員長を選出
  • ③社内での役割分担決め:運営本部、会計、受付、案内、来賓対応など
  • ④社葬告知(社内):臨時取締役会で決定した内容を社内メールなどで社員に通達
  • ⑤社葬告知(社外):取引先などへ社葬の案内状を発送
  • ⑥葬儀当日:あらかじめ決定されたスケジュール通りに執行

社葬の服装

社葬に参列する際は、男性、女性ともに、一般の葬儀と同様に略礼装(喪服)で参列します。男性は黒のスーツ、白のワイシャツ、黒のネクタイです。靴や靴下、バッグなども光沢や模様、金属のない黒にします。女性は黒のスーツ又はワンピースで、スカート丈がひざ下になるものを着用します。華美にならないナチュラルメイクをし、アートネイルは除去します。アクセサリーは結婚指輪以外では真珠かブラックオニキスの1連のものに限ります。靴は中ヒールで光沢のない黒を、バッグも光沢や飾り、金具のないブラックフォーマル用のものを持ちます。

男女ともに、会社の代表として葬儀に参列する場合、社章をつけることもあります。お別れの会や偲ぶ会で、「平服でお越しください」と案内に記載がある場合は、男性はダークスーツ、女性は黒か紺のスーツやワンピースを着用します。平服とは普段着のことではありませんので、カジュアルすぎる服装はマナー違反にあたります。

葬儀に参列する際の注意点

社葬に参列する際のマナーは、個人葬でのマナーに準ずればよく、葬送の場にふさわしい態度で臨めば問題ありません。ただし、社葬の場で行ってしまうマナー違反がときどき見られます。以下の行為は慎むようにしましょう。

名刺交換

社葬には取引先や顧客が多く参列しますが、あくまで葬儀ですので、名刺交換はタブーです。

私語、雑談、商談

社葬ではかつての上司や同僚など、久しぶりに顔を合わせる人もいるでしょう。つい気が緩んで雑談に発展しないように気をつけます。また、取引先との商談を始めてしまう人もいますが、マナー違反です。葬儀に参列していることを忘れないようにしましょう。

まとめ

社葬も一般的な個人葬と同じように、故人への哀悼という第一の目的がありますが、加えて対外的に企業力のアピールをし、後継者を周知する目的もあります。社葬を執り行う側にも、参列する側にもそれぞれ注意すべき点がありますので、事前準備を怠らないことが重要です。