遺品整理の方法や注意点とは?

相続

遺品整理とは

遺品整理とは、故人の生前の所有物を整理することで、対象は日用品から高価な品、権利・契約など多種多様です。

葬儀や埋葬などを終えて一段落した後、故人との思い出を振り返りながら行いたいものですが、故人が賃貸住まいの場合は明け渡しまでに整理を済ませる必要があります。

この記事では、遺品整理の方法や注意点を解説していきます。

遺族だけで遺品整理を行う方法

遺品整理を始める際、故人の住まいが賃貸か持ち家かによって作業の流れが変わります。故人が賃貸住まいの場合は、最低でも四十九日法要までは賃貸借契約を結んでおき、必要な家賃の支払いを済ませておきます。

さらに賃貸の場合は遺品を持ち出すことが優先され、まずは遺族の家などに移動させる必要があります。遺品が多くて場所を確保できない場合、不用品の廃棄を優先すると、時間短縮につながります。

持ち家なら時間的な余裕はありますが、支払期限のあるものが残されている可能性もあるので注意しましょう。

貴重品類の整理

手順としては、まず遺産分割協議の対象になるような貴重品や権利関係の書類、支払いの発生するものを洗い出します。

次に携帯電話や公共料金、インターネット料金など、月額の使用料金が発生するものを整理し、解約または名義変更などを進めます。

また、役場への届け出など行政手続きが必要なものもあります。以下のような貴重品は一か所にまとめ、優先的に整理や処分方法を決めておきましょう。
・銀行通帳、キャッシュカード
・印鑑(実印)
・クレジットカード
・健康保険証
・年金手帳
・免許証、マイナンバーカード、パスポート
・有価証券
・各種契約書類
・不動産等の権利書
・宝石や貴金属、美術品等の価値のあるもの

財産価値の高い遺品や負債があれば、遺産分割協議の対象となります。とくに負債があった場合、相続開始から3カ月以内に相続放棄、または限定承認(プラスの財産の範囲内で債務を受け継ぐ)のどちらかを決めることになります。

また、相続開始から4カ月以内に所得税や消費税の準確定申告を行う場合もあり、期限を過ぎると延滞税等のペナルティが発生します。

高額な医療費を払っていた場合、準確定申告により還付されることもあるので、医療関係の請求書などは大事に保管しておきましょう。

形見となる遺品の整理

形見分けの遺品を整理します。さほど高価ではなくても故人の思い出が詰まり、どうしても処分できないものがあるでしょう。遺族のあいだで分け方を相談して決めていきます。

リサイクル品や廃棄品の処分

再利用できそうなものは、リサイクル業者に引取りを依頼します。価値のなさそうなものや、今後使う予定のないものは廃棄しましょう。

日記や写真などは、スキャナーでデータ化しておくとスペースを取らずに保管でき、劣化の心配もありません。

業者に遺品整理を依頼する場合

遺品整理では、想像以上の大量の遺品が出ることも珍しくありません。遺品を整理する機会自体が少ないため、不慣れな作業に戸惑うこともあるでしょう。そんなときは、専門業者へ遺品整理を依頼することになります。

遺品整理業者のサービスには、主に以下のようなものがあります。遺族の都合や予算に応じて必要なものを選びましょう。
・不用品と必要品の仕分け
・不用品の回収と処分
・貴重品などの捜索
・簡易清掃、ハウスクリーニング、消臭消毒
・遺品の買取り
・遺品の供養、お焚き上げ
・空き家管理
・家屋の解体、不動産仲介や買い取り
・相続に関する相談

遺品整理業者に連絡すると、住宅形態や部屋の広さ、間取りなどをヒアリングされます。当日は行き違いによるトラブルを避けるため、貴重品は遺族側で管理し、作業には立ち会った方がよいでしょう。

遺品整理の業者の選び方

遺品整理業の需要は年々増加しており、開業にあたっての障壁も少ないため、多くの業者が存在します。

そのなかから信頼できる遺品整理業者を選ぶ基準として、「遺品整理士」が在籍しているか確認しましょう。遺品整理士は一般社団法人遺品整理士認定協会によって認定されており、遺品整理に関する高度な知識とノウハウを取得しています。

ゴミとリサイクル品を丁寧に仕分け、値上がり傾向にあるゴミ処理代を抑えてくれる業者もあるので、見積りの際に詳細を確認しておくとよいでしょう。

また、遺品整理業者には清掃業やリサイクルショップを兼ねているところも多いので、特徴や強みなどから希望に合った業者を選びましょう。

業者に遺品整理を依頼する際の費用

各業者のホームページでは部屋の広さに応じた相場を掲載しており、平均的な料金は以下のようになっています。なお、部屋の広さや遺品の量、作業人数やトラックの台数によっても料金は変動するため、あくまでも目安になります。

・1Rや1K:5~8万円程度
・1DKや1LDK:10~15万円程度
・2LDKや3LDK:15~20万円程度
・4LDKや一軒家:25万円以上

また、ピアノや大型家電などの処分に手間のかかるものはオプション料金が発生します。また、マンションの高層階でも料金が異なる場合があります。

遺品整理の注意点

遺品整理を行う際の注意点を解説していきます

遺族だけで遺品整理を行う場合

遺品整理は的確な仕分けと効率が重要になるので、あまり長く時間をかけないようにしましょう。日程や優先順位を決め、計画的に作業することが大切です。

業者に遺品整理を依頼する場合

他人に触れてほしくないものがあれば、貼り紙やテープわかるようにしておきましょう。貴重品の取扱いもあるため、気になる部分は事前に整理しておき、遺族側で管理することをおすすめします。

また、遺品のなかに探しているものがある場合は、作業途中であっても必ず声をかけましょう。

まとめ

遺品整理は、故人の思い出と向き合う作業です。ただ、辛さや悲しさもあるでしょうが、多くの遺品は廃棄されることになりますので、ある程度の割り切りも大切です。

また、遺族が高齢で作業が困難な場合は、早めに業者へ相談しましょう。遺品整理には期限があるものもあるため、ぎりぎりになって作業を依頼すると料金が上がる場合もあります。

遺品整理は遺族が日常生活に戻るために必要な作業ですので、少しずつでも進めていきましょう。

タイトルとURLをコピーしました