はじめに
老後に必要なお金については定期的に問題となっていますが、年金収入から生活費を差し引くと毎月6万円程度が不足するとされています。
不足分は預貯金や退職金を切り崩して補うことになりますが、このような計算には治療費や介護費用などは含まれていないので、個人の状況によっては不足額がさらに大きくなる事もあります。
そこで今回は、老後資金を少しでも増やすために今から始められる節約方法について解説していきます。
なぜ老後に節約する必要があるの?
総務省の家計調査によると、65歳以上の世帯支出は現役時代の約7割となるので、3割程度の節約が必要ということになります。
また、生活費の内訳としては主に以下のような項目が挙げられます。
・食費:27.7%(66,458円)
・住居費用:5.7%(13,625円)
・光熱費:8.3%(19,983円)
・保健医療:6.6%(15,759円)
・交通、通信:11.8%(28,328円)
・交際費:10.7%(25,749円)
上記は生活する上で欠かせない費用ですが、これだけで可処分所得の7割を超えてしまうので節約する事によってなるべく支出を減らす必要があります。
特に、現在の日本では長寿化と合わせて、支出が発生する期間も長期化してきているので、節約の重要性は今後さらに増していく可能性が高いです。
老後から始める事ができる節約方法
「節約」には窮屈なイメージがありますが、健康状態に応じた食生活の見直しなど、気負いなく始められる事もあります。
また、自分はすでに節約できていると思っていても、家計簿を見直してみる事で意外な出費に気付く場合もあるので、まずは自分の生活を振り返ってみましょう。
食費の見直し
老後の平均的な食費は66,458円となっていますが、夫婦2人で必要な食費には以下のようなモデルがあります。
・贅沢 7万円~
・一般 5万円~
・節約 4万円~
総務省調査の結果をみると60歳以降の食費は、7万円以上する事が多いですが、これを5万円程度に収めると年間24万円近くの節約になります。
また、やはり外食の回数が多いとそれだけ食費もかさんでしまうので、まずは外食の回数を減らして自炊を積極的に行うのもおすすめです。
他にもコンビニのような施設は気軽に立ち寄ってついつい買い物をしてしまう事も多いので、不必要に立ち寄らないようにする事も節約につながります。
ただ、節約を意識し過ぎて栄養バランスが偏ってしまうと本末転倒なので、自分の健康状態にも注意するようにしましょう。
家賃の見直し
総務省の家計調査によると毎月の住居費用の平均額は13,625円となっていますが、持ち家の住宅ローンが残っていたり賃貸住まいの場合はこの金額では収まらないので、家賃の見直しが必要になります。
特に、住宅ローンを支払っていて、かつ以下の条件に当てはまる人は借り換えも検討してみましょう。
・残債が1,000万円以上で支配期間も10年以上、借り換え後の金利が1%以上下がる
・変動金利型のローンであり将来的な金利上昇が不安
・ローン完済が65歳以上になる場合
手元資金に余裕がある場合は繰上げ返済も検討するべきですが、老後は不意の出費にも備える必要があるので、繰り上げ返済を行う場合はしっかりとした計画を立ててからにしましょう。
また、賃貸住まいの場合は現在よりも家賃の低いマンションや、公営住宅へ引っ越す事で家賃を抑える事ができます。
もしくは、収入が一定基準以下であれば「高齢者向け優良賃貸住宅」へ入居する事で、最大40%の家賃補助を国や自治体から受け取れます。
保険の見直し
一般的に医療保険や損害保険は毎月1万円の出費になるので、格安プランに切り替える事で節約に繋がります。
生命保険の死亡保障や各種特約は子供の独立などのライフイベントによって不要になる事がありますし、自分や家族の健康状態に問題なければ健康保険を解約して預貯金や投資に回すのもおすすめです。
いずれにせよ、保険は一度契約したら終わりという物ではないので、年齢の節目やライフイベントのたびに見直して最適な保険を選ぶようにしましょう。
光熱費や通信費の見直し
一般家庭の平均的な光熱費は毎月2万円程度ですが、節約する事によって1万5千円程度まで抑える事ができます。
特に最近の家電は消費電力が少なかったり省エネ機能を搭載している事が多いので、室内照明やエアコンなどを買い換えると効果的です。
もちろん家電の買い替えにはお金がかかりますが、効率の悪い旧型の家電を使っているのであれば月々の光熱費の差額ですぐに元が取れますし、型落ちでも十分に省エネな商品が多いので、長期的な目線を持って検討してみましょう。
一方で、ネット回線や携帯電話を含む通信費の平均額は毎月3万円になります。
通信費を節約するために、まず検討するべき事は固定電話の解約です。
特に現在ではほとんどの人が携帯電話を持っていますし、固定電話があると逆にオレオレ詐欺などの被害に合う可能性が高くなるので、余程の事情がない場合は解約しましょう。
また、携帯電話に毎月1万円以上も支払っている人が多いですが、ドコモのような大手キャリアから格安SIMを提供しているMVNOに乗り換える事で、数千円は節約する事ができます。
もし、携帯電話のプランに詳しくない場合は、知人や自分の子供に聞くなどして自分に合ったプランを選択する事をおすすめします。
老後から節約を始める際の注意点
節約は非常に重要ですが、何事も「やり過ぎ」には十分注意するようにしましょう。
極端な節約は無味乾燥とした老後生活につながってしまうので、場合によっては生きがいすら失ってしまう事もあります。
また、ゴルフのようにお金がかかる趣味を持っている人は「今後一切やらない」と決めるより、だんだんと回数を減らす事によってストレスを抱えずに出費を抑える事ができます。
もしくは、節約によって目標金額を達成できた場合は、それ以上の無理をしないようにするなど工夫をしながら節約を継続する事が大切です。
まとめ
今回ご紹介した通り、収入が減少する老後生活では今までのような生活レベルを維持する事ができないので、節約が非常に重要になってきます。
しかし、目標を定めないまま節約を行っても長続きはしないので、目標金額を設定するなどして、無理なく習慣化していきましょう。