高齢者の食事を支える「食事宅配サービス」とは?

介護

はじめに

超高齢社会となった日本において、要介護にならずに過ごす「健康寿命」をいかに延ばすかが大きな課題です。

食に関しては、高齢者の低栄養が問題となり、要介護につながるフレイルを防止するためにも、年齢や活動量に応じた適正な食事をとることが重要とされています。

近年、少子高齢化や核家族化により高齢者の一人暮らしと、高齢者夫婦が支えあう老々介護が増加中です。
年齢が高くなるにつれ、食材の買い物や調理はしだいに負担になってくることでしょう。
また、在宅介護を担う子世代の人たちはまだ仕事を抱えていることも多く、忙しい日々を送っています。

そのような高齢者家庭や、要介護の人がいる家庭に利用されているのが「食事宅配サービス」です。

食事宅配サービスとは

食事宅配サービスとは、調理済みの食事を自宅に届けるサービスを指します。
近年、高齢者や食事療法が必要な人の需要に応じて、多くの事業者が参入している分野です。

好きなときに頼む出前やデリバリーとは趣旨が異なり、食事宅配サービスはある一定の期間、決まった日や時間帯に自宅に届けられるものです。
管理栄養士監修のもと、栄養価にすぐれたバランスのよい食事を提供するのが特徴です。
サービス事業者の急増にともない、調理、製造、保存技術も格段に向上し、味のよさや高齢者にも食べやすい形状などで注目され、利用者が増えています。

食事宅配サービスの平均費用

費用は配達料込みで1食500~800円が中心です。
このサービスは介護保険が適用されませんが、公的補助を出している自治体もありますので、まずはお住いの市区町村に問い合わせてみましょう。

公的補助がある場合でも無条件ではなく、65歳以上の一人暮らし、または高齢者のみの世帯であること、要支援・要介護認定を受けていることなどの条件が設定されていることがありますので確認が必要です。

申請すれば利用者は一部負担金のみを支払えばよく、1食500円以内の負担で済みます。
民間企業以外にも、自治体や市区町村の社会福祉協議会が独自に行っている食事宅配サービスもあり、一般的な弁当より低料金で利用できることがほとんどです。

食事宅配サービスのメリット

食事宅配サービスの利用には、以下のようなメリットがあります。

栄養バランスや安全性への配慮

食事宅配サービスは原材料にこだわり、たんぱく質、炭水化物、脂質の三大栄養素を、バランスよくとれるように調理されます。
三大栄養素摂取エネルギー量の適切なバランスは、年齢により異なりますが、65歳以上の高齢者ではフレイル予防のため、たんぱく質を摂取すべき割合が若い世代よりも高く設定されています。
年齢や身体の状態、咀嚼能力に応じた食事が提供されます。

買い物や調理の負担が軽減できる

衣食住のなかで、食の部分は毎日のことで休むことができませんが、独居高齢者世帯、高齢者のみの世帯では、買い物や調理が負担になりがちです。
食事宅配サービスを利用することで、負担を軽減することができます。

また、在宅介護を担っている人にとっても、買い物や調理の負担軽減は介護全体の負担を軽くすることにつながります。

見守りサービスも兼ねている

見守りサービスとは、高齢者の孤独死が社会問題となった昨今、自治体や民間企業が、離れて住む家族の代わりに高齢者を見守るサービスを指し、異変に気付いた場合は救急車を要請したり、医療機関や離れて住む家族に連絡したりするというものです。

高齢者向けの食事宅配サービスには、見守りサービスが付帯しているものもあり、配達員が定期的に訪問することで安否確認を兼ねています。
見守りサービスを希望する人は、配達員が利用者に直接手渡しする配達方法を採用している業者を選ぶようにします。

高齢者におすすめの食事宅配サービス

いろいろある食事宅配サービスの中で、特に高齢者に勧められるのは以下のサービスです。

ウェルネスダイニング

完成品の「お弁当タイプ」と、1人分の主菜と副菜の材料がそろった「調理キットタイプ」から選べ、冷凍で届きます。
電子レンジで解凍します。

1セットは7食分でおかずのみの提供ですが、別料金でパック入りご飯とフリーズドライの味噌汁が注文可能です。
通常食のほかに、カロリー制限、塩分制限、糖質制限、たんぱく質と塩分制限のメニューも選べます。
噛む力や飲み込む力の弱った人向けには、3段階のやわらかレベルで提供する「やわらか宅配食」があります。

価格は「お弁当タイプ」7食で4,800円(税込)、「調理キットタイプ」7食で5,184円(税込)、「やわらか宅配食」7食で4,968~5,616円(税込)です。
初回のみ送料無料で、2回目からは配送形態や個数に応じた送料がかかります。

わんまいる

1食分が主菜1品(袋)、副菜2品(袋)で、1セット5食分が冷凍で届きます。
電子レンジではなく、湯せんか流水で解凍します。主菜、副菜とも個別の真空パック入りのため、冷凍庫のスペースをとりませんし、おかずの組み合わせも自由です。
糖尿病食や腎臓病食などの療養食、咀嚼や嚥下に問題のある人向けの介護食は取り扱っていません。

価格は1セット5食で3,686円(税込)で、送料が935円(税込)、北海道、沖縄県は1,950円(税込)です。
注文数にかかわらず送料が一定のため、まとめて注文すると送料を節約できます。
5食入りの「お試しセット」を3,480円(税込)で購入できます。

食宅便

お弁当タイプが7食分冷凍で届きます。
電子レンジでの解凍です。

その都度注文する「通常コース」、毎週、隔週、月一の周期から選ぶ「定期コース」、好きなメニューを選んで組み合わせる「おこのみセレクトコース」があります。
おかずのみですが、冷凍白飯、フリーズドライみそ汁なども別途で注文可能です。
カロリーや塩分に配慮したメニュー、やわらかい食事セットの「ケアシリーズ」も提供中です。

価格は1セット7食で3,920円(税込)、ケアシリーズは1セット7食で4,340円(税込)です。
送料は1梱包780円(税込)ですが、定期コースを利用すると、1梱包あたり390円(税込)と割安になります。
1度の発送で2セットまで梱包可能のため、まとめて注文すると送料を節約できます。
4食入りの「お試しセット」を2,240円(税込)で購入できます。

自分に合った食事宅配サービスの選び方

ここでは、食事宅配サービスの選び方について説明します。

配送先に自宅が含まれているか

食事宅配サービスは、事業者により配送エリアが決まっています。
大手の企業では全国が配送対象となっていますが、地元の弁当店などは、配送エリアが限定されていることがほとんどです。
インターネットでサービス事業者を検索する際には、自宅が配送エリアに含まれているかを確認しましょう。

自分の健康状態に対応したメニューを選べるか

高齢者には持病をかかえる人も多く、病気に応じた療養食が必要な人がいます。
また、年齢とともに咀嚼力や嚥下力が低下するため、やわらかさや形状を調整した介護食が必要になることもあります。その場合は治療食や介護食を提供しているかどうかをチェックします。

さらに、食物アレルギーのある人や服用している薬により、特定の食品が禁忌の場合は、それらに対応可能かどうかも確認が必要です。

希望する保存状態で宅配されるか

食事宅配サービスで提供される保存状態には、①常温 ②冷蔵 ③冷凍 ④レトルトのタイプがあります。
ライフスタイルに応じた状態で配達されるかどうかも、選択のポイントです。

常温での配達は、配達員が1食から直接手渡しで届けるため、出前やデリバリーのようにできたての食事を食べることができますし、安否確認にもなります。
常温タイプは保存がききませんので、当日中に食べられる人向きです。

冷蔵、冷凍、レトルトは、配達頻度を低くし、ある程度の数量を一度にまとめて受け取りたい世帯に向いています。
冷蔵タイプは数日間、冷凍、レトルトタイプは長期間保存が可能なため、必要なときに必要な分だけ食べられるメリットがあります。
普段は自分で調理するが、忙しいときや疲れたときのためにストックしている、という声もよく聞かれます。

まとめ

食事宅配サービスは、高齢になり、自分や家族の食事の支度が負担になった人、高齢の親を在宅介護している人でときどき休息が欲しい人に、特におすすめなサービスです。

近年では多くの選択肢がありますので、病気の有無や咀嚼、嚥下力に応じた味のよい食事をとることが可能になりました。
試食や低価格でのお試し購入を提供しているサービス事業者もあるので、好みの食事を選んで健康的な食生活を送るようにしましょう。

タイトルとURLをコピーしました