はじめに
健康と長寿には「免疫力」が必要不可欠ですが、免疫力は年齢とともに低下してしまいます。
また、免疫力の重要性を知っていても、どうやって維持・向上させれば良いのか分からない人もおおいでしょう。
そこで今回は、免疫力の役割や効率的に向上させる方法について解説していきます。
免疫とは?
免疫とは病気に対抗する強さであり、ウイルスや菌などから体を守る防衛機能の事を指します。
さまざまな細胞や白血球の働きによって免疫の力は向上し、病気になりにくい体や、何度も同じ病気にかからない体が構成されていきます。
しかし、免疫力は年齢を重ねると次第に低下していくので、感染症やガンなどの病気にかかる可能性や、病気が治るまでの期間も長くなってしまいます。
自然免疫
生まれた時から持っている免疫を「自然免疫」といい、体内に入ってきたウイルスなどの異物に対して抗体を作ります。
自然免疫には以下のようなものがあり、ほとんどの異物は自然免疫だけで除去する事ができます。
・NK細胞(ナチュラルキラー細胞)
・マクロファージ
・好中球(食細胞)
NK細胞は、ガンやウイルスの感染細胞を見つけるとすぐに攻撃を開始しますが、それ以外の正常細胞を攻撃する事はありません。
また、マクロファージや好中球は体内に侵入した病原体を取り込む細胞であり、このような細胞が常に体内を循環しています。
獲得免疫
自然免疫で対応しきれない抗原は、「獲得免疫」の働きによって除去されます。
獲得免疫とは今までに感染したウイルスや、予防接種によって後天的に獲得する免疫であり、以下のような細胞があります。
・ヘルパーT細胞
・キラーT細胞
・B細胞
・形質細胞
・メモリーB細胞
・制御性T細胞
高齢者の免疫力低下の原因
免疫力が低下する原因はさまざまですが、加齢以外にも日々の生活習慣なども大きく関係しています。
加齢
免疫力の低下と加齢は密接な関係にあるので、どうしても避ける事はできません。
また、加齢による獲得免疫の機能低下は特に著しく、20代の頃と比較すると40代以降の能力は半減する事が分かっています。
睡眠不足
免疫力には睡眠時間も影響しているので、慢性的な寝不足は免疫力を低下させます。
睡眠時間が7時間未満の人は8時間以上の人と比べて、病気ににかかる確率が3倍高くなるので、なるべく質の良い睡眠を心がけるようにしましょう。
栄養バランスの偏り
免疫力は食生活の乱れでも低下してしまいます。
例えば、バランスの悪い食事は栄養バランスも偏りやすいですし、高齢になると味覚の変化や食事機能の低下によって自分の好きな物しか食べないようになりやすいです。
また、独り暮らしの人はこのような傾向が非常に強いので、免疫力が低下したと思ったら食生活の見直しをおすすめします。
免疫力の向上方法
免疫力は生活習慣を改善する事で向上させる事ができます。
まずは自分の日常生活を見直す事から始めてみましょう。
バランスの良い食事を取る
免疫力は栄養バランスと密接に関係しているので、バランスの良い食事を心がけましょう。
特に以下の食材は、免疫力を向上させる栄養素を効率的に摂取できるので、日々の食事に取り入れる事をおすすめします。
玄米や胚芽米
玄米や胚芽米にはビタミンやミネラル、たんぱく質のような基本的な栄養素が豊富に含まれています。
味や食感が独特なので、玄米や胚芽米を好まない人もいますが、そのような場合はアワやヒエなどの雑穀を白米に混ぜて炊くのも効果的です。
緑黄色野菜
ピーマンやかぼちゃなどの緑黄色野菜は、免疫力や抗酸化作用を高めるカロテンやポリフェノールを含んでいます。
もし、野菜が苦手だったり調理が手間だと感じる場合は、添加物の入っていない野菜ジュースでも代用する事ができます。
きのこ類
シイタケやシメジなどは、免疫力を高めるβ-グルカンだけでなく食物繊維やビタミンDも豊富に含んでいます。
また、きのこ類は1年を通して手に入れる事ができるので、日々の食事にも取り入れやすいです。
適度に運動する
ウォーキングや筋トレなどの有酸素運動は代謝や血行を改善し、免疫力も向上させます。
天気の良い日は8,000歩~10,000歩を目標にしたウォーキングがおすすめですが、最初から無理はせずに徐々に距離を延ばすようにしましょう。
また、天候の悪い日や寒い日には無理をせず、自宅でできる簡単なストレッチや筋トレもおすすめです。
ヨーグルトや納豆などの発酵食品
発酵食品にはビフィズス菌や乳酸菌などの「善玉菌」が多く含まれており、免疫力を高める代表的な食品となっています。
他にも味噌やキムチ、チーズなどがあり、食物繊維と一緒に摂取する事で善玉菌が増えやすい体内環境を作る事ができます。
ストレスを溜めない
強いストレスは自律神経に影響して免疫力を下げるので、ストレスを溜めないように適度に発散しましょう。
手軽なストレス発散方法として「深呼吸」が有名ですが、動物とのふれ合いや自分に合った趣味を持つ事も効果的です。
また、NK細胞は笑う事で活性化されるので、サークルや地域活動などを通して他者と積極的にコミュニケーションを取るようにしましょう。
腸内環境を改善する
免疫細胞は体全体に存在していますが、腸内にはその内の約60~70%が集中しているとされています。
つまり、腸内環境の改善はそのまま免疫力向上に繋がるので、食物繊維や善玉菌を多く摂取する事が重要になってきます。
しっかりと睡眠を取る
睡眠中には体内リズムを調整するメラトニンや成長ホルモンが分泌され、昼間に生成された活性酸素が除去されます。
活性酸素には細菌やウイルスを殺す力がありますが、増えすぎると正常細胞や遺伝子まで攻撃してしまうので、睡眠の質が悪ければ免疫力も下がってしまいます。
また、メラトニンが多く分泌される時間帯は午前2時~4時なので、この時間はしっかり睡眠を取れるように調整しましょう。
おわりに
今回ご紹介した通り、免疫力は日常生活の過ごし方を変えるだけでも向上させる事ができます。
また、免疫力は病気にかからない健康的な体作りには必要不可欠なので、バランスの良い食事や適度な運動を心がけるようにしましょう。