はじめに
家族が亡くなった場合は、葬儀を開いた後に法事を行う事で故人の冥福を祈ります。
しかし、今まで法事に出席したことはあっても、自分が施主になって時にどうすればいいかを知っている人はあまりいないのではないでしょうか?
そこで今回は、大切な法事をつつがなく執り行うために知っておきたい『法事』と『法要』の違いや、それぞれの目的について解説していきます。
法事とは?
法事とは故人の冥福を祈るとともに極楽浄土へ行けるように供養する、一連の仏教儀式のことであり、法事と法要は同じ意味で使われる事が多いですが、実は厳密には意味が異なります。
法事とはお坊さんによる読経と、その後の会食までを含めた一連の流れを指す言葉であり、法要はその内の読経のみを指す言葉です。
法要とは?
上述の通り、法要とはお坊さんの読経によって故人の冥福を祈る仏教儀式のことを表します。
故人が極楽浄土に行けるようお祈りする法要は、葬儀と並んで非常に大切な行事ですが、混同される事も多いので、それぞれの違いをしっかりと把握して正しく使い分けるようにしましょう。
法要を行う目的は?
法要とはお坊さんの読経とともに故人の冥福を祈る儀式であり、特に遺族が故人を偲んで行う法要を「追善法要」といいます。
仏教では善行を多く積んだ人が極楽浄土に行けるとされているので、遺族は故人に代わって善行を行います。
これは、もちろん故人を極楽浄土に送るためですが、そのような善行は巡り巡って自分のためにもなると考えられています。
一方で、浄土真宗では人は亡くなってすぐに仏になると考えられている事から、追善供養は行わずに故人との縁に感謝し仏法に親しむ場として法要が実施されます。
また、どの宗派でも法要の後に参列者やお坊さんを招き「お斎」という会食を開く事で、法要に参加していただいた人たちに対して感謝の気持ちを表します。
最近ではお斎の代わりに持ち帰り用の弁当やお酒を渡す事も増えているので、なるべく参列者やお坊さんの負担にならないように配慮しましょう。
忌日法要の種類について
故人の仏式葬儀を執り行った場合は、その次に忌日法要を行う必要があります。
これは命日から七日ごとに行う法要の総称であり、仏教では7日ごとに生前の行いを審査され、最終的に49日目に裁きを受けるとされているので、故人が無事に極楽浄土までたどり着けるように親族や生前に親しかった人を集めて故人を偲びます。
また、命日から49日間の期間は「中陰」と呼ばれ、この間は故人の魂はこの世とあの世の境目にあると言われているので、できるだけ遺影や位牌に手を合わせて供養しましょう。
初七日
初七日法要は亡くなってから7日目に行う、初めての忌日法要です。
故人が三途の川に着く日だとされており、生前の罪状によって川を渡る場所が決められるので、穏やかな流れの所を渡れるようにお坊さんに読経を行ってもらいます。
本来の初七日法要は亡くなってから七日目に行いますが、近年は葬儀の後に続けて法要を行うのが一般的です。
また、初七日だけに関わらず法事の日程を後倒しにする事は本来の意味的に望ましくないので、どうしてもスケジュールを確保できない場合は前倒しで調整しましょう。
二七日~七七日
初七日のあと、四十九日までの間は7日ごとに二七日・三七日・四七日・五七日・六七日と法要が続きます。
しかし、現代では仕事の関係などで時間を確保する事が難しいので忌日法要を省略するか、自宅で読経と焼香だけを行う家庭が増えています。
その後、四十九日法要を行いますが、仏教では四十九日目に全ての裁きが終わり、故人の行く先が決められるとされているので、四十九日法要は最も重要な忌日法要になります。
遺族は、この時に故人が極楽浄土へ行けることを願って法要を行い、その後に会食を行うのが一般的です。
また、既に納骨堂やお墓の用意が整っている場合は、この日に納骨や本位牌の設置も合わせて実施します。
百箇日
忌日法要には、百箇日法要といって命日から100日目あたりに行う法要もあります。
これは四十九日の時点で納骨先のお墓が完成していない時に行われることが多く、全体的な流れや内容は四十九日の時と変わりません。
また、百箇日法要のことを「卒哭忌(そっこくき)」、「出苦忌(しゅっくき)」とも呼びますが、これは大切な人を亡くした悲しみから卒業する日という事を表しています。
そのため、百箇日法要を行う事で忌日法要は終了し、後は命日に行われる年忌法要を行うことになります。
年忌法要の種類について
年忌法要とは、故人の命日に行う追善法要のことであり、経過年数に合わせて何年かおきに実施されます。
基本的には命日に法要を営むことが望ましいとされていますが、参列者の都合等も考えて直前の休日に行うのが一般的です。
忌日法要と同じく、年忌法要も命日を過ぎてから行うのは望ましくないので、日にちをずらす場合は命日を過ぎないように気を付けましょう。
一周忌~七回忌
一周忌は故人が亡くなって初めての年忌法要なので、親族や生前に関係があった人も招いて大規模に行う場合が多いです。
初七日や四十九日と同じく会食や引き出物、会場の手配なども必要になるので家族で役割分担をして作業することをおすすめします。
また、一周忌をもって正式に喪明けになり、それ以降も三回忌、七回忌と続きますが、ここからは規模を縮小して、遺族や親族のみで執り行うことがほとんどです。
年忌法要は数え年で行うため三回忌は没年から2年後、七回忌は没年から6年後となるので、年計算を間違わないようにしましょう。
十三回忌~三十三回忌
十三回忌以降の年忌法要は、十七回忌、三十三回忌と続きます。
二十三回忌、二十七回忌等を行う場合もありますが、この頃になると併修といって命日の近い他のご先祖様と併せて法要を行うこともあります。
一方で、十三回忌以降は家庭によって法事の規模感や間隔もまちまちです。
どの時期に法事を行うべきか分からない場合は、菩提寺や葬儀社に預けた年忌法要の時期表を確認する事をおすすめします。
法要はいつまで行うべき?
年忌法要は没年に応じて執り行われますが、年数が経つにつれ故人のことを知っている人も少なくなってきます。
いつまで行うのかは宗派や家庭によって異なりますが、三十三回忌を弔い上げとし、以後の法要は執り行わないというのが一般的です。
ただ、こちらも家庭によって違いがあるので、どの時期を弔い上げとするかは親族や菩提寺に確認してみましょう。