介護予防のために今日からできる事は?

介護

はじめに

要介護者の人口は年々増加しており、介護の期間も長期化が進んでいます。
要介護者を支援するサービスや制度はさまざまありますが、これからの時代は予防策が重要であり、介護を必要としない生き方の実践が重要となります。
介護が不要であれば本人だけではなく家族も安心できますが、自分だけの努力や工夫では限界があるため、国や自治体などが実施する介護予防サービスの利用をおすすめします。
そこで今回は、介護予防の目的や重要性のほか、さまざまな介護予防サービスや制度について解説します。

介護予防とは?

介護予防のために今日からできる事は?
生活習慣の見直しなど個人でできる介護予防もありますが、近年では国による介護予防の制度も充実しています。
いつまでも自立した生活が続けられるよう国や自治体、民間事業者による介護予防サービスがあり、以下の3つを目的としています。

■要介護状態になることを極力遅らせる
■要介護状態になるのを未然に防止する
■介護状態が悪化しないよう努め、改善を図る

食生活の改善や適度な運動、レクリエーションなどにより身体のさまざまな機能の低下を抑止するものであり、基本的には要支援レベルが1~2、または自立した生活のできる65歳以上の高齢者を対象としています。
要介護状態であっても要介護認定1など低いレベルであれば、ケアの状況や本人の状態によって介護予防サービスを利用できる場合もあります。

介護予防の現状と必要性について

介護予防のために今日からできる事は?
介護保険法の施行は2000年からですが、80年代以降の急速な少子高齢化に対応するため旧制度を改定したものでした。
しかし、高齢化社会に歯止めはかからず80歳~84歳では3人に1人、85歳~89歳では約半数の高齢者が介護を必要としています。
現在、介護の平均期間は4年7カ月となっていますが、今後も徐々に延びると予測されており、費用面の負担も大きくなります。
また、介護する側も高齢者となる老老介護の不安もあるため、どう介護するかの問題と合わせて「どうすれば介護状態にならないか」も考えておきましょう。

介護予防の種類

介護予防のために今日からできる事は?
介護予防サービスの種類ははさまざまですが、体系的には予防給付と総合事業に分けられます。
要介護認定を受けている人を対象とするのが予防給付であり、総合事業では65歳以上の人すべてと要支援者を対象にしています。
各サービスの具体的な内容は次のようになっています。

通常の介護予防サービス

要支援1または要支援2レベルの人が利用できるサービスが通常の介護予防サービスです。
要介護レベルの人が利用できる介護サービスと同じく、日常生活機能を向上させ自立した生活ができるよう通所や訪問によって支援します。
主なサービスには「介護予防通所介護」「介護予防通所リハビリテーション」「介護予防訪問介護」があり、身体機能の維持・向上とともにさまざまなアドバイスも受けられます。

介護予防通所介護

デイサービスセンターなどに通所(通うこと)し、自立生活を支援するのが通所型の介護予防サービスです。
本人の健康管理や食事・入浴・排泄などの介護やレクリエーションを行い、日常生活に必要な機能訓練も行うことで要介護状態になることや現状の悪化を防止する目的があります。
介護予防の対象は要支援1または2の認定を受けた人ですが、通所介護と違ってレスパイトケアの想定はないため利用者の家族の精神的負担の軽減は考慮されていません。
ちなみに、レスパイトケアは要介護者が施設で介護を受けている間、家族が一時的に介護から解放され休息できる措置のことをいいます。
サービス利用にあたっては地域包括支援センターや支援事業者によってケアプランが作成されるので、画一的なものではなく個々の利用者に沿ったサービスが提供されます。

介護予防通所リハビリテーション

介護予防通所介護と同じく日帰りで利用できるサービスであり、身体機能のリハビリテーションを目的としています。
サービスを受けられる場所は病院や診療所、介護老人保健施設や介護医療院等であり、理学療法士や作業療法士、言語聴覚士などによるリハビリテーションを中心としています。
本人の状態に応じて運動機能の向上、栄養改善、口腔機能の向上といった選択的サービスもあり、管理栄養士による食事相談や歯科衛生士による口腔清掃・飲み下しの訓練も行われます。
なお、介護予防通所リハビリテーションもレスパイケアの考慮はありません。

介護予防訪問介護

居宅型のサービスであり、ホームヘルパーと呼ばれる訪問介護員が自宅を訪問し、介護や日常生活を支援するサービスとなっています。
主なサービスは身体介護と生活援助に分かれ、身体介護では食事のケアや入浴、排せつや歩行介助のほか、ベッドメイキングや床ずれ予防、車いす関する介助などを行います。
生活介援助では買い物や薬局等での薬の受取り、調理や洗濯、掃除などを行い本人の自立を支援します。
他にも車の乗り降りや移動時の介助も行い、本人の見守りや相談相手としての役割も担っています。

地域密着型の介護予防サービス

各自治体が指定した事業者によるサービスであり、地域住民を対象としているため住み慣れた市や町を離れずにさまざまな支援を受けられます。
介護レベルでは要支援1または2を対象としており、サービス形態は介護予防認知症対応型通所介護、介護予防認知症対応型共同生活介護に分かれます。

介護予防認知症対応型通所介護

サービスを受けられる場所にはデイサービスセンターなどがあり、要支援1または2の認知症の人を対象として食事や入浴、排せつや機能回復に繋がるリハビリテーションを行い自立生活を支援します。
他にも本人の健康管理や生活相談にも応じ必要なアドバイスも行いますが、急性疾患を原因とする認知症の場合はサービスの対象外になることもあります。

介護予防認知症対応型共同生活介護

サービスを受けられる場所にはグループホームがあり、ヘルパーの支援を受けながら5~6人または5~9人で集団生活を行います。
一般的には福祉作業所に就労し、作業所近隣の民家で共同生活する場合が多く、要介護レベルの進行が早まると判断された場合は実生活に近い形でサービスが提供されることもあります。

地域支援型の介護予防サービス

各自治体が主体となる地域支援型の介護予防サービスでは65歳以上の高齢者全てを対象としています。
本人の状態に応じて介護予防特定高齢者施策、介護予防一般高齢者施策の2種類からサービスを選べますが、要支援や要介護に認定されなかった人でも利用可能となっています。
介護予防のマネジメントは地域包括支援センターが行うため介護保険の基本理念に忠実であり、2種類のサービス形態を総称して介護予防ケアマネジメントとも呼ばれています。
それぞれの目的は高齢者の自立支援であり、要支援や要介護にならないよう早めの段階から機能改善などの予防策を図ることとしています。

介護予防特定高齢者施策

サービスの対象は要支援や要介護状態になる可能性の高い65歳以上の高齢者であり、老人保健事業を通じて自治体から特定高齢者と判定された人です。
介護予防特定高齢者施策では介護予防ケアプランの作成を地域包括支援センターに依頼することでサービスを受けられ、形態としては通所型と訪問型に分かれています。
通所型では地域の公民館などを利用した介護予防サービスが行われ、自治体から委託された病院や保健所、社会福祉法人や高齢者在宅サービスセンターなどの団体が介護予防セミナーなどを実施します。
訪問型のサービスでは日常生活の支援をホームヘルパーが行い、保健師または看護師から食事や栄養改善のほか生活指導などを受けられるようになっています。

介護予防一般高齢者施策

65歳以上の高齢者全てを対象としていますが介護保険利用のない健康かつ自立した高齢者も含まれ、施策内容は介護予防普及啓発事業と地域介護予防活動支援事業に分かれています。
介護予防普及啓発事業では介護予防の必要性や基礎知識の普及を促進しており、介護予防に関するパンフレットや介護予防手帳の配布、講演会・セミナーなどの開催や地域イベントへ参加しています。
地域介護予防活動支援事業では認知症予防の講演会や研修会、健康セミナーなどを開催し、親睦を兼ねた食事会や料理教室などのほかボランティア支援も実施しています。
身体機能の維持改善を図るウォーキングなどレクリエーション要素を盛り込んだ支援活動もあり、積極的に参加することで老後問題でもある孤独の防止にも繋がっています。

おわりに

介護に関しては今後「介護状態になったらどうするか」の受け身姿勢ではなく、介護状態にならないための予防策がスタンダードになるとされています。
日帰りの通所で利用できるサービスや訪問介護など形態も多様化しており、本人の状態や希望に沿った介護予防も充実しています。
どの介護予防策が適しているのか迷ってしまう場合は、自治体の担当窓口や地域包括支援センターへの相談をおすすめします。

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