まさか自分も?万引き老人にならないため今からできること

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万引き老人とは?

まさか自分も?万引き老人にならないため今からできること
スーパーマーケットなどの商業施設で代金を払わずに商品を持ち去る行為が「万引き」であり、近年では高齢者の万引き件数が増加していることから「万引き老人」という言葉も生まれています。
万引きは「商品を間引く」が転じた通称であり、言葉の響きから軽く捉えられがちですが窃盗罪には変わりなく、刑罰の対象になっています。
生活資金に乏しい困窮老人が犯す罪といった印象もありますが、経済的に余裕のある高齢者が万引き老人になるケースもあるため、単純な動機ばかりではありません。
そこで今回は、万引き老人が増えている理由や自分がならないための対策について解説していきます。

万引き老人は年々増えている

まさか自分も?万引き老人にならないため今からできること
刑法犯検挙における高齢者割合は30年以上増加しつづけており、令和元年に至っては全体の22%を占めています。
検挙人数は平成元年が約31.3万人であり、令和元年では約19.3万人なので30年間で約6割まで減少していますが、高齢者の検挙人数は令和元年が約42,000人であり平成元年の6倍以上に増加しています。
中でも万引き老人の検挙数は多く、検挙人数における高齢者割合は過去5年で次のように推移しています。

・平成27年:36.7%(総件数75,114件)
・平成28年:38.5%(総件数69,879件)
・平成29年:39.5%(総件数66,154件)
・平成30年:39.9%(総件数61,061件)
・令和元年:40.2%(総件数55,337件)

なぜ、万引き老人になってしまう?

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高齢化社会にはさまざまな弊害があり、万引き老人の増加とも因果関係があるとされています。
生活資金が不足する一方、医療費や介護費は増え続けるため、「なるべくお金を使わないように」との思いが万引きの引き金になる場合もあり、善悪の判断がつかず常習的な万引き老人になるケースもああります。
ではどのような原因が万引き老人を生み出しているのか、詳しく解説します。

高齢者は再犯率が高い

以前は「スリルを味わいたかった」などの理由で万引きする若年層が多く、変化に乏しい生活に刺激を求めて万引きする専業主婦もいました。
現在でも一定数いますが検挙数は減少傾向にあり、貧困など切羽詰まった動機ではないため万引きからは自然に離脱していきます。
しかし、有識者研究会が行った調査によると、万引き老人の58.7%近くは再犯であり、全体の33.3%が「生活困窮」を理由としています。
次いで、「お金を払いたくない」や「許されると思った」も万引き理由となっており、回数を重ねるごとに罪悪感も希薄しています。

将来への不安

万引き老人が増加する原因には将来への不安もあり、テレビや新聞など報道記事への過剰反応もあります。
老後資金の不足度合いは人によって異なりますが、公的機関のデータは信憑性が高く、老後の収入源も限られていることから「今ある財産は減らせない」との不安に繋がっています。
また、老後のライフイベントには入院や介護、自宅改修など高額費用になるものが多く、友人や知人の不幸もあるため香典などの不定期出費も増えます。
老後の生活は収入は限られ出費は増えるという状況であり、万引き理由の1つである「お金を払いたくない」は将来への不安を反映したものとされています。

判断力の低下

認知症を発症するなど、判断力の低下は万引き老人に繋がりやすいため注意が必要です。
程度にもよりますが、認知症が進行すると善悪の判断ができなくなるため、自宅の冷蔵庫から取り出す感覚でスーパーの食材など手にし、自前のバッグやポケットに入れてしまいます。
仮に検挙されたとしても罪の意識はないため、結果として常習的な万引き老人になってしまいます。

社会的な孤独

現代社会の問題には独居老人もあり、孤独な立場が犯罪の引き金になるケースもあります。
1人暮らしの高齢者にはストレスの発散機会も少なく、反社会的な行為をしても詫びる家族もいないため、万引きなどの問題行動につながるのではないかとされています。
社会的な孤独が引き金となる場合、社会的地位や十分な資金があるにも関わらず万引き老人になる事例があり、配偶者など周囲に抑止力となる人もいないことから、他の犯罪を引き起こす可能性も高いです。

万引き老人になってしまう人の特徴は?

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身近な人を万引き老人にさせない、また自分自身も万引き老人にならないよう特徴を掴んでおかなければなりません。
万引き老人になる人の特徴は2つに大別されるので、家族や友人・知人、自分自身のチェック用として内容を把握しておきましょう。

節約意識が高い

万引き老人は節約を理由の1つとしているようですが、節約の本質は創意工夫と自助努力です。
節約の意味を履き違えてたり、貧困を認めたくないための言い訳とも捉えられますが、「お金を使いたくない」という気持ちには変わりがないです。
節約と称して近隣の草花を持ち帰って飾ったり、無料の配布物や試供品などを大量に持ち帰るようであれば、万引き老人になる黄色信号と捉えることができます。
また、このようなケースでは「良いものを無料でもらえた」という周囲の感謝が本人の承認欲を満たすため、節約の必要がない人でも万引き老人に可能性があります。

将来に経済的な不安を抱えている

老後のライフイベントを把握している人は少ないですが、感覚的な予測で済ませていると、実際に老後を迎えてから支出の大きさに悩まされることになります。
さらに、医療や介護技術の発達により長寿化が進んでいるため、資金不足のまま長い老後生活を送ることにもなります。
資金面の計画性が乏しい場合は将来の経済的不安も大きくなりますが、収入も限られているため「現状維持」の心理が働きます。
結果として「お金を使いたくない=万引き」となり、万引き老人が増加する原因にもなっています。

万引き老人にならないためにできること

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数十円の品物であっても万引きは犯罪であり、自分自身も含め家族の中から万引き老人を出さないようにしなくてはなりません。
1人でできる予防策もありますが、身近な人に近況を伝えることも重要です。
生活資金が枯渇しそうな場合は1人で抱え込まず、家族や親せきの協力を得るようにしてください。

老後のお金の計算を行い不安を取り除く

万引き老人にならない、させないためには現状把握が必要となります。
現在の手持ち資金、今後の収入や支出を正確に把握すれば不足分が明確になります。
今後、何にどれだけのお金が必要なのか分かれば不要な支出のカット、資産の売却、行政支援などさまざまな対策を打てるため、将来展望が見えるだけでも不安は解消されます。
近年は70代の人材募集もあり、年金に給与所得を追加することで不足分が解消される場合もあるため、健康状態に問題がなければ高齢再就職という選択肢もあります。

家族や親せき、知人とコミュニケーションをとる

万引き老人の特徴に「孤独」があり、65歳以上では56.4%が独居老人です。
また、友人や知人との交流がない人も46.5%であり、コミュニケーション不足や社会的孤立は万引きや暴行などさまざまな問題行動に繋がります。
家族とともに暮らす人は今日1日の出来ごとを話し合うなど、積極的な会話を心掛けてください。
1人暮らしの場合は親せきや知人と電話で話し合ったり、ボランティアや地域活動への参加もおすすめであり、コミュニケーションの機会を増やすことでストレスを溜めないようにしましょう。

おわりに

万引き老人の問題は他人事ではなく、自分自身がそうなってしまう可能性も十分にあります。
貧困や認知症など万引きの原因の多くは高齢者に当てはまるため、犯罪行為に至らなくても潜在的な予備軍は検挙人員数の何倍もいると想定されます。
自身や家族について万引き老人特有の行動をしていないか、判断力は衰えていないかなど、日々チェックすることを忘れないようにしましょう。