認知症について理解しよう
加齢と認知症は切り離せない関係にあり、2025年における高齢者の認知症有病率は19~20%程度になると推計されています。
MCIと呼ばれる軽度の認知障害も含んでいますが、高齢者の5人に1人が認知症を発症する時代は目前に迫ってきています。
そこで今回は、認知症予防に効果的な脳トレを紹介していきます。
中核症状について
認知症の症状には個人差があり、物忘れなどの記憶障害や、今までできていた簡単な手順が分からなくなる実行機能障害など色々な症状があります。
このような症状は中核症状と行動・心理症状に分けられ、脳の働きの低下によって起きる中核症状には以下のようなケースがあります。
・記憶障害
・判断力障害
・見当識障害
・実行機能障害
・失語(言語障害)
・失行
・失認
行動・心理症状について
中核症状に周囲の環境や人々の反応が組み合わさると、尊厳を侵害されたと感じて、暴言・暴力などの行動が現れるようになります。
脳が疲れやすくなっているので無気力状態になり、文字を読むことや人と話すことを避けたり、1日中動かずに過ごすことも増えるので、身体機能も次第に衰えていきます。
また、感情の抑制が効かなくなり、過度な興奮や被害妄想を起こすようにもなるので接し方が難しくなります。
脳トレは認知症に効果がある?
認知症は本人だけでなく家族にとっても大きな負担になるので、脳トレなどを通じて予防する必要があります。
脳トレの効果を疑問視する人もいますが、脳トレを行うことによって脳の血流や活動が活性化され、認知症を予防することは実証されています。
また、最近では科学的に研究された脳トレがWeb上などで公開されているので、そういったものを組み込むことで更に効果的に認知症を予防できます。
おすすめの脳トレ法
認知症予防のための脳トレは長く続けることが重要なので、飽きないように色々な工夫をしてみましょう。
また、過度な集中は疲労につながり次回の脳トレが億劫になってしまうので、1回あたりの時間を事前に決めておくことをおすめします。
簡単な計算
簡単な計算は脳を刺激して、認知症を予防してくれます。
最近だとスマホの電卓機能を使う人も増えていますが、自分で暗算できそうな場合はなるべく電卓は使わないようにしましょう。
また、買い物の際にカゴに入れた商品を計算するなど手軽に始めることもできますが、計算が得意な人には問題集が載っている雑誌やアプリもおすすめです。
いずれにせよ認知症予防には、日常的に自分で考えて脳みそを刺激することが重要なので、機械や人任せにするのではなく、自分でできることは自分でしましょう。
パズル
パズルにはピースをはめ込んで絵画などを完成させるタイプと、文字を埋めていくクロスワードパズルがあります。
どちらもゲーム感覚で手軽に集中力を鍛えることができますし、他の人と共同で取り組めるのでコミュニケーションツールとしても有用です。
もし、ピースが細かくて掴みづらかったり、文字が小さくて見にくいといった場合は、高齢者向けのパズル商品も発売されているので、そちらを利用しましょう。
また、パズルは簡単なものから難しいものまで幅広い難易度が用意されているので、面白いと感じた人はステップアップを目指して取り組むことをおすすめします。
指先の運動
神経が集中している指や手は第2の脳ともいわれており、指先を動かすことで脳の血流を活性化できます。
また、日常的にあまり行わない動きを加えることで更に効果が高くなるので、近年では医療や介護分野で注目を集めています。
指先の運動としては以下の「指体操」が特に効果的とされているので、毎日の生活に取り入れてみましょう。
- ①手の甲を自分側に向け、手のひらを開く
- ②数を数えながら親指から順番に折っていく
- ③数を数えながら小指から順番に開いていく
間違い探し
2つの絵を見比べる「間違い探し」は集中力と観察力が鍛えられるので、認知症予防に効果的です。
また、1人でも空き時間などに手軽にできることから、手軽な脳トレとして人気を博しつつあります。
最近だと、新聞や雑誌の省スペースに掲載されているものから、専門雑誌やWeb上のクイズサイトの載っているものまで色々な種類があります。
塗り
塗り絵は他の認知症予防と違い、想像力や創作力を司る前頭葉を鍛えることができます。
クリエイティブな作業になるので人によって得手不得手がありますが、苦手でなければ挑戦してみましょう。
また、計算問題やパズルだと一度解いてしまうと繰り返すことはできないですが、塗り絵は正解がないので自分が納得するまで何回でもチャレンジできます。
脳トレ以外の認知症対策
認知症には突発性の種類もありますが、多くは生活習慣の積み重ねによって発症します。
そのため、栄養バランスの取れた食事やしっかりとした睡眠など、日々の生活を見直して改善することが重要です。
生活習慣病の予防
血圧が高いと動脈硬化になるリスクが高まり、脳血管にも悪影響を及ぼします。
糖尿病の場合もアルツハイマー型の認知症を発症しやすいので、糖分や塩分の摂りすぎには注意しましょう。
近年では、認知症のリスクを低くする食品なども研究されていますが、バランスの取れた食事を摂取することが最も基本的かつ重要な予防になります。
また、規則性のある食生活は睡眠の質にも影響するので、朝食を抜いたり深夜に食事するなど体の負担になるような食生活は控えましょう。
運動を習慣的に行う
適度な運動は筋力や骨密度を向上させるだけでなく、脳の活性化にも影響します。
ウォーキングのような運動を継続すると認知症リスクを大幅に下げられますが、近場の外出を車から徒歩に切り替えるのも効果的です。
また、若い世代であれば1日1万歩が理想とされていますが、高齢者の場合は5~7千歩程度でも認知症や死亡リスクが低減されます。
まとめ
認知症予防に効果のある脳トレですが、短期集中ではなくコツコツと長く続けることに意味があります。
脳トレには簡単な計算やパズルなど種類も多くあるので、自分に合ったものをいくつか選び、短時間でもいいので毎日少しずつチャレンジしてみましょう。
脳トレで頭を使った後は少し出歩いてみたり、伸びやストレッチなど体を動かすことも認知症予防に繋がります。