枕飾りとは?
枕飾りとは、自宅などに安置された遺体の枕元に置かれる祭壇のことであり、故人が現世に未練を残さないよう供養するために設置します。
本祭壇と比較して質素な造りや飾り付けであることが多いですが、事情があって葬儀に参列できない人が弔問のために訪れる場所でもあります。
そこで今回は、枕飾りの基本的な飾り方や配置についてご紹介していきます。
枕飾りの飾り方
枕飾りの飾り方や必要なものは各宗派によって大きく異なりますし、独自のものを飾る地域もあります。
もし自分の宗派や地域ごとの飾り方が分からない場合は、菩薩寺の僧侶や親戚に聞いてみましょう。
枕飾りに必要なもの
枕飾りに必要なものは以下の7種類に分けることができます。
お供え物や燭台を設置する台は白木台を用いるのが一般的な慣習ですが、もし用意できない場合は机やテーブルに白布を被せたものでも大丈夫です。
その他、ロウソクや花瓶の色についても白色で統一することをおすすめします。
また、供花には菊や百合が選ばれることが多いですが、こちらは故人が好きだった花を供えるケースも増えています。
・白木台
・香炉
・燭台とロウソク
・供花と花瓶
・水
・枕団子と枕飯
・鈴と鈴棒
枕飾りの配置
枕飾りの配置方法は色々な種類がありますが、一般的には以下のように配置することが多いです。
また、仏教では釈迦が入滅した北側と遺体の頭の向きを合わせる慣習があるので、枕飾りも北側に置かれることが多いです。
もし、間取りなどの関係で北側に設置するのが難しい場合は、極楽がある西方浄土に向けて置きましょう。
・前段左 枕団子
・前中央:線香と香炉
・前段右:お鈴と鈴棒
・後中央:枕飯と水、供花と花瓶
・後左右:ロウソク
枕飾りはいつ飾る?
枕飾りは遺体を葬儀場の安置所などに搬送した後に、自宅に設置することが多いです。
お供え物や供花などは簡単に用意できますが、鈴棒のように一般家庭にはあまり置いてないものに関しては、葬儀会社に相談してレンタルすることもできます。
また、どのタイミングで枕飾りを片付けるかは葬儀のスケジュールによって変わってきますが、一般的には通夜の準備と並行して行います。
通夜や葬儀には本祭壇を使用しますし、火葬後には後飾りに移行するので、その頃には自然と枕飾りも不要になります。
とはいえ、葬儀が終わるまでは準備や対応に追われることになるので、葬儀全体が終了して一段落してから片付けても問題はありません。
枕飾りの注意点
枕飾りを飾る際には、以下のような注意点をしっかりと確認しましょう。
灯明・線香を絶やさない
灯明や線香は、故人の行く先を照らす道標としての意味があるので、できるかぎり絶やさないようにしましょう。
夜通し起きて火が付いているか確認するのは大変なので、基本的は交代制で見守る場合が多いです。
また、最近のロウソクは燃焼性能が高いので数時間程度は燃え続けますし、火事などが心配な人は電気式のロウソクを利用しても問題ありません。
枕飯を用意する
枕飯とは器に盛った白米に対して2本のお箸を垂直に立てたものであり、通常のご飯とは別に作ります。
一般的にはご飯にお箸を立てる行為はマナーや縁起が悪いとされていますが、枕飯は故人にとっての最後の食事になるので、しっかりと用意しましょう。
また、しっかりと食事を摂ることで健やかな魂となるので、ご飯はなるべく器いっぱいに盛ることをおすすめします。
枕団子を用意する
枕団子とは米粉とお湯で作る団子のことであり、釈迦の修行の無事を祈って、菩薩がお供えしたという言い伝えに由来があります。
一般的には故人が地獄や天上のような六道の世界に旅立つ際にお腹が空かないように、6個お供えします。
葬儀会社によっては事前に用意されているケースもありますが、故人の旅路の無事を祈るためのものなので、遺族や親族が手ずから作成することが多いです。
枕飾りとして設置する場合は、白い皿や半紙の上に下段5個・上段1個という構成で積み上げましょう。
宗教ごとに違う枕飾り
基本的に枕飾りは仏教の習慣ですが、近年ではそれ以外の宗教でも枕飾りを行うことがあります。
ほとんどの日本人は仏教徒なので他宗教の枕飾りを行う機会は少ないですが、知識としては知っておきましょう。
キリスト教の枕飾り
キリスト教には枕飾りのような習慣はないですし、通夜も行わないのが一般的です。
しかし、日本国内のキリスト教は仏教などの他宗教から影響を受けており、その一環として死者の幸福を祈るための祭壇を設置する場合があります。
その場合は祭壇の土台を作り、中央に聖書・右側にパンと水・左側に十字架を置きましょう。
また、カトリックは終油の秘跡という儀式も合わせて行うので、聖油つぼも用意する必要があります。
神道の枕飾り
神道の枕飾りでは三方と呼ばれる台の上に、水・神酒・米・塩を設置して、周囲を榊とロウソクで飾り付けます。
燭台や神酒が左右に2本ずつ設置されたり、位牌ではなく御霊代を使うなど仏式の枕飾りとは異なる点も多いです。
枕勤めとは?
枕勤めとは、枕飾りの後に僧侶から枕経を受ける儀式のことです。
本来は故人が亡くなる直前に行っていましたが、現代では亡くなった直後に初めて読まれるお経として普及しています。
そのため、基本的には遺族や親戚のみで執り行いますし、香典の持参や喪服の着用は必要ありません。
とはいえ最低限はTPOに合わせなければいけないので、アウターやズボンは黒色で統一しましょう。