つみたてNISAの銘柄選びはどうすれば?

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はじめに

老後資金2,000万円問題といったように、老後の安定した生活をするためには国に頼らず、自分で資産形成をしていく時代になりつつあります。
しかし、現在の超低金利では銀行に預金しても資産は全く増えないどころか、インフレによって徐々に目減りしてしまいます。
そこで今回は、投資初心者に最もお勧めの「つみたてNISA」を活用して、老後資金を積み立てる方法について解説していきます。

つみたてNISAとは?

つみたてNISAの銘柄選びはどうすれば?
つみたてNISAとは、2018年から開始された「非課税枠のある投資信託」です。
通常であれば投資による利益には20.315%の税金が課せられますが、つみたてNISAを活用することで年間40万円分の非課税枠を合計20年間も利用することができます。
投資可能期間は2018年から2037年までとなっているため、2037年に購入した分は20年後の2057年まで非課税となります。

一般NISAとは取り扱い銘柄や非課税期間などが大きく異なりますが、どちらか一方しか利用できません。
また1人1口座限定なので、複数の証券会社でつみたてNISAの口座を開設することもできない仕組みとなっています。

つみたてNISAで銘柄選びが重要な理由

つみたてNISAは銘柄選びが重要だと言われていますが、その理由の一つは「スイッチングによる非課税枠の消費」という点にあります。
もちろん、それまで保有していた銘柄を売却して、売却益を他の銘柄の購入資金に当てることはできますが、その場合は非課税枠を消費することになります。

また、つみたてNISAは長期投資を前提とした制度なので、スイッチングによって非課税枠を消費すると複利効果が減少してしまいます。
なので、複利効果を最大化するためには、最初に選択した銘柄を長期保有し、その運用益を再投資しつづける必要があります。

銘柄選びで気を付けたい2つのポイント

つみたてNISAの銘柄選びはどうすれば?
つみたてNISAで選択できる銘柄は絞られているとはいえ、全体で193本もあります。
まずは、気になる銘柄を見つけたら「交付目論見書」(投資信託説明書)の内容を確認してみましょう。
聞き慣れない難しい言葉や、どう見ていいのかよくわからないグラフなども記載されていますが、ポイントになるのは、「ファンドの投資先」と「ファンドの運用方法」の2点になります。

ファンドの投資先

つみたてNISAの銘柄は、「投資信託」か「ETF」(上場投資信託)に限られていますが、ETFは数本しかなく、その大半が投資信託です。
ポイントはその投資信託の投資先がどういう構成になっているかという点です。

株式に比重が置かれているのであればハイリターン、債券に比重が置かれているのであればローリターンです。
また、対象地域が新興国の企業や市場であればハイリターン、先進国(特に国内)であればローリターンとなっています。
つみたてNISAは短期で資産を増やしていく投資方法ではないので、あくまでも長期の視点や自分のスタイルに合った銘柄を選ぶようにしましょう。

ファンドの運用方法

ファンドの運用方法は大きく二つに分かれています。
一つは「パッシブ運用」(バランス型)と呼ばれるもので、ローリスク・ローリターンの方針を採用しています。
その分、信託報酬額が低く設定されており、平均株価指数(インデックス)をベンチマークとして連動するような仕組みになっています。

もう一方は「アクティブ運用」と呼ばれるもので、ハイリスク・ハイリターンの銘柄です。
ファンドを形成する際に、個別の銘柄の株式を指定し、インデックスを上回る運用益を狙います。
ただし、信託報酬は相対的に高めとなっており、長期的に見ると取引コストと運用益が釣り合わない可能性もあるので、事前にチェックすることをおすすめします。

また、年利で比較してみると、パッシブ運用の目安年利は3%程度ですが、アクティブ運用であれば5%前後が目安となります。
20年間長期で積立した場合のシミュレーションで、成果の違いを確認してみましょう。

■年利3.0%の銘柄に限度額投資した場合
10年後 積立額461.1万円(運用益65.1万円)
20年後 積立額1,083.4万円(運用益291.4万円)

■年利5.0%の銘柄に限度額投資した場合
10年後 積立額512.4万円(運用益116.4万円)
20年後 積立額1,356.4万円(運用益564.4万円)

どちらでも1,000万円以上の積立が可能ですが、同じ金額の積立でも、年利3.0%と5.0%では20年後には300万円近くの差になります。

利回り重視の人におすすめの銘柄3選

つみたてNISAの銘柄選びはどうすれば?
ハイリスクでもリターン重視の人には、以下のようなファンドがおすすめです。
各種数値や手数料については随時変更される可能性があるため、最新のデータを知りたい方は公式HPをご確認ください。

EXE-i グローバル中小型株式ファンド

主にETFへの投資を通じて、日本を含む世界中の中小型株式へ投資を行うファンドです。
基本投資割合は米国の中小型株式指数に連動する投資対象ファンドに60%、米国以外の中小型株式指数に連動する投資対象ファンドに40%となっています。

2021年5月25日時点で公表されている信託報酬は0.327%、基準価格は21,969円、純資産額は103.11億円になります。
また、100億円以上の純資産を保有しているファンドは世界的に見ても極少数であることから、このファンドの人気度が伺えます。

フィデリティ・米国優良株・ファンド

米国の取引所に上場している株式に投資するファンドです。
個別企業分析によって、国際的に優れていると判断された優良企業や将来性の高い起業に投資を行います。

信託報酬は1.639%で、基準価格31,987円(2021年5月25日時点)、純資産額は396.41億円です。
純資産額は前年比でプラス48.41%と大きく伸びています。

コモンズ30ファンド

コモンズ30マザーファンドを通じ、日本を含む世界中の金融商品取引所に上場している株式に投資を行っているファンドです。
投資先の銘柄は30社で、ホンダ、コマツ、リンナイ、ダイキン工業など海外売上高比率が70%を超える企業が10社あります。

信託報酬は1.078%で、基準価格36,337円(2021年5月25日時点)、純資産額は265.61億円です。

安定重視の人におすすめの銘柄3選

つみたてNISAの銘柄選びはどうすれば?
バランス型重視のパッシブ運用を扱いたい場合は、全世界株式がおすすめです。
投資先の地域を分散することで堅実なリスクヘッジを行うことができます。
信託報酬はアクティブ運用と比較すると圧倒的に安くなっており、0.1%程度が相場となっています。

SBI・全世界株式インデックス・ファンド

愛称は「雪だるま」。
全世界の株式市場の値動きに連動する投資成果を目指します。
基本投資割合は、米国株式が55%、米国以外の先進国株式が35%、新興国株式が10%です。

信託報酬は0.1102%で、基準価格14,187円(2021年5月25日時点)、純資産額は230.80億円です。
純資産額は前年比でプラス257.33%と大きく伸ばしています。

eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)

大人気の銘柄で、楽天証券では投資信託の銘柄の中で積立設定件数2位、買付ランキング3位です。
日本を含む先進国および、新興国の株式市場の値動きに連動する投資成果を目指しています。
基本割合は米国が58.3%、日本6.9%、イギリス3.5%、フランス2.8%などとなっていますが、情勢に合わせて臨機応変に対応する特徴もあります。

信託報酬は0.1144%で、基準価格14,793円(2021年5月25日時点)、純資産額は1753.87億円です。
純資産額は前年比でプラス542.44%と驚異的な伸びとなっており、最も注目されている銘柄です。

eMAXIS Slim 全世界株式(3地域均等型)

日本を含む先進国と新興国の株式市場の値動きに連動する投資成果を目指しています。
基本割合は、国内の東証株価指数(TOPIX)に連動するTOPIXマザーファンドに33.3%、MSCIコクサイインデックスに連動する外国株式インデックスマザーファンドに33.3%、MSCIエマージングマーケットインデックスと連動する新興国株式インデックスマザーファンドに33.3%と3地域に均等に分散する仕組みです。
信託報酬は0.1144%で、基準価格13,311円(2021年5月25日時点)、純資産額は36.03億円です。