認知症予防には何が効果的?今日から始められる予防法について

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認知症とは?

認知症予防には何が効果的?今日から始められる予防法について
脳の中の血管が詰まったり破れたり、脳そのものの病気により、物忘れが酷くなったり、手足が不自由になることがあります。
このように日常生活のさまざまな場面で支障が出てくる状態のことを、認知症と言います。

老化による物忘れと認知症の違い

年を取ると漢字を思い出せなかったり、以前会った人の名前が出てこないなど、誰でも物忘れが多くなります。
しかし認知症の場合は同じ商品を何度も買ってしまったり、会話のやり取りが突然できなくなるなど、特有の症状が徐々に現れます。

三大認知症とそれぞれの特徴

認知症予防には何が効果的?今日から始められる予防法について
ここでは進行すると危険な状態に陥りやすい、三大認知症の症状を詳しくご紹介します。

アルツハイマー型認知症

アルツハイマー型認知症の原因は今もはっきりと分かっていませんが、男性よりも女性が多く発症しています。
最も有力な学説はアミロイドβという、脳で生成される特殊なタンパク質が脳内で蓄積し、脳神経が徐々に冒され、症状が進行するというものです。

アミロイドβが脳内に溜まっていくと、脳神経が徐々に失われ、物忘れが酷くなります。
そして運動機能に影響が及ぶと、少しずつ手足の自由が効かなくなり、最後は影響が中枢神経に及んで寝たきりとなり、呼吸不全で命を落とします。

脳血管性認知症

脳血管性認知症は脳内の血管が詰まる脳梗塞や、脳の血管から出血する脳内出血の影響で起こる認知症の総称で、医療統計では女性よりも男性のほうが、2倍起こりやすいとされています。

例えば脳内の大きな血管にプラークと呼ばれる血の塊が付着し、脳梗塞になると、そこから先の脳細胞に栄養が行かなくなり、脳細胞が死滅します。

その影響で記憶障害や運動障害など、さまざまな症状が現れます。
くも膜下出血に代表される脳内出血は、脳の血管が破け、大量の血液が脳と頭蓋骨の間に溜まります。

その結果、脳が極度に圧迫されて脳全体に障害が発生したり、出血の影響で脳細胞が死滅し、運動機能障害や認知機能の低下が起こります。

レビー小体型認知症

レビー小体型認知症は「レビー小体」という、円形の特殊なタンパク質が脳内に増えることで発症します。
レビー小体型認知症は初期や中期ごろの段階では、記憶障害があまり見られないため、認知症と判断され難いケースがよくあります。

ただし歩幅を狭く小刻みにして歩いたり、見えない物が見える幻視は、レビー小体型認知症の特徴的な症状のため、早めに専門医の診察を受けたほうがよいでしょう。

認知症の具体的な症状とは?

認知症予防には何が効果的?今日から始められる予防法について
認知症の具体的な症状はどのようなものがあるのでしょうか?
この章では中核症状、周辺症状、運動障害の3つを軸に、詳しくご紹介します。

中核症状

中核症状は脳の記憶障害により発生する症状であり、主に以下のような例が挙げられます。

・同じ会話を何度も繰り返しているのに気が付かない
・食事をした後にまた食事を食べると言う
・捜し物が見つからず常に部屋の中を探し回っている
・服装や身なりを気にしなくなる
・自宅の近所でよく迷子になる

周辺症状

周辺症状は精神的な不安などに起因するものであり、以下のような症状が見られます。

・自宅を自宅と認識できないため徘徊が始まる
・感情の制御が効かなくなり暴力や暴言が酷くなる
・何もかもができないので全てに自信を無くし無気力化する
・財布を盗られた、浮気をされたなどの妄想が酷くなる

運動機能障害

運動機能障害は主に認知症の中期以降に現れ、多くの場合、日常生活の介護が必要となります。
ただし、これらの症状は先にご紹介した認知症のタイプや個人差により、多少違うことがあります。

・脳神経が失われ手足の動きが不自由になる
・食事やトイレが1人で行えなくなる
・ゆっくりと緩慢に歩くようになる
・1人でベッドから立ち上がれなくなる
・ベッドから起き上がれず寝たきりになる(終末期)

今日から始めたい9つの予防法

認知症予防には何が効果的?今日から始められる予防法について
怖い話ばかりをしましたが、ご安心ください。認知症にはさまざまな予防法があります。
今回はその中から効果的な予防法を9つ厳選し、ご紹介します。

食習慣の改善

たかが食事と思いがちですが、特に高齢者は塩分の多い食事が高血圧に、甘い物の摂り過ぎは糖尿病の原因になりやすいです。

慢性的な高血圧は血管をもろくし、脳出血を誘発させます。
同じく糖尿病による慢性的な高血糖状態は、全身の血管を傷付け、血管内にプラークという血の塊を作り出し、プラークが血流に乗り脳血管に運ばれ、脳梗塞を引き起こすことがあります。

そのため塩分や糖分を適度に控えた食事をすることが、効果的な認知症予防に繋がります。

規則正しい生活習慣

いくら塩分や糖分を控えても、朝食を摂らなかったり、昼にドカ食いしてしまうなど、不規則な生活習慣を続けると、予防効果は大きく低下します。
健康の維持には朝昼晩の3食を同じ時間に摂るなど、規則正しい生活習慣を心掛けることが重要です。

定期的な運動

定期的な運動は全身の血流を改善し、筋力のアップに繋がるため、脳機能や運動機能の維持に繋がります。
高齢者には心臓への負担の少ない有酸素運動がオススメです。天気のよい日に近所を30分ほど散歩するだけで、大きな認知症予防になるでしょう。

脳へ刺激を与える

例えば音楽鑑賞や映画鑑賞は聴覚や視覚に直接作用するため、脳機能の向上に繋がります。
ほかにも認知症予防には簡単なゲームが効果的です。特にしりとりやトランプ、パズル、お手玉など、脳と体を使う遊びが、高齢者施設では積極的に取り入れられています。

他人との交流

人との会話は脳内の言語中枢を刺激し、思考力や想像力を向上させます。逆に他人との会話が極端に少ない生活は、認知機能低下の大きな要因になることがあります。
そのためデイサービスに通所したり、地域のサークル活動やボランティア活動へ積極的に参加することが、高齢者の認知症予防に繋がります。

動物との交流

アニマルセラピーという言葉があるように、動物と人との交流は五感を大きく刺激し、認知機能を高める効果が期待できます。
ただし高齢者が自宅でペットを飼うのは、手間や寿命の点からもリスクが伴います。
例えば保護猫カフェに行って、ゆっくりと癒やされたり、アニマルセラピーを実施している高齢者施設を利用するほうが望ましいでしょう。

趣味を持つ

ある専門機関の研究によると、趣味を持っている高齢者と持たない高齢者では、認知症の発症リスクが大きく違うという統計結果が出ています。
特に園芸や観光、散歩やジョギングなど、体を動かす趣味は認知症を発症する確率が、大きく下がるとされています。

脳によいサプリメントを摂取する

アジやサバなどの青魚に多く含まれるDHAやEPAなどのオメガ3脂肪酸は、認知機能の向上に役立ちます。
米国立保健研究所(NIH)によれば、オメガ3脂肪酸を積極的に摂取した人は、しなかった人に比べ、認知機能の低下が少なかったとの研究結果が出ています。

オメガ3脂肪酸には血液サラサラ成分が多く含まれます。
そのため食事だけではなく、サプリメントで積極的に摂取すれば、大きな認知症予防になるでしょう。

好きな匂いで癒やされる

脳機能は嗅覚によって大きく変化します。例えば臭くて嫌なニオイを嗅ぎ続ければ、脳に障害が起こり、人はうつ病にのようになってしまいます。
でも反対に草花の匂いや好みの匂いを定期的に嗅ぐと、気分を効果的にリフレッシュできるため、認知症予防に最適です。

森林浴などがオススメですが、一番お手軽なのはアロマセラピーでしょう。
現在はインターネットでアロマオイルと、匂いを広げる拡散器が簡単に手に入ります。
この2つさえあれば季節に関係なく、自宅ですぐにアロマセラピーを始められます。

認知症予防に正解は存在しない?

認知症予防には何が効果的?今日から始められる予防法について
認知症の発症原理はまだまだ解明されていない部分が多く、現在奨励されている認知症の予防法が、果たして本当に正しいかどうかは、はっきりと分かっていません。
例えば認知症予防を毎日行うため、精神的なストレスが大きくなっては、何のための予防法か分からなくなってしまいます。

そのため今回ご紹介した予防法の中から、自分にあった物を選び、無理なく行うことが、本当の認知症予防に繋がるでしょう。