はじめに
日本は欧米諸国と比較した際に、資産を投資運用するのではなく、銀行預金する人の割合が非常に多いとされています。
定期預金の金利が高かった時代ならともかく、20年以上の超低金利が継続している現代において現金預金はデメリットの方が大きいです。
そこで今回は、銀行預金を続けることのデメリットや手軽に始められる投資方法についてご紹介していきます。
データで見る日本人の「投資嫌い」
日本銀行調査統計局が2020年に発表した家計金融資産構成によると、銀行預金を行っている人の割合はアメリカで13.7%、ユーロ圏で34.9%に対し、日本は54.2%と圧倒的なシェアを保持しています。
一方で、株式・投資信託・債券などの資産運用は、アメリカで50.8%、ユーロ圏で27.9%となっていますが、日本では14.4%の人しか行っていません。
しかも、2018年のデータと比較すると、日本は銀行預金の割合が1.7%も上昇しており、株式・投資信託・債券の割合は1.8%減少しています。
なぜ日本人は投資が嫌いなのか?
日本人の投資嫌いには、特に国民性が大きく関わっているとされています。
日本人という人種は良くも悪くもリスクを避ける傾向にあるので、不確定要素が大きい投資に対しては忌避感を感じる人が多いです。
また、欧米諸国では小さい頃から金融リテラシーについて学ぶ機会がありますが、日本の義務教育ではそのようなことは学習指導要領には含まれていません。
このような国民性や教育が積み重なった結果、日本人の大半は投資について無教養・無関心になってしまったと言えます。
銀行預金のデメリット
もちろん投資にもリスクやデメリットはありますが、銀行預金を続けた際に被るデメリットは想像以上です。
まずはそのデメリットの深刻さについて、しっかりと理解を深めましょう。
インフレが起こると価値が目減りする
現在の銀行預金の金利は0.1%を割っているため、どれだけ多額の資産を預けたとしても利息には期待できません。
そのような状況で経済のインフレが進めば、預金金利はインフレによる物価向上を下回ることになるので、実質的な資産価値は目減りすることになります。
今の日本はインフレを目指しているものの、その目標を達成できていませんが、今後もインフレが進まないという保証は存在しません。
ペイオフ制度では1,000万円までしか保護されない
銀行預金は預金保険制度(ペイオフ制度)の対象になっているので、銀行が経営破綻を起こしても1,000万円までは補償されます。
しかし、原則として余剰分については保護されないため、銀行に多額の資産を預けている人は自分の抱えているリスクをしっかりと把握する必要があります。
また、銀行は倒産しない、もしくは倒産しそうになったら国が助けてくれるから問題ないと考えている人も多いですが、そのような考え方は非常に危険です。
昨今、金融業界における規制緩和を受けて、外資系企業や大手IT企業による新規参入が続いていますし、FinTechと呼ばれるテクノロジーを武器とした企業も台頭しつつあります。
このような流れが加速すれば、既存のビジネスモデルに依存している銀行が倒産する確率は飛躍的に高まっていくとされています。
そのため、銀行預金にも一種の元本割れが発生するリスクがあることは認識しておきましょう。
投資を”する人”と”しない人”ではどれだけ差ができる?
投資には不確定要素が含まれているので、銀行預金と単純比較することは難しいですが、仮定を基に検討することは可能です。
例えば、15年に渡って100万円の資産を銀行預金したとすると、利息は15,000円程度にしかならないですが、投資によって年利5%を達成できれば、およそ15年で運用資産は倍になります。
この差は資産運用を行う期間や金額によって更に大きくなる可能性があるので、銀行預金に依存している人がどれだけ損をしているかが一目瞭然と言えます。
投資を始める際の注意点
投資初心者が気をつけるべきことは山のようにありますが、まずは基本的な考え方から学んでいきましょう。
また、投資を続けていく中で、自分なりの学びや気付きがあるでしょうが、それらをしっかりと積み上げていくことが、成功への近道です。
投資先の分散(分散投資)
投資界隈には「卵をひとつのかごに盛るな」という格言があります。
例えば単一の株式だけに資産を集中させていると、株価が暴落した際に資産の大半を失うことになります。
このようなリスクを避けるためには、投資先を分散することが重要です。
ポートフォリオの組み方は人それぞれですが、ボラティリティ(価格の変動性)が高いものと低いものを一定の割合で組み合わせる方法が一般的です。
時間の分散(継続投資)
投資先を分散するだけではなく、時間を分散することもリスクマネジメントには欠かせません。
継続投資の手法としては「ドルコスト平均法」が有名であり、この手法は相場の値動きに合わせて購入量を調整することで、平均購入価格を抑えることを目的としています。
多くの金融商品は短期で暴落することはあっても、中長期的には成長していくので、ドルコスト平均法に基づく投資を継続すれば長期的な利益もしっかりと確保できます。
初心者にお勧めの投資方法
それでは投資初心者にお勧めの投資方法について、具体的にご紹介していきます。
リターンとリスクのバランスが整った投資方法は数多くありますが、その中でも専門知識を必要とせず手軽に始められる方法をピックアップしています。
ETF(上場投資信託)
ETFとは、NYダウ平均株価指数や日経平均株価指数、TOPIX(東証株価指数)といったインデックスに連動している投資信託の総称です。
ひとつの銘柄を購入することで、そのインデックスを構成する様々な株式に分散投資することが可能です。
株式の分析や、細かい売買を行う必要がないので手軽に始めやすいですし、上場株式と同じようにリアルタイムで売買することもできます。
REIT(不動産投資信託)
REITとは不動産の投資信託の略称であり、少額から不動産投資を行うことができます。
不動産投資は景気や市況の影響を受けやすいですが、REITの場合は投資先の不動産が多岐にわたるので通常よりもリスクを軽減しやすいです。
また、賃貸物件や商業施設など投資を行う不動産の種類を選ぶことができるので、市場の動向を見ながら投資先を柔軟に組み替えることも可能です。
外貨預金
日本だと金利が低いため、外貨建預金によって高い利息を狙うという運用方法もあります。
米ドルであれば外貨定期預金で0.1%、豪ドルであれば0.5%程度の金利が見込めますし、為替差益も運用益として期待できます。
その反面、為替相場の影響を強く受けるため、円高に傾くと為替差損になる可能性もあります。
NISA・つみたてNISA
運用益に対し非課税枠が設けられている投資方法が、NISAとつみたてNISAです。
NISAは年間120万円で5年間分の600万円分が非課税になっている一方で、つみたてNISAは20年間で計800万円の非課税枠を利用できます。
NISAの方が金融商品のラインナップが多く、株式や投資信託などを選ぶことができます。
つみたてNISAは国で厳選された金融商品に絞られており、ETFが少しありますが、基本的に投資信託から選ぶことになります。
iDeCo
非課税枠が設けられている投資方法としてiDeco(個人型確定拠出年金)があります。
こちらは掛け金も所得控除されるので、節税対策にも利用できるというメリットがありますが、他の投資方法と大きく異なるのは60歳になるまで引き出せないという点です。
あくまでも老後の資産形成を目的として投資方法であり、元本確保型だと利回りも低いので、最低でも50万円以上積み立てないと掛け金の方が高くなってしまいます。
5,000円から積立可能で、一般のサラリーマンであれば毎月23,000円が上限となります。
また、60歳時点で引き出すためには10年以上の加入期間が必要となるので、注意しましょう。