心臓病を防ぐためにはどうすればいい?効果的な予防法についてご紹介

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はじめに

日本社会の高齢化や食の欧米化伴い、心不全の患者数が近年急増し、毎年約1万人のペースで増加しています。
そこで今回は、日本人が掛かりやすい心臓病の概要と種類、前触れとなる危険な症状や、効果的な予防法を、詳しく紹介していきます。

心臓病とは?

心臓病を防ぐためにはどうすればいい?効果的な予防法についてご紹介
心臓病とは、心臓の機能や心臓内の太い血管に異常が発生し、生命の危険に関わる重大な疾患の総称を指します。
心臓は全身に新鮮な血液を送るポンプの役目を果たしていますが、その機能が何らかの原因で低下して血流が滞ると、様々な症状が現れたり、最悪の場合は心臓が停止して死に至ります。

他にも、心臓の血流が悪くなる狭心症や、血管が閉塞(詰まる)して起こる急性心筋梗塞、生活習慣に起因する不整脈などが増えており、どのケースも専門医による診断が不可欠です。

臓器別死亡原因の第一位は心臓

日本人の死亡原因の第一位はガンで、毎年35万人以上が亡くなっています。
しかし、これは胃がんや肺がんなど、全ての臓器を合計した数字であり、臓器単体で見た死亡原因の第一位は心臓で、毎年7万人が心不全で亡くなっています。
世界的に見ても65歳以上の高齢者の約10%が心不全を患っており、医療費削減のため、予防法の周知徹底などが急務になっています。

心臓病の種類

心臓病を防ぐためにはどうすればいい?効果的な予防法についてご紹介
日本人がかかりやすい心臓病は狭心症・心筋梗塞・弁膜症・心不全の、4つのタイプに大別できます。
この章では、これらの心臓病の特徴と具体的な症状を、詳しく紹介していきます。

狭心症

狭心症は心臓全体に酸素を供給する冠動脈に、コレステロールが沈着することで、血流が滞る病気です。
症状が進行するにつれて、沈着したコレステロールが動脈硬化巣(プラーク)と呼ばれる塊に変化し、それによって冠動脈が細くなっていきます。
冠動脈が細くなると、心臓に本来供給されるべき酸素が不足するので心筋(心臓の筋肉)の働きも弱まっていきます。

主な症状は胸痛・動悸・息切れですが、場合によっては胸の不快感や圧迫感を感じることもあります。
これらの症状は体を動かしている時に多く発生し、約10分程度で徐々に症状が収まっていきます。
胃腸炎と似たような症状が現れることもあるので、診察ミスが発生することもありますが、未治療のまま放置すると重篤化する危険性もあります。

心筋梗塞

心筋梗塞は主に冠動脈にできたプラークが剥離し、冠動脈が閉塞されることで発症します。
心筋梗塞が発症すると、心臓への酸素供給がなくなることで心筋が壊死するため、発症から1~2時間以内に治療を受けないと、高確率で命を落とします。
ただし、心筋梗塞による痛みは非常に強く、嘔吐や意識消失なども起こるため、周囲に人がいるかどうかによって、生存確率が大きく変わってきます。
心筋梗塞は自覚症状の有無に関わらず突然発症するので、予期することが難しいですが、心臓ドックを行っている医療機関であれば、検査を受けることができます。

弁膜症

心臓には大きく分けて「左心室・左心房・右心室・右心房」という4つの部屋があり、それぞれに血流を調整する「弁」が付いてます。
この弁が加齢や病気によって正常に動かなくなると、弁が狭窄したり逆流するようになります。
弁膜症は段階的に進行していく病気なので、基本的には重篤化するまでに時間がかかります。
とはいえ、放置していれば他の疾患につながったり、死亡するリスクもあるので十分に注意しましょう。

心不全

心不全は個別の病名ではなく、心臓の機能に異常が発生する疾患全般を指します。
主に動脈硬化や狭心症、突発性の心筋症などを含みますが、場合によってはこれらの疾患が併発することもあります。
初期の段階では自覚症状が少ないですが、時間が経つにつれて死亡リスクは増していきますし、急性心筋梗塞によって突然亡くなる可能性もあります。

不整脈

不整脈は心臓の脈拍が正常に保てなくなる異常のことを言います。
例えば、脈拍が1分間に50回を下回る時は「徐脈」、逆に100回を上回る場合は「頻脈(ひんみゃく)」と分類されます。
頻脈は運動や精神的な興奮などが原因となることもあるため、判別することが難しいですが、放置していると重篤化してしまいます。

また、不整脈で特に多いのが、脈拍が一定のリズムを維持できなくなる「期外収縮」です。
期外収縮は「心房細動」という心房の痙攣によって発生し、この痙攣によって形成された血栓が脳に運ばれることで、脳梗塞を併発することもあります。
この症状は「心原性脳塞栓症」と呼ばれ、血栓が脳の太い血管を閉塞するので「突然死」を引き起こす可能性が非常に高いです。。

こんな症状は心臓病の前触れかも?

心臓病を防ぐためにはどうすればいい?効果的な予防法についてご紹介
多くの心臓病は、前触れとなる特徴的な症状が現れます。
ここでは心臓病の早期発見に重要な前兆症状を3つ紹介していきます。

のどや心臓の痛み

心臓の痛みは狭心症でよく現れる症状で、特に押し潰されるような耐え難い胸痛が20分以上続く場合は、急性心筋梗塞の疑いがあります。
のどの痛みは心臓からの放散痛として現れることがありますが、肩・歯・背中・みぞおちなどにも同様の痛みが起きるケースも確認されています。

不定期の動悸

何の前触れもなく急にドキドキと始まる動悸が、安静にしていても10分以上収まらない時は、不整脈が悪化している恐れがあります。
不整脈は心臓に持病を抱えた高齢者によく見られる症状で、特に冠動脈疾患や心臓弁膜症、その他の心不全が原因となるケースが多いです。

持病が無い場合でも、日常生活で1分間に100回を超える頻脈が不定期に続く場合は、心臓病の疑いがあるので、早めに専門機関で診察を受けましょう。

倦怠感・息切れ・むくみ

平坦な場所を歩くだけで息が切れたり、動悸が収まらない場合は心不全の可能性があります。
そのまま心不全が進行すると、肺の中に水が溜まる「肺水腫」という病気を併発してしまいます。
体型に変化が無いのに1週間に2kg以上も体重が増えたり、息苦しさが増して咳が続く場合は、他の症状と同じく早い段階で診察を受けることをおすすめします。

心臓病には性格も関係している?

心臓病を防ぐためにはどうすればいい?効果的な予防法についてご紹介
1950年代のアメリカで心筋梗塞と性格の関連性について、10年間に及ぶ追跡型の統計調査が行なわれました。
この統計によると、他人に対する攻撃性が高い人は、マイペースな人に比べ、心臓病を発症するリスクが「約2倍以上も高い」というデータが確認されています。

これらの人は「タイプA」と呼称され、現在でも心臓病のリスクファクターを押し測る上で、重要な指標の1つになっています。
なぜリスクが高いのかについては、はっきりと解明されていませんが、感情の急激な変化が血圧や精神に悪影響を及ぼすことで、心疾患に掛かりやすいと言われています。

また、近年では日本人の4割が当てはまる「タイプD」という人々が注目されています。
タイプDは生真面目かつナイーブな性格で、対人関係の不和や、物事が思った通りに進まないと、後ろ向きな思考に陥りやすくなります。
些細なことを過剰に捉え過ぎたり、ストレスを抱え込みすぎると、狭心症や心筋梗塞のリスクが高くなるので注意しましょう。

心臓病に効果的な予防法

心臓病を防ぐためにはどうすればいい?効果的な予防法についてご紹介
心臓病を予防するには、まず肥満や高血圧を防ぐためのバランスのよい食事や、有酸素運動を始めとする適度な運動、ストレスを溜め込まない生活習慣などが重要です。
ここからは心臓病に効果的な予防法を3つピックアップし、詳しく紹介していきます。

食事バランスを意識する

バランスのよい規則正しい食事習慣は肥満防止に役立ち、心臓に掛かる負担を効果的に軽減することができます。
高タンパク低脂肪で塩分控え目の食事は、体内の脂肪燃焼が促進され高血圧や動脈硬化が軽減し、心疾患の予防に繋がります。
逆に塩分が多く高脂肪な食事は、心臓病の間接的な原因になる可能性があるため、注意が必要です。

適度に運動をする

速歩きや水泳などの有酸素運動を積極的に行って心肺機能を高めると、心疾患の予防に繋がることが医学的に証明されています。
ただし、最初は無理をせず、20分~30分程度のゆっくりと歩く散歩を、週に3回から4回行い、体が慣れてきたら速歩きに切り替え、少しずつ負荷を上げていくのが効果的です。

ストレスを溜め込まない

不規則でストレスの多い生活環境は、交感神経の働きが強まって動悸や高血圧を引き起こすことがあり、長く続くと心臓病に掛かるリスクが高まります。
そのため、細かいことを考えすぎず、気持ちが落ち込んでいる場合は深呼吸を意識したり、自分の好きな音楽を聞いたりして、小まめに気分転換を図りましょう。
ただし、ストレス発散のための食事や飲酒と喫煙は、肥満や高血圧を助長する可能性があるため、なるべく控えましょう。

まとめ

心臓病は自覚症状がない人にも、ある日突然襲ってくる危険性があります。
しかし、今回ご紹介した正しい知識を踏まえ、効果的な予防法を継続すれば、発症確率を大きく抑えることができます。
個人レベルでも事前に予防を行ったり、早めに診察をうけることは可能なので、しっかりと日々の生活習慣から改善していきましょう。