寝たきり予防には脳血管疾患が関係している?原因や予防方法について徹底解説

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脳血管疾患とは?

寝たきり予防には脳血管疾患が関係している?原因や予防方法について徹底解説
脳血管疾患とは、脳の中の血管に異常が発生する病気の総称であり、代表的なものとしては脳梗塞や脳出血、くも膜下出血などが上げられます。

2017年に厚生労働省が発表した統計では、脳血管疾患で亡くなった患者は110万人以上であり、加齢に伴う発症確率の上昇に注意が必要としています。
そこで今回は、脳血管疾患の特徴や症状についてご紹介していきます。

脳血管疾患と脳卒中の違い

脳血管疾患は上述の通り、脳血管に異常が起こる病気の総称です。
一方で脳卒中は、死亡確率が高い一過性脳虚血発作・脳梗塞・脳出血・クモ膜下出血の4つを含んだ救急疾患を指します。

厚生労働省の統計では、日本における脳血管疾患のうち、脳梗塞=58%・脳出血=30%・クモ膜下出血=9%と、脳卒中のみで全体の97%を占めています。
また、脳卒中は発症から5時間以上が経過すると死亡する確率が急上昇するため、早期発見と治療が最重要とされています。

脳血管疾患の主な種類

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脳血管疾患は主に、脳の血管が詰まる虚血性脳血管障害と、脳の血管が破けて発生する出血性脳血管障害の2つに大別できます。
この章では、高齢者が特に注意すべき脳血管疾患の特徴について紹介していきます。

脳梗塞

脳梗塞は脳内にある大小の血管が詰まって血流が止まることで、脳細胞が破壊される症状を指します。
実際には発症の原因や症状によって、以下のような3種類に分類されています。

ラクナ梗塞

動脈硬化の進行により、脳の奥の細い血管が詰まってしまう脳梗塞です。
発症初期には左右どちらかの手足が痺れたり、ろれつが回らないなどの症状が現れますが、虚血範囲が狭い場合は目立った症状がなく、精密検査を行わないと見逃してしまう可能性が高いです。

アテローム血栓性脳梗塞

アテローム血栓性脳梗塞は、脳内の太い血管がプラークという脂肪の塊により塞がれることで発生する脳梗塞です。
比較的ゆっくりと進行するため、発症前には一過性脳虚血発作(TIA)という、断続的な脳虚血症状が現れることがあります。
TIAは目の前が突然真っ暗になったり、突然言葉が喋れなくなるなどの症状が、数秒から数時間単位で起こることがあり、医療機関の治療が必要な病気です。

心原性脳塞栓症

心原性脳塞栓症は、心臓にできた血栓が脳に運ばれ、脳の血管を梗塞する病気であり、脳梗塞の中では一番緊急性が高いとされています。
意識消失や半身麻痺などの症状が突然現れますが、多くの場合、発症から4.5時間以内に治療を行わないと死亡してしまいます。

脳出血

脳出血とは、脳内の血管に脳動脈瘤というコブが形成され、それが血圧の影響などによって破けて出血することを指します。
脳内で出血が起こると、溜まった血液が血腫という塊に変化し、脳内を圧迫することで、激しい頭痛や半身麻痺、言語障害などの重篤な症状に繋がります。

くも膜下出血

くも膜下出血は、頭蓋骨と脳の間にある「くも膜」と呼ばれる箇所にできた動脈瘤が破けて出血する病気です。
40~50代のような比較的若い世代でも発症率が高いとされており、初回発症の致死率は約50%に上ります。
主な要因は喫煙習慣や過度の飲酒、高血圧などですが、遺伝する場合もあるので心配な方は専門機関に相談しましょう。

慢性硬膜下血種

慢性硬膜下血種は、頭部の外傷が原因で引き起こされる病気であり、軽く頭をぶつけた程度でも発症する場合があります。
頭部が外傷を受けると、硬膜という膜の下にできた血腫が脳内を圧迫し、1~2ヶ月後に自覚症状が確認されるようになります。
また、外傷でなくても高血圧や抗凝固薬の副作用などによっても発症することがあるので、特に高齢者においては注意が必要な病気です。

脳血管性認知症

脳血管性認知症は脳梗塞や脳出血、くも膜下出血を原因として発生する認知症です。
例えば、脳梗塞では脳血管の一部が遮断されることで、酸素や栄養の供給が途絶えるため、次第に脳細胞が死滅していきます。
脳血管性認知症を発症すると、頻繁な物忘れや見当識障害、実行機能障害といった自覚症状が急速に現れてきます。

また、70歳以上の高齢者は微小脳梗塞や隠れ脳梗塞のように自覚症状の少ない軽微な脳梗塞でも、 脳血管性認知症につながる可能性があるので、なるべく定期検診を受けることをおすすめします。

高血圧性脳症

高血圧性脳症は、急激な血圧の上昇によって引き起こされます。
動脈硬化による慢性的な高血圧や腎不全、妊娠高血圧症候群、頭部外傷、コカインなどの違法薬物による影響が、主な原因となります。
発症すると脳血流が異常に増加し、脳血管から血液の血漿成分が外に染み出して頭蓋内の圧力が高まり、頭痛や嘔吐、視力障害、体の痙攣、呼吸不全などが現れ、未治療のまま放置すれば、命に関わることがあります。

脳血管疾患の原因

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脳血管疾患は単体で発症することはごく少なく、高血圧などの生活習慣病が原因となって発症することが多いです。
ここでは高齢者が特に注意すべき生活習慣病を3つ取り上げ、その特徴を詳しくご紹介します。

高血圧

高血圧は腎機能の低下や糖尿病、動脈硬化などの影響により、脳を含めた血管の柔軟性を損なうとされています。
血圧が80~120mmHgの範囲に収まる場合は健康的とされていますが、90~140mmHgを超えると高血圧症と診断されます。
高血圧になる原因は決して一つではなく、人によっては食生活の乱れや喫煙習慣のように複数の要因が入り交じることで発症する場合もあるので、まずは自分の生活を見直すことが大切です。

メタボリックシンドローム

メタボリックシンドロームは肥満体型に加えて、脂質異常・高血糖・高血圧のうち、2つが当てはまる際に使われる医学用語です。

メタボリックシンドロームは高血圧よりも状態が悪く、血管内にプラークが形成されやすくなるので、放置すれば危険な病気を併発する可能性が高まります。
過剰なカロリー摂取と、慢性的な運動不足が原因とされているので、適切な治療と共に、生活習慣を改善することが重要です。

糖尿病

糖尿病はすい臓から分泌されるインスリンの働きが弱まることで、血糖値が高くなる病気で、大きくは1型糖尿病(先天性疾患)と、2型糖尿病(後天性疾患)に区別されます。

糖尿病を放置すると粘性が高くなった血液により、血管内に傷ができることで動脈硬化が進み、心臓疾患や脳血管障害を引き起こしやすくなります。
1型糖尿病は遺伝性のため、薬物治療以外に症状の改善は望めませんが、2型糖尿病は運動習慣や規則正しい食生活で肥満体型を解消することで、病状を改善することが可能です。

脳血管疾患を予防する食品

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脳血管疾患の予防には、原因となる生活習慣病を改善し、体を健康に保つことが重要です。
ここからは糖尿病や高血圧の予防に最適な食品を、3つご紹介していきます。

青魚

イワシやサバ、サンマなどの青魚は高タンパクで、血液をサラサラにするEPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)などの「オメガ3系脂肪酸」が豊富に含まれるため、動脈硬化や脳血管疾患の予防に最適な食品です。
生魚を買ってきて調理するのもいいですが、面倒な場合はサバやイワシの缶詰を、そのまま食べても同じ効果が見込めます。

緑黄色野菜

ほうれん草やかぼちゃ、人参など緑黄色野菜に多く含まれる食物繊維は、腸内で糖の吸収を遅らせ、血糖値の上昇を抑える働きがあります。
同じく緑黄色野菜に多く含まれるビタミンB2・ビタミンC・ビタミンEは動脈硬化の要因となる「過酸脂質」を体内で抑制する効果がありますし、カリウムについては余分な塩分を体外に排出する作用が認められています。

海藻類

ワカメや昆布、海苔などに多く含まれる水溶性の食物繊維は、糖分の吸収を抑制する効果があります。
また、海藻類を毎日食べる人は虚血性心疾患にかかるリスクが20%以上も低下したという研究結果も出ており、健康に良い食品として推奨されています。
ただし、海藻類を味噌汁に入れて毎日飲む場合は、塩分を過剰に摂取する可能性があるので注意しましょう。