# はじめに
ここ数年のコロナの影響でペットとして飼育される犬や猫は増えていますが、一方で病気になり苦しむ動物も大きな社会問題になりつつあります。
また、2019年に改正された動物愛護法では、飼っているペットを最後まで飼育する「終生飼養」の義務が、初めて明記されることになりました。
そういった流れから良心的な飼い主を中心に、ペット保険への関心が大きく高まっていますが、どの保険をどのように選べばいいのか悩む人も多いでしょう。
そこで今回は、ペット保険の賢い選び方や、おすすめのペット保険について詳しく解説していきます。
ペット保険とは?
ペットには加入が義務付けられている健康保険がないので、病気や怪我をした場合の治療費は、全て飼い主の自己負担になります。
もし飼っているペットが大怪我や重たい病気を患ってしまうと、治療費だけで数十万円かかるケースも珍しくありません。
このようなペットに関する金銭的な負担やリスクをカバーするために作られたのがペット保険であり、歴史を遡ると1890年頃の欧米を中心に始まったといえます。
その後、国際的にペット保険の社会的認知度が高まると、1995年頃から日本でもペット保険を販売する保険会社が増えていくことになります。
基本的には犬・猫のみ利用可能
ペット保険といっても全ての動物が対象になっているわけではなく、基本的には犬と猫の2種類のみが利用可能になります。
これは犬と猫以外の動物(エキゾチックアニマル)は診察や治療を行っている動物病院が少なく、治療費も高額になりやすいためです。
現在ではいくつかの保険会社が、エキゾチックアニマル向けのペット保険を販売していますが、今回の記事では取り扱っていないため注意してください。
本当にペット保険は必要なのか?
日本におけるペット保険は認知と普及の段階であり、その必要性に対して懐疑的な人が未だに多いのが現状です。
そこでここからは、ペット保険の必要性に目を向けて、さまざまな方向から考察していきます。
ペットの治療は全て自由診療
動物病院の治療費は独占禁止法によって全て自由診療と定められています。
よって、診察に限らず手術や投薬などにかかる費用は、その病院を経営する獣医師が定めた価格に準拠することになります。
最近ではHPやSNSで価格を公表している病院も多いですが、治療が困難な場合はどうしても費用がかさんでしまいます。
ペットの生涯平均治療費
大手ペット保険会社の調査によると、ペットの猫の平均的な年間治療費は25,000円程度とされており、10年間生存したとすると生涯で25万円以上の治療費が発生します。
また、高齢の猫に多い慢性腎臓病の年間治療費は27万円前後なので、このような病気に罹患すると多額の治療費を捻出する必要があります。
猫の慢性腎臓病は人間と同じく不可逆性の病気のため、完治することがなく継続的に対処療法を行う選択肢しかありません。
このような事情は犬も猫も大きな変わりはなく、飼い主に経済的な余裕がない上にペット保険にも加入していない場合は、大切なペットが病気になっても満足な治療を受けさせることができません。
ペット保険の加入率
2020年に行われた調査を見てみると、犬や猫を対象にしたペット保険の加入率は国内全体で約10%と低い水準でまとまっています。
認知や普及は進んでいるので、加入率自体は年を追うごとに増加していますが、欧米並みの水準に辿り着くには長い時間が必要と思われます。
ここまで見てきたようにペットに付随する金銭的なリスクというのは一般的な収入の人からすると、決して軽いものではないので、ペット保険に加入できるのであれば必ず利用しましょう。
ペット保険選びのポイント
ペット保険には商品やプランによって補償の内容や割合が大きく異なってきます。
そのためペット保険を選ぶ際には、次の5つのポイントに着目して比較検討してみましょう。
補償範囲
一般的にペット保険というと通院・手術・入院の3つをカバーしていることが多いです。
とはいえ、実際の所は各保険によって異なりますし、ものによっては手術や入院など特定の治療に特化している保険もあります。
また、犬の場合は他人に噛み付いて怪我をさせたり、ものを壊す危険性もありますが、そのようなリスクをカバーするための特約が用意されていることもあるので心配な方は検討してみましょう。
補償割合
補償割合とは通院や手術の際にかかった治療費に対し、どの程度の割合まで補償するかを定めた基準を指します。
商品やプランにより多少違いはあるものの、おおよそ治療費の50~70%程度を目安として設定されています。
一部のペット保険によっては100%全額補償を売りにしているものもありますが、その分月々の保険料も高額になるので注意しましょう。
補償限度額
補償限度額とはペット保険で支払われる補償の限度額になります。
一般的にはタイプA・Bと分かれており、タイプAは治療回数に上限を設けず、年間治療費に限度額が設定されています。
一方、タイプBは年間治療費に限度額が存在しない代わりに、1回の通院や手術ごとに補償上限額が決められていることが多いです。
どちらが自分のペットに向いているかは人によるので、直近の通院歴や持病などを考慮して選択することをおすすめします。
免責の有無
ペット保険では治療の原因が飼い主にあったり、自然災害や先天的な病気による場合は保険金の支払いが免責されることが一般的です。
これを免責の有無と呼びますが、実際には過失の所在以外に治療費の総額についても免責が適用されます。
例えば、1回の治療費の総額が3,000円未満の場合、治療費の一部しか保険金が支払われなかったり、商品によっては全額負担になることもあります。
免責の有無に関しては小さい字で書かれていることが多いので、つい見逃しがちですが、保険選びの際には意識して確認しましょう。
## 窓口精算の有無
窓口精算とは病院の窓口で治療費を支払う際に、総額からペット保険の補償分を差し引いた金額を支払うサービスです。
各保険で定められた補償割合に従って差し引かれた金額のみを支払えばいいので、手持ちの現金が少ない方によっては非常に助かるというメリットがあります。
ただし、窓口精算に対応しているかは各保険や動物病院によるので、事前にHPなどで確認することをおすすめします。
もし窓口精算に対応していない場合は、通常通り保険会社に対して請求した治療費の一部もしくは全額が、指定の口座に振り込まれます。
おすすめのペット保険
ここからは国内で販売されているペット保険から、価格や補償内容など総合的におすすめできる3つの商品をご紹介していきます。
もしペット保険に悩んでいる方がいれば、選択肢に含んで検討してみてください。
フリーペットほけん(FPC)
フリーペットほけんは株式会社FPCが提供しているペット保険で、数ある保険の中でも非常に人気となっています。
この保険の特徴は免責金額や入院日数に制限が存在しないという点にあり、保険金の支払いを心配に思っている方にとっては大きなメリットになります。
また、50%補償プランの場合だと、月々の支払いは2,000円未満に抑えることができますし、年齢による保険料の値上げも8歳になるまでは1度しか行われないので、コスパが良い保険といえます。
げんきナンバーわんスリム(ペット&ファミリー損害保険)
げんきナンバーわんスリムは保険料の安さを最大の売りとしています。
実際の金額はペットの種類や年齢にもよりますが、例えば1歳の猫の場合だと月々の保険料は1,390円で済みます。
また、年間の補償限度額が70%プランだと70万円、50%プランでも50万円と支払う保険料に対して充実しています。
ただし、1日あたり3,000円の免責金額が設定されていたり、保険契約後には一定の待機期間が発生するため注意しましょう。
楽天ペット保険 ずっといっしょもっと(楽天少額短期保険)
楽天ペット保険は名前の通り楽天が提供しているペット保険です。
この保険では、他者が免責対象としているガンや歯科治療、犬の膝蓋骨脱臼が補償対象になっています。
そのため、飼っているペットにガンの心配がある飼い主にとっては有力な選択肢になりますし、50%プランでも年間で92.4万円まで補償されたりと非常に補償内容が充実しています。
他にも、月々55円で特約を付けることで事故に対しても最大300万円までの補償を受けれるようになります。