老化による物忘れはどうすればいい?物忘れと認知症の見分け方や対策について徹底解説

健康

老化による物忘れは誰にでも起こる

老化による物忘れはどうすればいい?物忘れと認知症の見分け方や対策について徹底解説
年を取ると大事な約束をうっかり忘れるなどの日常的な物忘れが酷くなり「自分は病気ではないか?」と思うことが多くなります。
ですが高齢者の物忘れは誰にでも起こる生理現象で、日常生活に大きな支障が無い限り大きな心配はありません。

しかし、たったいま食べたばかりの食事を3分後に忘れてもう1度食べてしまう、病的な物忘れの場合は話が別です。
なぜならこういう物忘れは認知症の初期症状かも知れず、そのまま放置すれば症状が急速に進んで日常生活全般に支障が出てくるからです。

そこで今回は老化による物忘れと認知症の見分け方を始め、物忘れを防止して認知機能を高める効果的な対策法を徹底解説していきます。

物忘れが進行すると軽度認知障害に

軽度認知障害(MCI)とは認知機能が軽度に低下し、正常な日常生活を送れるか送れないかの境目にある状態を指す言葉で、医学的には認知症予備軍と考えられています。

ただし、一般的な認知症は物忘れが酷くなり、日常生活に大きな支障が出てきますが、MCIは何とか日常生活を送れる程度の物忘れで留まっていることが多いです。
MCIの原因はさまざまで、進行すると数年以内に認知症を発症することがありますが、症状が軽度の時は自然に改善して正常に戻る場合もあります。

物忘れと認知症の見分け方と対策法

老化による物忘れはどうすればいい?物忘れと認知症の見分け方や対策について徹底解説
認知症の物忘れは老化による物忘れとは違い、病的な症状がさまざまに現れます。
ここからは物忘れと認知症の見分け方のほか、認知症を発症すると現れやすい特有の症状と対策法をご紹介します。

物忘れの範囲が全体に及んでいないか

認知症の物忘れは1部ではなく、全体に及んでしまうことが多くなります。
たとえば5分前に見たテレビ番組の内容が思い出せないことは一般的な物忘れですが、番組を見たこと自体が思い出せないのは病的な物忘れです。

ほかにも10分前に食べた昼食のメニューが、どうしても思い出せないことはよくありますが、認知症患者は昼食を取ったこと自体を忘れてしまい、同じ時間に何度も食事をすることがあります。
このような時は周囲の家族が本人に声をかけて、優しく間違いを正していくことが大切です。

物忘れの自覚があるか

一般的な物忘れは「あ、忘れた」という自覚がありメモを取るなどの修正ができますが、認知症の場合は忘れたことを自覚できなくなります。

たとえば買い物に行ったことを忘れて同じ商品を何度も買ってきてしまったり、症状が進むと自宅でトイレの場所が分からなくなり、我慢できずに居間などの別の場所で排泄することがあります。
このような場合は家族が代わりに買い物をしたり、患者をトイレに連れていき衣服を脱がす排泄介助を行ったり、介護用の紙パンツを利用しましょう。

日常生活に支障が出ていないか

上でもご紹介していますが老化の物忘れと認知症による物忘れの違いは、日常生活に大きな支障があるかどうかで区別できます。
そしてこのような状況になった時は、物忘れ外来などの専門の医療機関を一刻も早く受診することが必要です。

これらの医療機関では認知症かどうかの判定診断を始め、病状の進行度や認知症の種類を専門の検査で調べることができます。
医療機関で認知症と診断されれば、介護保険制度に基づく公的な介護が受けられるようになり、患者本人や家族の負担が軽減されます。

学習能力や認知機能が低下していないか

認知症を発症すると学習能力や認知機能の低下が酷くなります。
たとえばひらがなが書けなくなったり、1+1などの簡単な計算ができなくなり、さらに症状が進むと同居する家族の顔を忘れたり、いま自分が何処に居るのかさえも分からなくなります。

こういう点を周囲の家族が安易に指摘すると、認知症患者は大きなショックを受けることがあるため、専門医のアドバイスを参考にしながら優しく接していくことが大切です。

妄想の有無

認知症による物忘れは全てことを忘れるため、状況によっては周囲の家族や知人に対して酷い妄想を抱くことがあります。
たとえば夫は若い女と浮気している、私のバックに100万円が入っていたのに家族が全部盗んだ、などという妄想を本気で信じ込むことがあります。

このような場合は患者の言い分を頭から否定すると、ますます妄想が酷くなることがあるため、できるだけ患者をなだめつつ、言い分にも共感を示しながら、じっくりと話を聞くことが大切です。

人格の変化

認知症が進行すると病的な物忘れのほか、日常生活全般の行動が無気力になったり、その反対に突然暴力的になるなど基本的な人格に大きな変化が現れます。

よくある事例として以前は潔癖症だった人が、顔も洗わず風呂嫌いになり、汚れた服を何日着ても全く気にしなくなります。
ほかにも優しく穏やかな性格だった人が短気になり、いきなり激昂して暴力を振ったり、自宅が嫌だと言って夜中に外へ飛び出して徘徊することがあります。

このような時は周囲の家族や知人が患者の行動をよく見守り、介護ヘルパーの助けを借りながら、患者の体を清潔に保つよう努力することが大切です。

寝不足とメタボが物忘れを加速させる?

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高齢者に限らず慢性的な寝不足は、脳内で物忘れの原因となるアミロイドβの蓄積が多くなり、認知機能を低下させる恐れがあります。
また寝不足は脳で作られる成長ホルモンの分泌を少なくするため、体全体の老化の促進され、同じく認知機能の低下に繋がります。

さらに寝不足は食欲を抑える働きのある、レプチンという体内ホルモンの分泌を減少させるため、食欲が過度に増進して体重が増加し、メタボ体型を作り出す原因になります。

マイアミ大学の研究チームによれば、特に中年期以降のメタボ体型は脳の老化が通常よりも10年以上早まる恐れがあり、思考力や記憶力の低下が起こり易いという研究結果が示されています。

物忘れの基本的な対策

老化による物忘れはどうすればいい?物忘れと認知症の見分け方や対策について徹底解説
老化による物忘れは酷くなると軽度認知障害のMCIに繋がることがあり、さらに症状が進めば認知症に移行する恐れが高くなります。
このような事態を予防するためにも日頃から物忘れに効果のある、基本的な対策を継続して行うことが大切です。

睡眠時間をしっかりと確保する

物忘れを防ぐためには睡眠時間をしっかりと確保することが重要です。
なぜなら先にご紹介した通り、寝不足は食欲を増進させてメタボ体型を作り出し、脳の老化と認知機能の低下に繋がるからです。
良質な睡眠を得るにはカフェインなどの刺激物を避け、毎日同じ時間に就寝して中高年以上なら6時間~7時間は眠ることが大切です。

適度な運動を行う

適度な運動は心肺機能や脳機能を高めて新陳代謝を促進し、メタボ体型を解消する手助けになります。
中高年の場合は激しい運動をする必要はなく、少し息が上がる程度の有酸素運動を20分以上、週に3回~4回程度行うと効果的でしょう。

たとえば散歩仲間を作って歩きながら会話すると脳機能が活性化して、物忘れを改善する手助けになります。

趣味や仕事を通して脳を刺激する

毎日が退屈で同じことの繰り返す刺激のない日常は、脳の老化や認知機能の低下に大きく関係することが、複数の研究結果で明らかになっています。
これとは逆に興味のある新しい趣味や仕事に挑戦し、さまざまな人と係ると脳機能が向上して生活自体にハリが感じられるようになり、物忘れを防止する手助けになります。

たとえば以前のゲームセンターは若者が中心に利用していましたが、現在は中高年の憩いの場として見直されて多くの高齢者が集うようになり、使用するゲームを通して脳機能や身体機能の向上が期待できます。
仕事に関しても現在はインターネットやテレワークが普及し、在宅のまま自分の都合に合わせて手軽にできる仕事が数多くあります。

認知機能に効果がある食材を摂取する

記憶力の向上には認知機能を高める食事をすることが大切です。
たとえばラードなどの動物性脂肪を多く摂取すると、悪玉のLDLコレステロールが増えて血管内に傷がつき、動脈硬化の原因になり脳の老化を早めてしまいます。

対して青魚やオリーブオイルなどにはオメガ脂肪酸が多く含まれ、善玉のHDLコレステロールを増加させる効果があり、動脈硬化の予防と、脳の老化を防ぐ効果が期待できます。
また納豆に含まれる納豆キナーゼは血液をサラサラにする作用があり、カレーに含まれるターメリック(ウコン)は免疫細胞を活性化し、認知症の予防に役立つとされています。

具体例を上げるとカレーを多く食べるインド人はアメリカ人に比べ、アルツハイマー型認知症の発症率が4分の1に留まっています。

認知症の疑いがある場合は、早期の受診を

老化による物忘れはどうすればいい?物忘れと認知症の見分け方や対策について徹底解説
認知症は普通の病気とは違い自然に治ることはなく、放置すれば急速に症状が進んで日常生活全般に大きな支障が出てきます。
そのため認知症の疑いがある場合は、専門の医療機関を早期に受診することが大切です。

認知症と診断されれば必要な治療と公的介護が受けられるようになり、症状の進行を遅らせ、日常生活の改善ができるようになります。

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