少額短期保険の注意点とは

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皆さんは少額短期保険をご存知でしょうか?
最近、テレビCMやネット広告でこの名称を見られた方も多いかもしれません。
一般的な保険会社が取り扱う保険とは少し違いますので、その特徴はしっかり把握しておく必要があります。
今回は少額短期保険の特徴とその注意点を説明します。

少額短期保険とは?

少額短期保険はその名の通り「少額の保険」を「短期間」保障する保険です。
少額短期保険業者が取り扱い、保険金額の上限は、死亡保険は300万円以下、病気・ケガによる入院給付金などの医療保険は80万円以下と上限が設けられていて、保険会社が扱う一般の生命保険のように数千万という高額な保障は設定できません。
そして保険期間は生命保険や医療保険で1年となっています。
また万が一、会社が破綻したときに保険契約者を守る「保険契約者保護機構」の対象外で、
会社が破綻したときには契約者と結ばれていた保険契約は消滅します。
一方、生命保険会社の場合はすべての保険会社が「保険契約者保護機構」に加入していますので、生命保険会社が破綻したときには、保護機構が破綻した生命保険会社の契約を引き継ぐ「救済保険会社」への資金援助などを行い、保険契約を継続させ、保険契約者を守る仕組みになっています。

少額短期保険の特徴と注意点

少額短期保険の特徴は、保険期間が短く保障が少額のため、保険料が安いことです。
特に死亡保険の場合、その安さを前面に出してアピールしています。
50代、60代の自分の親が終活を始めたり、自分自身も終活のことが気になりだす方々には魅力的な保険かもしれません。
しかし、そこに落とし穴があるので注意が必要です。
ある少額短期保険業者の死亡保険でその特徴と問題点を考えてみたいと思います。
保険内容は以下の通りです。

★保険金額100万円 保険期間1年で自動更新 20歳~85歳まで申し込み可能

この保険に60歳男性が申し込んだ場合の保険料を見てみましょう。
保険料は89歳までは5年ごと、90歳以降は1年ごとに高くなっていきます。
もちろん掛け捨てになります。
少額短期保険の注意点とは
この表を見てどう思われますか。
60歳加入時の保険料は手頃に思いますが、80歳を超えると大幅に上がります。
特に85歳を超えると毎月2万円近い保険料です。
あなたが80歳を超えたとき、月々この保険料を支払うことができるでしょうか。
また、89歳までに支払う保険料の合計は約258万円、90歳から99歳までの10年で支払う保険料の合計は約525万円。99歳まで生きたら約783万円の保険料を支払うことになります。それも100万円の保障に対してです。
高額な保険料ですね。
そして契約は、契約者から解約の申し入れをしなければ毎年自動更新されます。
これも怖いですね。
さらに加入時には告知義務がありますので、病歴や過去に手術経験があった方、現在ご病気中の方などは加入できない可能性が高いです。
高齢の方にとってはあまりメリットのない保険だと言えるのではないでしょうか。
では終活世代の方にとってどんな保険が良い保険なのでしょうか。

入院中でも病気でも、医師の診断・告知なしで加入できる死亡保険

そんな保険があるのかと思われるかもしれませんが実際にあります。
例えばみどり生命の「メモリアルⅢ」という終身死亡保険です。
みどり生命は生命保険会社ですから「保険契約者保護機構」の対象となり、会社がもしもの時も安心です。
「メモリアルⅢ」の保障金額は100万円、150万円、200万円とあり、月々の保険料が他社の終身保険と同じか低いぐらいに設定されていて、85歳までなら誰でも加入できます。
加入から3年間を過ぎると病気による死亡保障が開始され、もし3年以内に死亡しても死亡時までに支払った保険料相当額を死亡給付金として受け取れます。つまり3年以内に死亡しても支払った保険料は全額戻ってきます。そして災害時や交通事故などで死亡した場合は加入時からすぐに保障されます。
保険加入したばかりでコロナで亡くなった方にも、『新型コロナウイルス感染症は災害死亡保険金の支払対象となる「感染症」に含める災害扱い』ということで満額の保険料が支払われました。

そこで気になる保険料をチェックしてみます。
★保険金額100万円終身保障 60歳男性の申し込み 払込期間20年
この場合の月々の保険料は5,706円で、保険料が上がることはありません。
払込期間が20年ですので、払い込む総額は1,369,440円になります。
前述の少額短期保険の払込金額と比べるとその差は歴然です。
もちろん払込期間が終わったあとも保障は一生涯続き、死ぬまで100万円の保障が得られるので安心です。
また、解約した場合に返戻金が戻ってくるタイプで、掛け捨てではないのも魅力です。
60歳~80歳までの申し込みであれば、払込期間を10年、20年、100歳払いと選べますので、老後の収入額に合わせて負担のない保険料の払込期間を選ぶことができます。
(60歳未満は10年、20年払いのみ。81歳以上85歳までは100歳払いのみ)

こういう特徴から、加入年齢のタイミングを上手く合わせれば、支払った保険料より大きな保障が得られる場合もあるため、ご高齢の方が自分自身を被保険者として加入するだけではなく、ご高齢の親御さんにこの保険をかける息子さんや娘さんなども増えています。

まとめ

このように少額短期保険は申込時の年齢によっては月々の保険料が安く、魅力的な保険と思われがちです。
でも細かい部分をチェックすると、結果的には高い保険料を支払わなければ80歳以上まで続く保障を得ることができないという問題点が見えてきます。
親世代がまさに終活を迎えていて、ご自身もそろそろ終活のこと考え出すような50代60代の方も、いま一度、親御さんやご自身の保険のことを考えてみてはいかがでしょうか。