知らないと困る納骨式の作法とは?意外と知らない納骨式の流れや参列マナーについて徹底解説!

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はじめに

亡くなった人の遺骨をお墓や納骨堂に納めて供養をするのが、納骨式です。納骨式は大切な儀式ですから、参列するときのマナーや礼儀をしっかりと知っておきたいところです。納骨式当日の流れや服装、香典などについて、わかりやすく解説します。

納骨式とは

知らないと困る納骨式の作法とは?意外と知らない納骨式の流れや参列マナーについて徹底解説!
納骨式とは、葬儀後、法要を経て、故人の遺骨をお墓や納骨堂に納める儀式です。一般的に、火葬をしてから遺骨を骨壺に入れ、自宅で供養するのは、命日から49日目までとされています。
遺族は49日法要を営み、納骨式をおこないます。納骨式は「納骨法要」と呼ばれることもあり、供養の流れは、宗教や宗派によって異なります。

納骨式に必要な持ち物

納骨の際には、遺骨や遺影、位牌とともに、「遺骨埋葬許可証(「火葬許可書」に「火葬執行済」と記されたもの)」を持参してください。これは、火葬斎場でお骨上げの際に渡されるものです。遺骨と一緒に大切に保管して、納骨式当日に忘れないようにしましょう。
霊園墓地を利用するときは、お墓や納骨堂の使用名義人の使用許可証とともに、印鑑も持参しましょう。そのほか、お供え花やお供え物など、宗派によっては卒塔婆などを用意します。僧侶へのお布施やお車代なども忘れずに準備しておきます。

納骨の場所は多様化

納骨する場所としてはお墓が一般的とされていますが、最近では、納骨堂のほか、樹木葬、海洋散骨、自宅供養(手元供養)など、多様化しています。
背景には、継承する子どもがいないなどの理由がありますが、それだけでなく、故人の好みで、供養のやり方を自由に選べるようになったとも考えられます。

納骨式の時期

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納骨式は、いつまでにおこなわなければならないなどといった厳密な決まりはありません。地域によっては、火葬後、そのまま続けて納骨式をおこなうところもあります。
一般的に、納骨式は49日法要に合わせて執りおこなうことが多くなっています。49日までは「中陰」とも呼ばれ、故人の転生先を決めるための期間となるので、遺骨は埋めずに祈りを捧げるのが基本とされているのです。
49日まで故人は「霊」であり、それが過ぎると「仏」になります。香典の表書きに、49日までは「御霊前」、49日を過ぎたら「御仏前」と記すことからもわかりますね。

家族のみで納骨式をおこなう場合

納骨式を家族のみでおこなうことは可能です。ただし葬儀の際、他の親族に「納骨式は家族のみでおこないます」と伝えましょう。
知らないうちに納骨式が終わっていたということがないように、周囲への配慮を忘れないようにしましょう。

49日以降も自宅供養は可能か?

49日以降も自宅での供養は可能です。最近では、49日にかかわらず、気持ちが落ち着くまで自宅で供養してから納骨する人も増えています。

手元供養という選択

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「手元供養」という言葉を聞いたことはありますか? これは、通常お墓などに納骨する遺骨をずっと手元に置いて供養する方法です。自宅で保管することから、「自宅供養」とも呼ばれます。
供養の方法は時代とともに多様化し、考え方も柔軟になってきています。そのため近年は、故人を感じながら一緒に暮らしたいという思いがかなえられる「手元供養」を選択する人も増えています。
手元供養には、すべての遺骨を自宅に保管する「全骨安置」と、一部だけ手元に置く「分骨安置」があります。以前は分骨して一部だけ手元に置くケースが多かったのですが、最近ではお墓への納骨にこだわらず、すべての遺骨を自宅で保管して供養する人が少しずつ増えているようです。

ちなみに、遺骨を自宅で保管しても、法律上の問題はありません。日本の「墓地・埋葬等に関する法律」(通称「墓埋法」)では、行政が許可した墓地以外に遺骨を勝手に埋葬することは禁じられています。たとえば、身近な場所で供養したいからといって、遺骨を自宅の庭に埋めることはできないのです。しかし、自宅で保管することに関しては違法ではなく、遺族が遺骨とともに暮らしても不都合はありません。

納骨式当日の流れ

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納骨式当日はどんな流れで儀式がおこなわれるのか、押さえておきましょう。
以下、①遺族代表のあいさつ⇒②納骨⇒③魂入れ・読経・焼香⇒④会食の順で、それぞれについて説明します。

遺族代表のあいさつ

納骨式当日は、お墓に焼香台やお供え物、お供え花を準備します。準備が整ったら、遺族の代表者である施主(せしゅ)から参列者へ向けてあいさつをします。
あいさつでは、納骨式への参列や葬儀のあとも変わらぬお付き合いをしていただいていることへのお礼、遺族の近況報告などを伝えます。また、納骨式後の会食についても触れておきましょう。

納骨

あいさつが終わったら、段取りは納骨へと進みます。
一般的に、墓石の下にある納骨室に遺骨を納めます。事前に依頼しておいた石材店のスタッフが、カロートの開閉をおこないます。カロートとは、骨壺をおさめるスペースで、仕切りや棚を設けることで複数の骨壺が納骨できる仕組みになっています。
関東地方では、このカロートに、骨壺ごと遺骨を納める方法が多く見られます。一方、関西地方では、遺骨を骨壺から納骨袋に入れ直して納骨する方法が風習として残っています。
納骨袋は市販されていますが、自分で作ることもできます。土に還る天然素材を使用します。遺骨を入れやすいように、骨壺よりもひとまわり大きなサイズであること、遺骨がこぼれないように口をふさぐことができるものが良いでしょう。

納骨の際の遺骨の並べ方に決まりはありません。古い遺骨は奥の方へ、新しい遺骨は前の方にくるように並べるのが基本とされています。
カロートが遺骨でいっぱいになった場合は、古い遺骨からカロート内にまいたり、粉骨したり、納骨袋に入れ替えたりする方法があります。ほかにも、骨壺から遺骨を取り出し、先祖の遺骨と一緒にして土に還す方法をとることもあります。
納骨の方法は地域や宗派によってさまざまです。どのような納骨方法にするかは、寺院や親族に確認しておくようにしましょう。

魂入れ・読経・焼香

納骨が終わったら、魂入れ(たましいいれ)、僧侶による読経、参列者による焼香と続きます。
「魂入れ」は、故人の魂をお墓に宿らせる儀式のこと。多くの場合、納骨式と同日におこなわれます。魂入れ前の墓石は、あくまでもただの石と考えられており、魂入れをおこなうことによって、故人の魂が宿る「お墓」になります。
なお、浄土真宗では、お墓に魂を入れるという考え方はありません。亡くなった人の魂は、阿弥陀如来の手ですぐに極楽浄土へと導かれると考えられているからです。お墓には仏様が宿ると考えられているので、魂入れに相当する儀式は「御移徒(おわたまし)」といいます。

読経は、お墓でおこなう場合、外でそのまま続けますが、寺院に移動して屋内でおこなうケースもあります。
遺骨を納めるときの読経は「納骨経」とも呼ばれ、故人を供養する意味があります。
僧侶が読経を始めると、参列者は焼香をおこないます。焼香のタイミングは、ほとんどの場合、僧侶が合図をしてくれるので、指示を待つようにしましょう。焼香を最初におこなうのは施主になります。次に故人の家族、縁が深かった親族、知人や友人の順番におこないます。参列者全員が焼香を済ませると、終わりになります。参列者の数や宗派によって違いはありますが、納骨式は30分から1時間くらいにおさめるのが適当です。

会食

納骨式が終わったら、僧侶と参列者全員で会食をします。
参列者の人数が決定したら、早めに会食の場所や料理の内容を予約するようにしましょう。遅くとも納骨式の半月前には予約を完了しておくと安心です。
会食の会場に移動して準備が整ったら、再度施主があいさつをします。位牌の前にはお酒を注いだ盃を用意することを忘れないようにしましょう。

会食でのあいさつは、納骨の前におこなったあいさつと同様、納骨式への参列と納骨が無事済んだことへの感謝の気持ち、故人への思いや遺族の今後についてなどの内容を盛り込みます。短く簡潔に、1~2分程度で終わらせるようにしましょう。
あいさつを終えたら、献杯をして、会食のスタートとなります。献杯は、静かな声で唱和するようにしておこないます。
会食が終わりに近づいたら、施主は最後のあいさつをします。会食がそろそろ終了の時間であることを伝え、今後も変わらずにお付き合いをいただけるようにお願いしつつ、もう一度参列のお礼を述べます。参列者に引き出物を渡し、解散して終了となります。

納骨式の会食は何のため?

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納骨式や法要のあとにおこなわれる会食は、「お斎(おとき)」とも呼ばれ、僧侶や参列者へのお礼の意味が込められています。また、会食をすることで、故人を偲び、語り合うことも目的としています。
会食の場所に決まりはありませんが、寺院や霊園の法要室、お食事処やホテルなどで開くのが一般的です。寺院や霊園に会食施設があれば、納骨を済ませたあとすぐに会食の会場に移動することができて便利です。なるべく納骨の場所から近隣の、移動時間がかからない場所を選ぶのがポイントですから、よく調べて予約しましょう。
会食は2時間を目安に、1人5千円から8千円くらいが適当です。予約の際、納骨後の会食であることを伝えることが大切です。これは、料理の中に慶事用の素材が混ざらないようにするためです。
かつて納骨式後の会食で出される料理は、魚や肉を使わない精進料理でした。今では、懐石料理や仕出し弁当など、多様なメニューから選べるようになっています。

納骨式の服装

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納骨式の服装は、式を執りおこなう時期や、主催する側か参加する側かによって変わります。
49日以前に納骨式をおこなう場合は、親族も参列者も喪服での参列が基本です。男性は黒のスーツに白いワイシャツ、黒のネクタイ、黒の革靴など、全体的に黒でそろえてください。女性の場合は、黒のワンピースかスーツ、黒のストッキングに黒のパンプスと、こちらも黒でそろえましょう。
49日以降に納骨式をおこなうのであれば、平服で参列しても問題ありません。ただし、普段着のようなラフな格好ではなく、地味な色合いの落ち着いた服装にしましょう。なお、親族は1周忌までにおこなわれる納骨式には喪服での参列が望まれることもあるので、事前に確認しておきましょう。

いずれの場合も、納骨式に出席している親族や、ほかの参列者と服装を合わせるようにします。服選びに迷ったときには、年長者などに問い合わせるのが無難です。
ちなみに、主催する側である施主とその親族は、3回忌までは準礼服が良いとされています。故人への哀悼の意を表す意味でも、服装のマナーはしっかり守りたいものです。

納骨式のメイクで注意するポイント

女性にとって化粧は身だしなみのひとつではありますが、納骨式では、派手なメイクや装飾品、マニキュアなどは控えましょう。
ベージュ系のナチュラルなメイクに仕上げ、アイラインは薄めにペンシルでひき、チークは肌の色に近いものを選びます。ラメ入りや明るい色味のアイシャドウ、つや感のあるグロスは避けて、全体的に派手な印象を与えるメイクはやめましょう。つけまつげやカラーコンタクトははずしておくのが良いです。

家族のみで納骨式をおこなう場合の服装

納骨式に親族や友人などを呼ばず、家族のみでおこなうケースも増えています。その場合、服装もカジュアルで問題ないように思われるかもしれませんが、どのような服装で臨むかは、事前に親族や年長者と話し合っておきましょう。

納骨式の香典

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納骨式に参列する場合は、一般的に、香典を用意しておきます。相場としては5千円程度ですが、納骨式のあと会食がある場合は、1万円程度を用意するのが良いでしょう。

香典の表書きは、49日の前と後で変わります。納骨式が49日法要とともにおこなわれた場合は「御霊前」、49日よりあとであれば「御仏前」と書きます。
この違いは、49日を経て、故人が霊から仏になったと考えることに由来します。ただし、浄土真宗では「亡くなったらすぐに仏になる」という教えから、通夜・葬儀のときから「御仏前」と書きます。施主と親しい間柄でしたら、宗派を確認しておくと間違いがありません。迷ったときには、「御香典」と記しても問題ありません。
当日、香典は「ふくさ」に包んで、納骨式の前に施主に渡すのが基本的なマナーです。ところが、施主が香典を束ねる袋を持参していないこともあって、この場合、儀式の前に荷物を増やしてしまうことになるので、いつ渡すのが適当か、事前に確認しておくと良いです。

一方、施主側も香典返しとして、ちょっとした菓子類などを用意しておきます。

納骨式のお供え物

納骨式では、祭壇に飾る花が1対ずつ必要です。これは、施主が準備する必要があるので忘れずに手配しましょう。
生花であれば基本的に花の種類は問いません。ただし、とげがあるバラや香りの強い花、花粉が付着しやすい花、すぐに花びらが落ちるものは避けます。故人の好きな花を準備するのが一番ですが、四季の豊かな日本では、季節の花を加えて華やかにすると良いでしょう。
墓のお供え花は、オーソドックスな仏花で十分です。こちらは、参列者が準備しても問題ありません。

花のほかに準備するお供え物は、施主の場合、地域や宗派、僧侶などによって異なります。事前に何が必要かを確認しておきましょう。一般的には、季節の果物、お酒、丸もち、線香、ろうそくなどが考えられます。
参列者がお供え物を持参する場合は、納骨式のあとに、皆で分けて持ち帰ることができるように、個別包装になった和菓子や焼き菓子などが適しています。

納骨式を欠席するときのマナー

納骨式に欠席する場合は、故人と遺族への十分な配慮をするように気を付けましょう。
まず、欠席の連絡はなるべく早く伝えます。遅くとも前日までには連絡するようにしてください。電話だと、肉声なので相手に気持ちを伝えやすくなります。
遺族が連絡方法として希望しているのであれば、メールやLINEで伝えることも可能です。ただし、見落とす場合もあるので、注意が必要です。どんなに親しい間柄であっても、弔事であることを忘れず、丁寧な文面にすることがマナーです。
欠席の事情については、親族であれば内容をきちんと伝えると、のちのちわだかまりを生みません。親しい間柄でなければ、欠席の理由を明確に伝える必要はなく、「やむを得ない事情があって」というように、婉曲表現を使いましょう。

欠席した場合の香典の渡し方は、代理人に頼む、郵送、後日自宅に伺うなど、いくつかの方法が考えられます。一般的なのは、納骨式に参列する人に代理で渡してもらうやり方です。この場合、香典袋の左下に小さく「代」の字を添えましょう。配偶者の代理として持参する場合は、「代」ではなく「内」と書きます。
郵送の場合は、現金書留を使います。現金書留は日時指定ができず、本人以外は受け取れない点に注意が必要です。後日自宅に伺う場合は、当然のことながら遺族のスケジュールを確認したうえで予定を立てます。

まとめ

人は、葬儀、火葬を経て遺骨となり、骨壺に収められ、墓地に眠ります。故人が大切な家族であればあるほど、納骨すると寂しくなるからと、納骨になかなか踏み切れない人もいらっしゃるようです。
ただし、納骨式は、遺族にとって気持ちのひと区切りをつけて、新たな人生へと向かうきっかけになるとも考えることができます。納骨式の参列者は、故人と遺族に敬意を表し、きちんとマナーを守って臨むことが求められます。