終活とは、残りの人生を自分らしく過ごすための準備です。
老後の目標や身の回りの片付け、相続やお墓、葬儀などを考え、家族にその意思を伝えておきます。
その意思を記しておくノートを、エンディングノートといいます。
余生をどのように過ごしたいか、自身が亡くなったあとどうしてほしいかを決めるための活動です。
終活はいつでも始められますが、体力と気力が必要な活動です。
一般的には仕事を定年してから終活を考える方が多くいますが、早ければ早いほどいいとされています。
自身で考えて行動できるうちに始めましょう。
終活でやることはたくさんありますが「終活を始めたくても、何からしたらいいのかわからない」と悩む方も多いでしょう。
まずは終活でやることリストを作り、それを参考に少しずつ始めてみましょう。
終活やることリストその①幸せな老後を送るために決めておきたいこと
まずは終活でやることをリスト化しましょう。
リスト化する際のポイントは「何でもかんでもやらないこと」です。
老後や亡くなったあとのことをすべて決めておく必要はありません。
あれもこれもと考えてしまうと、時間とお金がかかります。
終活はやりたいこと、できることの必要最低限で大丈夫です。
まずは、老後をイメージするところから始めてみましょう。
老後の生活を想像する
老後、どのように生活したいのかを想像してみましょう。
自宅に住み続けるのか、施設に入るのかなど、暮らし方はさまざまです。
自宅に住み続ける場合、今の生活環境で問題ないかを確認します。
階段や段差など、部屋の作りによっては将来的にバリアフリーが必要になることもあります。
そのためにリフォームをするのか、考えてみましょう。
また、自宅で一人暮らしをする場合は、何かあったときの対応も考えておかなければいけません。
特に家族が近くにいない場合、病気やけがのときだけでなく、孤独死の可能性も考えます。
緊急のときすぐ周りに伝えられるようにブザーを取り付けたり、役所に一人暮らしの旨を伝えておくのも1つの方法です。
他には介護の訪問サービスやデイサービスを利用すれば、いち早く異変に気付いてくれます。
施設に入る場合は、どこの施設にするのか、そのための資金がいくらなのか把握する必要があります。
施設に入ることを視野に入れているのであれば、なるべく早く見学に行きましょう。
介護が必要になったときはどうしたいのか考える
もし、自分に介護が必要になったらどうするか、誰に介護してもらいたいのか、誰は嫌なのかなど考えておきましょう。
老後はいつ、何がきっかけで体が不自由になるかわかりません。
認知症や寝たきりになる可能性も十分あります。
そのときは施設に入るのか、家で誰かに介護をお願いするのか、しっかり考えてその意思が伝わるように記しておきましょう。
また、介護が必要になると心配なのは費用です。
誰が負担するのか、自身で用意できるのか考えなくてはなりません。
認知症の場合、法的にサポートする成年後見制度があります。
このように国によるサポートや保険など、さまざまな制度を活用することで介護の負担を減らすことができます。
どのような制度があるかも把握しておきましょう。
病気になったときの病院はどうする?
自身が病気になったとき、かかりつけ医はありますか?
まずは、信頼のおけるクリニックや病院を見つけておきましょう。
病院の連絡先を家族に伝えておけば、いざというときスムーズに対応ができます。
また、終末期医療に関しても明確にしておく必要があります。
余命宣告を受けた場合は延命治療はするのか、臓器提供の意思があるのか考えておきましょう。
元気なうちに自身の気持ちを記しておくことが重要です。
生活に必要なお金や終活に必要な資金を計算する
定年後は年金での生活になりますが、近年は年金だけで生活するのは困難だといわれています。
そのため、老後に必要なお金を計算しておき、それをどのように確保するかが重要です。
生活費だけでなく、終活のための資金も必要です。
まずは年金や貯金、資産の把握をし、借金がいくらあるのかもはっきりさせておきます。
医療保険や生命保険の見直しも行い、不要なものがないかも確認しましょう。
遺産として家族に遺すものも必要です。
生前だけでなく、亡くなったあとも葬儀やお墓などにお金がかかります。
まずは自身の資産の把握と、その使い道をしっかり決めておきましょう。
終活やることリストその②遺された家族のために考え伝えておきたいこと
終活には、遺言や遺産など家族も大きく関わってきます。
自分のためだけではなく、家族のための活動でもあるのです。
自己判断ができるうちに、エンディングノートを活用して自身の考えをまとめておきましょう。
終活ではお金に関わる項目も多く、意思を形として記しておくことはとても重要です。
遺された家族の安心にもつながります。
お墓を決めておく
どのように供養されたいのか、希望を決めておきましょう。
先祖代々の墓に入るだけでなく、最近では散骨や個人の墓を持たない納骨堂など、お墓にもさまざまな形があります。
あらかじめ、希望の場所にお墓を買っておくのもいいでしょう。
誰と一緒に入りたいのか、管理を誰にお願いするのか、費用面なども考えておきましょう。
葬儀の希望や予算を考える
近年、葬儀形式は多種多様になり、昔ながらの形式だけでなく個人の希望が反映されやすくなりました。
葬儀にお金をかけたくないということから、葬儀を行わない「火葬式」も増加しています。
どのような葬儀にしたいのか、または葬儀を行うのかを考えましょう。
葬儀を行うなら、その規模や場所も考えておく必要があります。
葬儀社の説明会やフェアに参加して、具体的なプランの相談をしてみるのもおすすめです。
宗派やお寺についても詳しく教えてくれるので、一度足を運んでみましょう。
また、葬儀で家族がよく困るのが遺影です。
遺影に使う写真のために家中のアルバムを探したり、近影が無くて何十年も前の写真を使うケースが非常に多くあります。
遺影用の写真を撮影しておくと、家族が困らずに済みますよ。
相続で家族が困らないように考える
相続は遺族にとって大事な問題です。
遺された家族が困らないように、しっかり考えておきましょう。
まずはローンの確認です。
相続する額より相続する借金の額の方が多かった場合、相続開始日(亡くなった日もしくは亡くなった日を知った日)から3ヵ月以内に裁判所に申請をすると借金を放棄(相続放棄)が可能です。
借金だけでなく、光熱費の支払いや年金、保険などについても詳しくまとめておきましょう。
遺産を遺す場合は、遺言書の作成が必要です。
誰にいくら残すのか、遺すものは何かなど、なかなか個人で決めるのは難しいので、専門家に相談しましょう。
また、家族が困るものの1つとして、家の片付けがあります。
家の中にあるすべての物を片付けるのは、時間と体力だけでなく費用もかかります。
一軒家の荷物を処分するのに、100万円以上かかるケースもあるのです。
体が動く元気なうちに、少しずつ断捨離を始めましょう。
今後の生活で使わないものはどんどん処分し、売れそうなものは買い取ってもらいます。
あまりにも量が多かったり、大きいものの処分に困ったりしたときは、生前整理の専門業者の手を借りることも視野に入れましょう。
終活はやることリストを作って自分のペースで進めよう!
終活をするうえで大切なのは、やることを明確にすることです。
ただ漠然と行動するのではなく、自分に必要なものをリスト化し確実に行うようにしましょう。
終活と聞くと、あれこれやらなくてはならないと思いがちですが、その必要はありません。
たくさんのことをリスト化してしまうと、時間とお金がかかり、理想の老後が過ごせなくなります。
自身の老後をイメージし、必要最低限のやることをリストアップしていきましょう。
素敵な老後が過ごせるよう、元気なうちに自分のペースで始めてみてくださいね。