「定年後も働きたい」
年金だけでは生活できない・外に出て人と交流したい・生活にゆとりがほしいなど、さまざまな理由から定年したあとも収入がほしい、働きたいと思う高齢者は少なくありません。
でも、普通に仕事を探すとなると年齢で断られたり、体力的に厳しいなどの問題も生じます。
そんな方は、ぜひ地域のシルバー人材センターに登録してみませんか?
今回は、シルバー人材センターについて解説します。
シルバー世代の就業支援として立ち上げられたシルバー人材センター。
現在約70万人の高齢者が利用しており、自分に合った労働条件で仕事をして収入を得ています。
シルバー人材センターの仕組みやメリット、登録の方法についても紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
シルバー人材センターとは?
シルバー人材センターとは、1975年に設立されて都道府県知事の指示を受けた公益法人です。
設立当時、日本では徐々に高齢化が進行しており、それに伴って定年後も働きたいと思う人が多くいました。
そんな中、高齢者一人一人の体力・能力・希望に応じて働ける場所として設立されてのが「シルバー人材センター」でした。
基本理念に「自主・自立、共働・共助」を掲げ、高齢者が知識や経験、能力を活かしながら社会参加し、生きがいを得ていくことを大きな目的としています。
現在では全国に広がり、シルバー人材センターの数は約1300にもなります。
仕事を通して生きがいを得ることができ、地域社会の活性化に貢献することを可能にしたシルバー人材センターは、働きたい高齢者の大きな支えとなっています。
シルバー人材センターの仕組み
シルバー人材センターを利用するには、まず会員登録をする必要があります。
会員が依頼主と直接やり取りすることはなく、仕事はすべてセンターが受注をし、そこから仕事内容に合った会員を探し依頼されます。
【仕事依頼までの流れ】
1,企業・一般家庭・官公庁がシルバー人材センターに業務を発注
2,センターは業務内容と会員の希望を照らし合わせ、条件の合う会員に業務を依頼
3,会員はセンターから依頼された仕事に対し、希望に合うようなら引き受ける
仕事は臨時的かつ短期的なものとなっており、シルバー世代の能力が活用できるものがメインです。
行なっている主な仕事は以下の通りです。
- 家庭教師
- 翻訳、通訳
- 自動車の運転
- 庭木などの剪定
- 障子、ふすま、網戸の張替え
- 大工仕事
- 一般事務
- 配達、集配
- 屋外清掃
- 家事サービス(掃除・洗濯・留守番) など
技術分野から事務・管理・一般作業・サービスなど、ジャンルは多岐にわたるので、自分に合った仕事が見つかりやすくなっています。
働いた分は収入がもらえるの?それともボランティア(無報酬)?
仕事は請負・委任・派遣・紹介の形態で依頼され、内容や労働時間によって収入(配分金)を受け取れます。
毎月一定の収入を得られるという保障はありませんが、全国平均で月8~10日就業で3~5万円の収入を得ることができます。
労働時間も1人あたり月10日以内または週20時間未満と決められており、1日平均3~4時間の労働時間です。
仕事内容やセンターによって金額は違ってきますが、基本的にはボランティアではなく、しっかりと就業としてお給料をもらうことができるので安心してくださいね。
また、シルバー人材センターではボランティアやサークル活動の機会も提供しています。
地域のニーズに合わせたものを提供しており、ボランティアの内容は着物の着付けや保育園ボランティア、通学路の安産パトロールなどです。
そちらは無報酬での活動ですが、生きがいを感じられる内容が豊富に揃っています。
興味のある方はボランティアやサークルもチェックしてみてくださいね。
シルバー人材センターに登録するメリットとは?
シルバー人材センターに登録することで、さまざまなメリットが得られます。
希望や経験、能力にあった仕事ができるのはもちろん、シニア世代ならではのメリットが多いのも魅力のひとつでしょう。
今回は3つのメリットをご紹介します。
生きがいが得られる
シルバー人材センターの大きな目的のひとつでもある「生きがい」。
仕事を通して自身の能力や経験が社会貢献につながることで、生きがいを感じられます。
定年後は時間に余裕ができる分、やることがなくて困っている人も多くいます。
仕事がなくなると社会的なつながりもなくなってしまう人が多く、孤独を感じたり、生きがいのない日々に感じることも少なくありません。
そのため、社会とのつながりを持ち続けることは豊かなシニアライフを過ごすうえでとても大切です。
少しでも自身の経験を活かせれば、人はやりがいや生きがいを感じることができます。
収入は少なく感じるかもしれませんが、センターの目的は高齢者に仕事を通して生きがいを持ってもらうことなので、そのための就業として活動してみるのもいいかもしれませんね。
同世代の友人・知人ができる
シルバー人材センターの会員登録の条件は原則60歳以上の高齢者です。
そのため、同世代の仲間を作ることができます。
複数人で一緒に作業をすることもあるので、話も合いやすく、会話も弾むでしょう。
また、同じ地域に住んでいるので、普段から会いやすいのも魅力のひとつ。
老後は人と話す機会が減ってしまいがちで、新しい出会いも少なくなります。
仕事を通じて気の合う友人や知人ができるのは、シニア世代にとって最大のメリットなのではないでしょうか。
収入を得られる
年金だけでの生活は苦しい、生活に余裕を持ちたいという高齢者は多くいます。
しかし、普通に働くには年齢を理由に断られたり、体力的に難しいこともあるでしょう。
無理して働いて体を壊してしまっては元も子もありません。
シルバー人材センターは高齢者のための就業支援なので、年齢関係なく希望に合った仕事をすることができ、無理なく働いて収入を得ることができます。
長い拘束時間もなく、ゆとりをもった働き方ができるのが魅力です。
月5万円の収入が多いと感じるか、少ないと感じるかは人それぞれですが、年に換算すると60万の収入になります。
また、シルバー人材センターの仕事なら年金を受け取りながら収入を得ることができます。
定年後に再就職した場合、収入額によっては年金が支給停止になることもあるので、その心配がないのもメリットといえるでしょう。
シルバー人材センターに登録する方法
シルバー人材センターは会員登録が必要になります。
家の近くにある地域の人材センターに行って、登録手続きをしましょう。
登録条件は以下の通りです。
- 原則60歳以上の健康で働く意欲のある人
- シルバー人材センターの趣旨に賛同できる人
- 入会説明を受け、申込書を提出した人
- 定められた会費を納付できる人
【登録の流れ】
1,地域のシルバー人材センターに行って入会説明会に参加・受講
2,入会の申し込み書類を提出
3,新入会員研修会に参加
4,会員証や会員手帳を受け取る
はじめに入会説明会を受け、センターの理念や仕組みについて学びます。
センターによってはオンライン動画での受講をしている場合もあるので確認してみましょう。
新入会員研修会では就業するまでの心構えや安全意識の向上などを学び、最後に会員証や会員手帳を交付されて登録が完了となります。
なお、登録には年会費がかかります。
金額は600~3,000円とセンターによって変わってくるので、登録したいシルバー人材センターに確認してみましょう。
まとめ
シルバー人材センターは高齢者のための就業支援を行なっています。
会員登録をすることで、自分の能力にあった仕事を引き受け、配分金と呼ばれる収入を得ることが可能です。
老後は家にこもって生活することが多くなりがちですが、経験や能力を活かして社会に参加してみませんか?
地域社会とのつながりができるだけでなく、新しい出会いもあり、生きがいを感じられる活動です。
日中何かしたい人、収入がほしい人は一度チャレンジしてみましょう。
新しい発見と共に、豊かなシニアライフを送れますよ。