老人施設と介護施設ってどう違うの?種類別にわかりやすく解説!

介護

老人施設と介護施設は、明確に分かれているわけではなく、老人施設の中で介護を受けながら生活できる施設を介護施設といいます。

老人介護施設にはさまざまな種類があり、各施設ごとに運営主体や目的、入居条件が異なっています。大切なご家族を預ける施設を探すとき、各施設ごとの特徴やサービス内容などを詳しく知っておかないと、ご家族が快適に過ごせなくなってしまいます。

この記事では、各老人介護施設の特徴や目的、入居条件などをご紹介します。現在、ご家族を施設に預けようと思っている方だけではなく、将来ご自身が施設に入居することを考えている方などは、ぜひ参考にしてみてください。

老人介護施設には多くの種類がある

老人介護施設には、運営主体や目的、入居条件により以下のような施設があります。

  • 特別養護老人ホーム
  • 介護老人保健施設
  • 介護療養型医療施設
  • 軽費老人ホーム
  • ケアハウス
  • 住宅型有料老人ホーム
  • サービス付き高齢者向け住宅
  • グループホーム
  • 健康型有料老人ホーム
  • シニア向け分譲マンション

これらの施設に、短期入所生活介護(ショートステイ)やデイサービスといった在宅型の施設を加えるとさらに多くの施設があります。これほど多くの種類の施設があると、どのような施設であるかを知っている方はそれほど多くないはずです。

これでは適切な施設に入れなくなってしまいます。実際に施設を探し始める前に、それぞれの施設の特徴をしっかり把握しておくことが大切です。

公的な老人介護施設

老人介護施設は、公的施設と民間施設に分けられます。まずは、5種類の公的な老人介護施設の特徴や目的、入居条件などをご紹介します。

特別養護老人ホーム(特養)

  • 受け入れ介護度:要介護3以上
  • 認知症の受け入れ:施設によって軽度の方のみ可
  • その他条件:65歳以上

社会福祉法人や地方公共団体が運営しており、入居費を介護保険でまかなえるため、民間の老人介護施設に比べると費用が安いのが特徴です。

食事や入浴、排せつの介助などの身体介護、清掃や掃除などの生活支援、リハビリテーションなどの介護サービスを受けることができます。

入居条件が要介護度3以上のため、比較的介護度の高い方が入居しています。入居は申し込み順ではなく、家族の状況なども考えて緊急度の高い方を優先的に入居させることになっています。費用が安く、終身利用できることなどから、入居待ちが多い状況です。

介護老人健康施設

  • 受け入れ介護度:要介護1~5
  • 認知症の受け入れ:施設によって軽度の方のみ可
  • その他の条件:日常生活に戻るためにリハビリが必要な方(3ヶ月ごとに対処判定が行われる)

退院後に自宅での日常生活を送るが難しい方が入居し、リハビリを受けて在宅復帰を目指すことを目的とした施設です。身体の機能回復に重点が置かれ、理学療法士や作業療法士などによるリハビリテーションを受けることができます。

要介護1以上の高齢者が入居可能な施設で、入居費を介護保険でまかなえるため、自己負担額を比較的低く抑えられるのが特徴です。

入居期間は原則3~6ヶ月ですが、健康状態によって例外もあります。しかし、終身利用はできないので注意してください。

介護療養型医療施設

  • 受け入れ介護度:要介護1~5
  • 認知症の受け入れ:可
  • その他の条件:日常的な医療ケアが必要な高齢者

介護療養型医療施設は医療法人が運営しており、比較的重度の要介護者が入居している施設です。介護スタッフによる身体介護、医師・看護師による医療ケア、理学療法士によるリハビリが受けられます。

医師や看護師の常駐が義務付けられており、痰吸引や経管栄養など他の老人介護施設では対応が難しい医療ケアに対応しています。

回復してきた方は、退去を求められることもありますが長期間の入居も可能で、ターミナルケアや看取りにも対応しています。

介護療養型医療施設は、2012年から新設が認められなくなり、2024年3月に廃止することが決まっている施設ということに注意してください。

軽費老人ホーム

  • 受け入れ介護度:「一般型」は要支援まで、「介護型」は要介護度1以上
  • 認知症の受け入れ:「一般型」は不可、「介護型」は軽度のみ可
  • その他の条件:「一般型」家族からのサポートを受けるのが難しい60歳以上、「介護型」自立した生活に不安がある65歳以上

軽費老人ホームは、社会福祉法人や地方自治体などが運営する施設で、自立した生活をすることに不安があり、家族からサポートを受けることが難しい方が入居する施設です。

軽費老人ホームには、掃除や洗濯などの生活支援と食事の提供があるA型生活支援だけで食事の提供がないB型ケアハウスと呼ばれているC型があります。軽費老人ホームのA型とB型の目的は生活のサポートであり、介護が必要になった場合、特別養護老人ホームなどに移動しなければいけないケースがあります。

現在、軽費老人ホームのA型とB型の施設は新設が認められておらず、現存する大部分の施設はC型のケアハウスです。

ケアハウス

  • 受け入れ介護度:「自立型」は要支援まで、「介護型」は要介護1以上
  • 認知症の受け入れ:「自立型」は不可、「介護型」は可
  • その他の条件:「自立型」は自立した生活に不安のある60歳以上、「介護型」は65歳以上

ケアハウスは、軽費老人ホームのC型に分類される施設で、「自立型」と「介護型」があります。

「自立型」は、洗濯や掃除などの生活支援と食事の提供を受けられますが、介護サービスは受けられないため介護が必要になった場合は、外部の介護サービスを利用するか、介護サービスを受けられる施設に移動しなければなりません。

「介護型」は、食事の提供と生活支援に加えて、介護保険を利用して入浴や排せつの介助などの身体介護を受けることができます。そのため、要介護度が高くなっても退去せずに住み続けることが可能ですし、ターミナルケアや看取りに対応している施設もあります。

民間の老人介護施設

民間の老人介護施設は民間企業が運営しているため、公的施設よりもサービスが充実している施設が多いですが、費用は高めになります。

住宅型有料老人ホーム

  • 受け入れ介護度:自立~要介護5
  • 認知症の受け入れ:施設によって受け入れ可
  • その他の条件:60歳以上、施設によっては65歳以上

住宅型有料老人ホームは、自立・要支援・要介護の方が入居できる施設です。食事の提供や掃除・洗濯などの生活支援、医療機関との提携などの健康管理、安否確認などのサービスが受けられます

介護サービスは提供されないため介護が必要になった方は、外部の介護サービスを利用するか、介護が受けられる施設に移動しなければなりません。施設によっては、自立の方だけを受け入れているところや、介護度が高くなった方は退去しなければならないところもあります。

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)

  • 受け入れ介護度:「一般型」は自立~要介護3、「看護型」は自立~要介護5
  • 認知症の受け入れ:「一般型」は受け入れ不可、「看護型」は受け入れ可
  • その他の条件:60歳以上

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)は、高齢者が生活しやすいようにバリアフリー構造の賃貸住宅で、60歳以上の比較的介護度が低い方が入居している施設です。スタッフによる安否確認や生活相談を受けながら、自宅のように自由度が高い生活が送れます。

サービス付き高齢者向け住宅には「一般型」と「介護型」があります。「一般型」は介護サービスが受けられないため、介護が必要になった方は外部の介護サービスを利用しなければなりません。「介護型」は、要介護度の高い方や認知症の方も入居でき、介護サービスや在宅医療を受けることができます。

入居費用が比較的安く自由に生活できますが、入居時に連帯保証人や身元引受人がいないと入居できない施設があるため注意してください。

グループホーム

  • 受け入れ介護度:要支援2~要介護5
  • 認知症の受け入れ:可
  • その他の条件:65歳以上、認知症と診断された方、施設と同じ市区町村に住民票がある方

グループホームは、65歳以上の認知症の方がスタッフのサポートをうけながら、5~9人のユニットを組み料理や洗濯、掃除などの家事を分担して行い共同生活する施設です。家庭的な環境で精神的安定を図り、認知症の病状悪化を和らげたり進行を遅らせたりすることを目的としています。

入居するためには、要支援2~要介護5の認定施設と同じ市区町村に住民票があるという条件を満たす必要があります。

身の回りのことがある程度自分でできる必要があることから、健康状態が悪化し介護度が高くなったり、医療ケアを受けなければならなくなった場合は、退去しなければいけないことがあるため、事前に確認しておきましょう。

健康型有料老人ホーム

  • 受け入れ介護度:自立もしくは要支援程度
  • 認知症の受け入れ:不可
  • その他の条件:60歳以上

健康型有料老人ホームは、自立あるいは要支援程度の60歳以上の高齢者が入居する施設です。そのため、認知症を発症したり介護が必要になってしまった方は、退去しなければなりません。

掃除や洗濯、安否確認などの生活支援のサービスが中心で、医療機関と連携して入居者の健康管理などのサービスを提供しているところもあります。

施設内に、プールやジム、温泉などを備えているところもあり、健康に気を配りながら楽しく暮らしたいと考えている高齢者に向いています。

シニア向け分譲マンション

  • 受け入れ介護度:マンションによって異なる
  • 認知症の受け入れ:マンションによって異なる
  • その他の条件:購入可能かの審査あり

シニア向け分譲マンションは、老人介護施設ではありません。高齢者が住みやすいように配慮されたバリアフリー構造の分譲マンションです。購入すれば所有財産となるため、売却や譲渡、相続などを自由に行えます。

食事や家事のサポートや安否確認などのサービスがあり、マンション内にはレストランやジム、温泉など設備が充実している物件が多いです。過ごしやすい環境で充実した生活を送りたい高齢者の方に向いています。

マンション側が介護サービスを提供しているわけではありませんが、要介護者が住めないというわけではありません。介護が必要になった方は、外部の介護サービス業者に依頼すれば住み続けることができます。

しかし、ある程度自立した生活を送れることが入居条件となっているところがあるので、しっかり確認するようにしましょう。

老人介護施設、種類ごとの違いを知っておくことが重要!

老人介護施設には、さまざまな種類があり特徴や目的が異なっています。ご自身やご家族が入居する施設を探すとき、入居条件やサービス内容、費用などさまざまなことを考え、適切な施設を選ぶ必要があります。そのためには、各老人介護施設の特徴をしっかり把握しておくことが重要です。

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