臨済宗ってどんな宗派なの?その教えや特徴についてご紹介

この記事は約5分で読めます。

わたしたちの暮らしに溶け込み親しみの深い仏教ですが、様々な種類があります。

その中でも臨済宗という宗派は、日本三大禅宗ともいわれる代表的な宗派です。

この臨済宗とはいったいどのいった信仰を説いているのか、教えをはじめ特徴についてここで解説していきます。

葬儀や仏壇にも関わってくる代表的な宗派ですので、確認しておくと安心です。早速チェックしていきましょう。

臨済宗とは?

臨済宗は中国が発祥の禅宗の一派です。日本では鎌倉新仏教のひとつとして浸透し、今も仏教における代表的な宗派となっています。

宗祖は唐の時代に生きた臨済義玄(りんざいぎげん)とされています。

日本の仏教シーンにおいて大きな影響を与えた臨済宗から派生した宗派や概要について、詳しく解説していきます。

臨済宗は14の宗派がある

臨済宗には宗派が14あります。寺院数が多い順に

  • 妙心寺派(京都)
  • 南禅寺派(京都)
  • 建長寺派(鎌倉)
  • 東福寺派(京都)
  • 円覚寺派(鎌倉)
  • 大徳寺派(京都)
  • 方広寺派(静岡・浜松)
  • 永源寺派(滋賀・東近江)
  • 相国寺派(京都)
  • 天龍寺派(京都)
  • 建仁寺派(京都)
  • 向嶽寺派(山梨・甲州)
  • 佛通寺派(広島・三原)
  • 国泰寺派(富山・高岡)

があります。

本山の名前がそのまま宗派の甘えとなっており、仏教に詳しくない方でも聞いたことのある寺がいくつかあるかと思います。

代表的な天龍寺は、世界遺産にも登録されているほどの荘厳さを誇ります。

各宗派の寺は古径氏や石庭などで有名となっており、臨済宗の宗派をめぐるだけで充分に信仰の力を肌で感じることができるでしょう。

元は中国発祥、日本での宗祖は明菴栄西

臨済宗は中国で禅宗を代表する5つの宗派のうちのひとつ。

唐の時代の臨済義玄(りんざいぎげん)が開祖とされ、その後日本には、鎌倉時代初期に伝えられました。

鎌倉幕府の将軍源の源頼家が支援をし、京都に寺を建てて臨済宗をはじめとする「禅」の教えが広まっていったといわれています。

特に武士社会で広く支持されたといわれている宗教で、水墨画や建築にまで影響を与えた、大変大きな信仰だったことがわかります。

臨済宗の教えとは?

臨済宗は、念仏などを唱えるだけで浄土へ行けるというような信仰とは違い、あくまでも自分の努力によって浄土へ行く権利を獲得できるという教えです。

「自立」によってのみ浄土へ行けると信仰されており、ただひたすらに座禅を行います。

人間性そのものを悟り、人とはどういう生き物であるのか、純粋に人間とはという思考をより深くまで巡らせて真理に近づくことで、浄土へ行けるようになるとされています。

臨済宗は本尊は決まっておらず、「釈迦牟尼仏(しゃかむにぶつ)」を祀っているいる寺が一般的です。

臨済宗は禅宗のひとつ

臨済宗は、坐禅を組みながら師の与える問題を1つ1つ解決しながら悟りを開く努力をする宗派です。

禅宗には日本三大禅宗というものがあり

  • 臨済宗
  • 曹洞宗
  • 黄檗宗

があります。

臨済宗はこのうちのひとつとされ、公案問答をすることによって悟りに到達すると説かれています。

これは政治に通じる部分があり、幕府の保護と統制を受け武士社会では広く浸透した宗派といえるでしょう。

禅問答は臨済宗の教え

座禅によって悟りを開くのが禅宗ですが、これは臨済宗が起源ともいわれています。

これは遠い昔に栄西が日本に伝えたのが臨済宗であるために、禅そのものの考え方が臨済宗から派生したのでは…と言われているのです。

煩悩で覆われた人間そのものが、そんな人間自身で禅問答を繰り返すなかで真の人間に気付きを得るのが悟りの境地です。

これは、上層階級に広く浸透した教えなのです。

臨済宗と曹洞宗の違いとは

臨済宗は武士社会に広く浸透し、幕府からも守られる宗派となりました。

他力本願の宗派とは違い、自分に対し厳しく律し、自分本来は何者であるのかをいう自問自答を繰り返す禅問答は、幕府政治にも通じるものがあると認識されたからです。

一方で、曹洞宗は道元が開祖とされており、自問自答を繰り返して悟りを開くことをゴールとしておらず、あくまでも「座禅そのもの」が悟りの目的であるという教えです。

これは、座禅そのものが悟りなのだという教えで、民衆に広く浸透し普及していきました。

臨済宗はあくまでも武士社会で広く浸透した教えであり、曹洞宗は民衆の多くに指示された教えであるとの認識で間違いありません。

臨済宗の有名なお寺

臨済宗のお寺には、様々な有名なお寺があります。そのなかでも特に有名で、観光地としても人気の場所を解説していきます。

まずは南禅寺や東福寺、永源寺、佛通寺。これらは紅葉の名所として有名で、毎年紅葉の季節となると遠方からも観光客でいっぱいになります。

歴史に興味のある方が好むのが、円覚寺派・東慶寺です。駆け込み寺として知られており、勇気を持って時代に抗い、より弱き者に対し尽力したのかをうかがい知ることができるでしょう。

妙心寺や龍安寺は石庭が有名で、朴訥とした庭を眺めているだけでも心が現れると大変人気のスポットです。

相国寺派の鹿苑寺(金閣寺)と慈照寺(銀閣寺)は、いわずもがな。

日本を代表する建築で、国内外の観光客はもちろん、中高生の修学旅行先として選定されることも多い名所となっています。

まとめ

臨済宗は仏教を代表する大きな宗派であること、耳にしたことも多い「般若心経」も臨済宗の経典であったことがわかりましたね。

仏壇においては、分派が多いため、分派によって置き方に違いがあるようですので、ぜひご住職にお伺いしてみてください。

総本山をはじめ、主要な寺院もわかったうえで、観光する際にはより意識的に信仰に触れられるかと思います。

臨済宗の葬儀には信仰に寄り添いながら進められれば、故人にもより喜んでいただけることでしょう。