「みなし墓地とは何?」、「みなし墓地と無許可墓地の違いは?」と気になっている人は多いのではないでしょうか?この記事では、みなし墓地とは何か、無許可墓地とみなし墓地の違いなどについて説明します。みなし墓地について知りたい人は、ぜひ参考にしてください。
みなし墓地とは?
みなし墓地とは、墓地や埋葬、火葬場について決められた「墓地、埋葬等に関する法律」が施行される前に墓地として認められたお墓を意味します。「墓地、埋葬等に関する法律」は埋葬や火葬場などの用語の定義説明、火葬や土葬・水葬などの埋葬に関する決まり、墓地の運営や管理の規則や罰則などについて定められているものです。この法律が施行されたのは昭和23年なので、それ以前の明治時代や大正時代に作られた個人の所有地にある個人墓地や地域の共同墓地などはみなし墓地であることが多いのです。
古い墓地は1,000年以上前に作られたケースもあります。何十年~何百年も使用されていた墓地を撤去することは現実的でないため、みなし墓地として認めて存続させているのです。現在墓地を新しく作る場合には、自治体や宗教団体など墓地を継続して運営できる団体が管理する墓地のみが認められています。みなし墓地は合法的に認められていますが、古い墓地は管理者が分からないことも多いので、納骨や改葬するときに許可が取れないというトラブルが起きる可能性があります。
墓地の運営は自治体や寺院、民間業者や宗教法人の団体に限られているため、個人で新しくみなし墓地を設置することはできません。自宅の敷地内に墓地を作ったり、自治体の許可なく霊園運営をすることは法律違反となるので注意しましょう。ただし、岡山県津山市や沖縄県宮古島市では条件をクリアすることで自治体から個人墓地を認められるケースもあります。
個人墓地・共同墓地がある
みなし墓地には個人墓地と共同墓地があります。個人墓地は個人の所有地内に建てられた墓地で家族以外の埋葬は行われないことが一般的です。共同墓地には地域の共同墓地と宗教団体などの共同墓地の2種類があります。
地域の共同墓地は集落や地域コミュニティが運営管理をしてきた墓地で、集落の共有地に建てられ集落に住んでいる人専用の墓地です。宗教団体の共同墓地は同じ宗教思想を持つグループやコミュニティが運営や管理をしてきた墓地のことを指します。
みなし墓地に入りたい場合は?新たな納骨も可能?
みなし墓地は行政の許可を受けているため、通常の墓地と同じように使用することが可能です。ただし、みなし墓地に新しく墓地を建てる場合には墓地の管理者に相談する必要があります。墓地を建てられるかどうかは、墓地を建てたい場所が墓地を建てられる区画として使用されているかによって異なるのです。
墓所として使用されていた区画であり、そこに墓地を持っていた人が撤去して空いた区画であれば新しく墓地を建てることはできます。共同墓地などで、新しく墓地を増やしたい場合には、墓地を建てたい場所が墓所として登録されているかを確認しなければなりません。墓地の敷地内であっても、墓域外の場所に墓地を建てる場合には墓地を建てる場所を増やすことになります。そのため、墓地管理者が自治体に墓地区域の変更について許可をもらう必要があるのです。
みなし墓地に建てられている墓地に納骨することは可能です。みなし墓地であっても、墓地として追認されて自治体に許可されている墓地であれば納骨は法律違反とはなりません。また、みなし墓地にある遺骨を他の墓地に改葬する場合は自治体に「改葬許可申請書」を提出して改葬許可証を発行してもらいます。
改葬許可申請書には改葬元の墓地管理者の署名と捺印が必要です。許可証があれば改葬先の墓地管理者から埋葬の許可をもらうことができます。みなし墓地が個人墓地の場合は、墓地の所有者が管理者となります。敷地内にみなし墓地がある場合は自分で改葬許可申請書に署名し、捺印をします。
管理者が不明である古い共同墓地の場合は、改葬許可申請書に署名や捺印をもらうことが難しいため、みなし墓地からの改葬はできないでしょう。すでにみなし墓地にあるお墓に遺骨を持ってきて改葬することは特に問題がありません。
遺骨を他の墓地に改葬して、お墓を廃止・撤去・更地に戻して墓地管理者に返還することは「墓じまい」と呼ばれます。みなし墓地で墓じまいをするときには、「改葬許可申請書」を自治体に届ける必要があります。また、墓じまいをしてみなし持ちを更地に戻すと所有地となるため相続税や固定資産税の対象になります。
無許可墓地とは?みなし墓地とはどう違うの?
みなし墓地と混同しやすいものに無許可墓地があります。無許可墓地は「墓地、埋葬等に関する法律」の制定前に知事の許可を受けていなかった墓地や制定後も知事の許可を受けていない墓地のことです。自分の所有地に許可なく家族を埋葬したり、自宅の敷地内に先祖の代から存在している墓地が行政の許可を受けていない場合には無許可墓地となります。
無許可墓地の使用は違法となり、6ヶ月以下の懲役または5,000円以下の罰則が決められていますが、違法性があることが分かっていながら墓地を建設した場合を除き、基本的には罰せられる可能性は低いです。自治体もすべての無許可墓地を把握しているわけではなく、「墓地、埋葬等に関する法律」を知らずに自分の所有地に墓地を作ってしまうことがあります。
そのため、無許可墓地に罰則を課したり、墓地を撤去したりすることは現実的ではありません。無許可墓地であるか、みなし墓地であるかを確認する方法は自治体の役所に行って墓地台帳に墓地が記載されているかを確認します。墓地が許可を受けているものでなく、みなし墓地として追認されていない場合は、新たに遺骨を埋葬することはできません。
無許可墓地を所有していた場合は?
墓地台帳を確認して墓地が記載されていない場合は無許可墓地となるため、地方自治体に墓地の許可を求めることになります。みなし墓地の許可を受けるための届け出は、自治体によって様式が異なります。ですが、一般的には「みなし許可に係る届出」という書類があるので、その書類を提出することで正式なみなし墓地として追認してもらうことができます。
ただ、みなし墓地の追認のためには、「墓地、埋葬等に関する法律」の制定前から墓地が存在していた証拠が必要です。これは、墓地の許可を受けていない個人や団体が偽って許可を取ることを防止するための措置です。墓地が存在していた証拠としては、古い寺院の墓地であれば檀家名簿などの過去の資料を提出します。
資料がない場合や古くからの共同墓地で証拠を提出することが難しい場合は、墓地の側面に記載されている埋葬年月日の写真を撮影して役所の窓口で相談してみましょう。みなし墓地は、通常の墓地と同じく祭祀財産となるので相続財産とはなりません。みなし墓地が個人の所有地に建てられていても固定資産税はかからず、所有地の家の子どもが継承して管理者となります。
まとめ
みなし墓地は「墓地、埋葬等に関する法律」が施行される前に墓地として認められたお墓のことです。みなし墓地には個人墓地と共同墓地の2種類があり、それぞれの管理者が運営をしています。みなし墓地は自治体の許可を得ているので通常の墓地と同じように使用することができます。
ただし、みなし墓地として許可されてない場合は無許可墓地となり違法となります。その場合は自治体でみなし墓地として追認してもらう手続きをしましょう。みなし墓地なのか無許可墓地なのかが分からない場合は役所の墓地台帳に墓地の記載があるかどうかで判別できます。よく分からない場合には役所で相談をしてみましょう。