美容と健康のために若い女性の間で人気が高まっているヨガ。ヨガは、独自の呼吸法と瞑想をあわせることで、心と体を整える効果があるといわれています。
しかし、ヨガと聞くと長時間きつい姿勢をとらなければいけないため、シニアには難しいと思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
確かにそのような上級者向けのヨガもありますが、シニアでも安全に取り組めるものも数多くあります。ヨガは、心と体の健康を真剣に考えているシニアにこそおすすめです。
この記事では、シニアヨガの効果やおすすめの理由などをご紹介します。ヨガに興味がある方だけではなく、心と体の健康に少しでも不安を感じている方は、参考にしてヨガに取り組んでみてください。
ヨガや瞑想の効果とは?
ヨガは、呼吸・姿勢・瞑想を組み合わせて心身の緊張をほぐし、心の安定とやすらぎを得るものです。本来は心の安定を得ることが目的ですが、現在は人によってヨガに取り組む目的は異なります。心の安定を得ることを目的に行っている方もいれば、健康増進やダイエット目的で行っている方も多いです。
ヨガにはさまざまな効果が期待できますが、効果が実感できるまでの期間には個人差があります。また、目的とする効果によっても実感できるまでの期間が違ってくるでしょう。ダイエットなど肉体的な変化を目的としている場合には3ヶ月以上かかる傾向がありますが、ストレス軽減など精神的な変化を目的としている場合は、1回のヨガで効果が実感できることがあります。
ポーズをとって、柔軟性と筋肉量アップ
ヨガでは、全身を使ってさまざまなポーズをとります。普段使わない筋肉までしっかり伸縮させるため、柔軟性が高まるのです。腰痛や肩こりなどの改善にも効果的だとされています。
また、ポーズをとることで全身の筋肉が均等に鍛えられるため、筋肉量がアップします。その結果、基礎代謝があがり脂肪が燃えやすい身体になるため、ダイエット効果も期待できるでしょう。
呼吸が整い、身体が楽になる
ヨガの基本的な呼吸法である腹式呼吸は、普段の呼吸法とは違っています。腹式呼吸は、鼻から深く息を吸いお腹を膨らませ、鼻からゆっくり息を吐きお腹を凹ませる呼吸法です。横隔膜を上下に動かすことを意識して呼吸するようにしましょう。慣れないうちは難しいかもしれませんが、お腹に手を当てて確認しながら腹式呼吸を繰り返すうちに、少しずつできるようになるはずです。
腹式呼吸をすると、血液とリンパの流れが促進されます。リンパは、老廃物を回収し体外へと排出する役割があります。そのため、ヨガには体内の老廃物を排出するデトックス効果が期待できるでしょう。また、腹式呼吸をすると自律神経のバランスが整い、心身の不調をやわらげ身体が楽になる効果もあるといわれています。
瞑想(マインドフルネス)で、ストレスの軽減
マインドフルネスとは、「過去の失敗」や「将来の不安」などネガティブな感情にとらわれた状態から抜け出し、「現在の気持ちや身体状況」に心を向けた状態のことです。ヨガの瞑想は、マインドフルネスの状態になる手段として行われています。
瞑想は、心を無にして内なる現在の自分と向き合うことで、不安や怒りといった感情が静まった状態を作り出すのです。その結果、精神的に安定して、ストレス軽減につながるといわれています。
ヨガの基本的な呼吸法である腹式呼吸を行うと、大量の酸素が取り込まれるので副交感神経が優位となり、リラックスした状態となることで、ストレスを軽減する効果があります。
また、ヨガの複雑なポーズに集中して取り組むことで、運動量が増えストレス発散効果も期待できるでしょう。
シニアにヨガや瞑想がおすすめの理由
高齢者が抱えている不安としては以下のようなものがあります。
- 健康への不安
- 孤独感・喪失感
- 過去に対する後悔や将来への不安
このような不安を抱えている高齢者におすすめなのが、「肉体面」と「精神面」における効果が期待できるヨガです。ヨガは、定期的に継続して行うことで筋肉増強や体力の向上効果があります。また、ヨガの呼吸法や瞑想をすることで、リラックスした状態になり孤独感や喪失感からの解放も得られるでしょう。
無理なく続けられる
ヨガは、自分のペースで行うことができるため、無理なく続けられます。シニアに行ってもらうヨガは、若い方が行っている複雑なポーズをとったり、長時間難しい体勢のままでいたりするようなハードなヨガではなく、やさしいヨガです。
やさしいヨガは、補助道具を利用して行うものや椅子に座ったまま行えるものまであるため、例え身体の自由が利かないシニアでも無理なく続けられるでしょう。
シニアにしてもらうヨガは、基本となる呼吸法を身に付け簡単なポーズをとることで、少しずつ心と体を整えていくことを目的としています。
介護予防の効果も
ヨガは介護予防効果も期待できます。
高齢者は、年を重ねるにしたがい筋肉が衰えていきます。筋肉の衰えは転倒リスクを高め、転倒による怪我がきっかけで介護が必要になってしまうことが多いのです。ヨガによる筋肉増強や柔軟性の向上は、転倒リスクを軽減し、骨折などの怪我を予防する効果があります。
また、意欲の低下も要介護状態になる原因のひとつです。意欲が低下すると、家にこもりがちになり活動量が減り、あまり動かないためにますます筋力が衰えていき、気づいたら要介護状態になっていた、ということが多くみられます。ヨガの呼吸法は、自律神経のバランスを整えることで、気持ちが前向きになっていく効果があるため、精神的な面からも介護予防効果が期待できるといえるでしょう。
実際、イギリスで65~85歳の方を対象に行われた研究によると、ヨガをすることで片足立ち時間の改善やバランス感覚・筋力の改善、幸福感・倦怠感の改善効果があらわれたという報告がありました。片足立ち時間やバランス感覚・筋力の改善は、転倒リスクを軽減します。また、幸福感・倦怠感という精神面の改善がみられたことからも、ヨガが介護予防につながるといえるでしょう。
呼吸を整えると脳が活性化されるかも!?
有酸素運動を行うと脳が活性化されることは、これまでの研究で明らかになっていますが、最近の研究ではヨガにも、有酸素運動と同じような効果を脳に及ぼすという報告がありました。ヨガをすると記憶の処理を司る海馬の増大が認められ、感情を司る偏桃体もヨガをしていない人に比べるとヨガをしている人の方が大きい傾向があったといいます。
アルツハイマー型認知症は、海馬辺りの委縮から始まるため、週に1~2回ヨガを行うことで脳が活性化されて、アルツハイマー型認知症の予防効果があるのではないか、と期待されています。
また、アメリカでは脳トレとヨガの効果を比較するために、55歳で記憶力に問題があるとされた方を2つのグループに分けて、片方のグループには脳トレを1週間、残りのグループにはヨガを1週間してもらうという研究が行われました。脳トレとヨガを行ったグループともに、言語記憶については同じような効果が認められましたが、ヨガを行ったグループの方がストレス耐性や対処能力が向上したという結果が出たのです。このことからも、ヨガは記憶に関しては脳トレと同じような効果が期待でき、さらに感情も整える効果が期待できるといえるでしょう。
シニアがヨガを行う上での注意点
高齢者がヨガを行う上での注意点は、無理をせずに楽しみながらすることです。難しいポーズができるようになると、無意識のうちに無理をしていることがあります。無理をして体調が悪くなってしまっては、ヨガに取り組んでいる意味がなくなってしまうため、無理をせずに自分のペーズで行いましょう。
また、転倒に注意してください。高齢者は足腰が衰えている上に、ヨガで普段と違う動きをするために転倒するリスクが高くなっています。高齢者の転倒は、要介護状態になる主要な原因のひとつとなっています。シニアヨガは、安全を常に最優先にして行うようにしてください。
シニアヨガ・瞑想で心身ともに健康に!
ヨガの効果やヨガがシニアにおすすめの理由などをご紹介しました。シニアヨガや瞑想は、無理なく続けられる上、動作と呼吸を合わせた健康法で肉体面と精神面を整えてくれる素晴らしものです。認知機能の低下や介護予防としても期待されています。
生活にヨガを取り入れ心身の健康を手に入れて、できるだけ長い間、充実した生活が送れるようになることを願っています。