折り紙で認知症予防?シニアにおすすめの脳トレ

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脳を活性化させるレクリエーションとして、介護施設などでも取り入れられている折り紙。誰でも子供の頃、遊んだことがあるなじみ深い折り紙は、シニアの脳トレアイテムとして注目を集めています。また、折り紙は認知症の予防効果も期待できるといわれています。

しかし、本当に折り紙をするだけで脳が活性化されたり、認知症予防効果があるのか疑問に思っている方は少なくないはずです。

そのような方に向けてこの記事では、折り紙が脳に与える影響や、効果がより高まる折り紙の楽しみ方などをご紹介します。これを参考に、脳トレ・認知症予防としてレクリエーションに取り入れてみてください。

折り紙は脳を活性化する

折り紙をすることで、脳のさまざまな領域が活性化されることがわかっています。特に空間認識をつかさどる頭頂葉と、思考や判断にかかわる前頭葉が活性化しやすいです。

塗り絵もなぞり書きも、特別な技術を必要としなく手軽に始められるものとして、シニアの脳トレに効果的であるといわれていますが、折り紙とは決定的に異なる点があります。塗り絵もなぞり書きも2次元(平面)での作業です。一方、折り紙は、最初1枚の紙で2次元ですが、折る動作も紙の重なりも全て3次元の作業になります。2次元の作業をするより3次元の作業をする方が、脳の広い領域を使っていることは明らかです。

実際に「単純作業をしているとき」「塗り絵をしているとき」「折り紙をしているとき」の脳の血流を測定すると、他の2つに比べると折り紙をしているときは、前頭葉の広範囲にわたり明らかに血流が盛んになっていたという報告があります。これは、折り紙をすると脳が活性化されるということを表したものです。

また、折っているときの集中力や完成したときの達成感なども、脳への良い刺激となるはずです。

ここでは折り紙の作業過程において、どのように脳を活性化しているのかをご紹介します。

指からの刺激で脳の血流UP

折り紙は指先を使って折ります。手先を使うことで脳の血流量があがり、特に感覚野や運動野が刺激を受け活性化されるのです。指からの刺激は脳の広い範囲を刺激するため、折り紙を折るときは指先の動きを意識するようにするとより活性化しやすくなるでしょう。

また、折り紙は手先を使って細かい作業をするため、脳梗塞などの後遺症で手が上手に動かせなくなってしまった方にとって、折り紙を折ることでリハビリ効果も期待できるはずです。

形を想像して折る

折り紙を折るとき、「ここを折るとどのような形になるのか」「ここを折ったあとはどこを折ればよいのか」「ここに折り目をつけておいた方があとで折りやすくなるのか」などさまざまなことを想像しています。このように形を想像して折ることで、考えることによる脳への刺激により、脳が活性化されるのです。折り紙には「山折り」や「谷折り」「つぶし折り」などの折り方があり、何通りもの折り順や組み合わせが出てくるので、脳が慣れてしまうことはありません。

また、折り終わったあとに出来栄えを確認し、上手くいかなかった場合はその理由を考え、次はどうすれば上手くいくのかを振り返ることも大切です。この確認作業は、少し前にどのように折ったのかを振り返る作業であり、記憶力の低下防止効果が期待できます。

折り紙は認知症予防になる

子供のときに折ったものを思い出し、周りにいる人と話しながら折ることは、心理療法の「回想法」に似ているといわれています。

回想法は、高齢者が過去の写真や使っていた物などを見ながら、思い出を語り合う心理療法です。認知症の方は、最近の記憶を保つことは難しいですが、昔の記憶は覚えている傾向があります。昔のことを思い出して語り合ったりすることで脳が刺激を受け活性化し、認知症の進行予防になると考えられているのです。また、昔の思い出を語り合うことで孤独感や不安が和らぎ、精神的な安定ももたらされ、高齢者に多いうつ症状の改善や予防にもなるといわれています。

昔の記憶を思い出し周りにいる人と話し合う、という折り紙と回想法には類似点があることが、折り紙にも認知症予防が期待できるといわれている理由です。日本は、今後ますます認知症患者が増えてくることが予想されています。誰でも気軽に取り組める折り紙は、認知機能低下予防に大変役に立つリクリエーションといえるでしょう。

効果がより高まる折り紙の楽しみ方

これまでシニアが折り紙をすることで得られる効果を説明しました。ここでは、効果がより高まる折り紙の楽しみ方をご紹介します。どれもすぐに試せるものばかりなので、興味を持った方はすぐに試してみてください。

紙の手触りを意識する

紙の手触りを意識しながら折り紙をおることで、脳への刺激は強まります

これはデュアルタスクトレーニングといわれているもので、2つ以上の課題が同時に課されているトレーニングのことです。例えば、「テレビを見ながら折り紙を折る」「電車の出発時間を考えながら駅まで歩く」など同時に2つ(あるいは3つ以上)のことを行うことです。歳を重ねるにしたがい、2つのことを同時にする能力は衰えてくることが知られています。デュアルタスクは、2つのことを同時にしようと脳がより活性化されるのです。

「紙の手触りを意識する」ことと「折り紙を折る」ことを同時に行うことで、ただ折り紙を折っているときに比べると脳が活性化されます。

また、紙の手触りを意識するために手に意識を集中すると、脳が活性化されやすくなるでしょう

柄物の折り紙を使い、完成したものがどのような色合いになるのかをイメージしながら折ると、より一層効果的です。

丁寧に折る

折り紙を丁寧に折るためには、角と角、辺と辺を丁寧に合わせる必要があります。また、しっかり折り目をつけるために指先に力を入れなければいけません。このように丁寧に折るためには、これまで以上に注意力や集中力を使う必要があります。注意力と集中力を高めることで、より一層脳が活性化されることが期待できるでしょう。また、指先に力を入れて折ることも、脳の活性化につながります。

慣れてきたら新しいものに挑戦する

もう折れるようになったものを思い出しながら完成させることも、シニアにとっては脳トレになります。しかし、いつまでも同じものを折っているよりも、慣れてきたら新しいものに挑戦するようにすると、効果がより高まると考えられています。なぜなら、脳を刺激して活性化するためには、慣れたものを折り続けるよりも、新しいものに挑戦して試行錯誤を繰り返しやり遂げることが大切だからです。新しいものに挑戦して完成させたときの達成感は、脳への大きな刺激となることが期待できるでしょう。

また、完成したものをどこに飾るか、どのように利用するか、などを考えながら折ると、デュアルタスクトレーニングとなり脳への刺激となるはずです。

折り紙で楽しく認知症予防!

シニアが折り紙をしたときに脳に与える影響や、効果がより高まる折り紙の楽しみ方などをご紹介しました。折り紙は、脳の広範囲にわたり血流が盛んになり活発に働くため、シニアにとって脳トレになることがわかっています。また、折り紙は心理療法の回想法に似ているため、認知症予防効果も期待できると考えられています。

このように折り紙からはさまざまな効果が得られるので、日常生活に取り入れて楽しく認知症予防をしてみてください。