折り紙は認知症予防になる?シニアが無理なく楽しむ始め方

完成した青と黄色の折り鶴を隣に置き、窓辺の机で折り紙を楽しむ高齢女性 健康

折り紙は、紙と机があれば始めやすく、作品を飾ったり人に贈ったりする楽しみもある活動です。
子どもの頃に親しんだ方もいれば、大人になって初めて挑戦する方もいます。
ただし、折り紙をすれば認知症(にんちしょう)を予防できる、症状の進行を止められると決めつけることはできません。

大切なのは、効果を求めて難しい作品を完成させることより、本人が心地よく取り組めることです。
この記事では、認知症予防との関係を整理し、紙や作品の選び方、家族が一緒に楽しむときの工夫を紹介します。

折り紙と認知症予防の関係をどう考える?

手や頭を使う活動と、発症を防ぐ効果は別

折り紙では、紙の向きを確かめる、角を合わせる、折り順を見ながら手を動かすといった作業を行います。
形の変化に気づいたり、完成を喜んだりする機会にもなります。
しかし、活動中に脳が働くことや血流が変化することだけでは、将来の認知症の発症が減るとは判断できません。

国立長寿医療研究センターのMCIハンドブックでも、折り紙など個別の芸術活動に限定した場合の認知機能の改善効果は、明らかではないと説明されています。
認知機能の訓練に関する研究結果を、そのまま家庭の折り紙すべてに当てはめることは避けましょう。

折り紙は趣味や交流の選択肢の一つです。
塗り絵より優れている、毎日何枚折れば効果が出る、といった決まった基準はありません。
本人が好きで続けられることを重視し、苦手な人に予防のためとして強制しないようにします。

折り紙だけに健康づくりを任せない

認知症への備えでは、体調に合う運動、偏りの少ない食事、持病の管理、人とのつながりなども大切です。
折り紙の時間が増えて外出や食事をおろそかにするのでは、本来の目的から離れてしまいます。
暮らしの中に楽しみを一つ加える、という位置づけで取り入れましょう。

日常生活全体での取り組みは、認知症予防には何が効果的?今日から始められる予防法についてで紹介しています。

始める前に紙と場所を整える

見やすく、扱いやすい紙を選ぶ

最初は、手元で扱いやすい大きさの正方形の紙を用意します。
例えば十五センチ角で細かい部分が難しければ、より大きな紙を試す方法があります。
ただし、大きすぎて机からはみ出す紙も扱いにくいため、本人に実際に触って選んでもらいましょう。

厚い紙は折り目をつける力が必要で、薄すぎる紙は破れやすいことがあります。
光沢の強い紙や細かな柄は、折り線が見えにくい場合もあります。
最初は表と裏の色が違う無地の紙を使うと、向きや裏返す場面を説明しやすくなります。

用意する色を一度に増やしすぎると迷う場合は、二、三色から選ぶ方法もあります。
選択に時間がかかっても急がせず、好きな色を選ぶ過程から楽しみましょう。
家族の好みで作品や配色を決めてしまわないことも大切です。

明るさと座り心地を確かめる

安定した机と椅子を使い、紙が見える明るさを確保します。
テレビの音が気になる場合は音量を下げ、机の上には今使う物だけを置くと取り組みやすくなります。
眼鏡など普段使っている物があれば、手元を見る際に不便がないか確認しましょう。

長時間前かがみになる必要はありません。
首や肩、指が疲れたら途中でも休み、痛みを我慢して折り続けないようにします。
麻痺や関節の痛みがある方がリハビリ目的で行う場合は、医師や作業療法士に、紙の扱い方や負担について相談してください。

最初の作品は少ない手順で選ぶ

完成見本を見て、本人の好みを聞く

身近な花、動物の顔、季節の飾りなどから、本人が興味を持つものを選びます。
同じ題材でも折り方によって難しさが違います。
折り鶴のようになじみのある作品でも、細かな折り返しが多ければ、久しぶりの方には難しいことがあります。

完成写真だけで選ばず、手順図を一度確認しましょう。
何度も裏返す作品、細い部分を引き出す作品、紙を開いてつぶす工程が続く作品は、最初の一枚には負担になる場合があります。
家族が事前に折っておくと、迷いやすい箇所を把握できます。

一枚を完成させなくても楽しめる

初回は紙を半分に折って三角形を作るだけでも構いません。
三角形を山に見立てて台紙に並べたり、色の違いを楽しんだりする方法もあります。
作品名に合う形まで仕上げることを必須にせず、本人が面白いと感じるところで区切ります。

一人で全部折るのが難しい場合は、家族が途中まで用意し、最後の一折りを本人に任せる方法もあります。
紙を選ぶ係、折る係、飾る場所を考える係など、作業を分けてもよいでしょう。
参加の仕方は一つではありません。

同じ作品を繰り返してもよい

慣れた作品をもう一度折りたいという希望を、簡単すぎるからと退ける必要はありません。
同じ折り方でも色や紙の大きさを変えると、違った楽しみが生まれます。
安心してできる作業を繰り返すことも、趣味として自然な過ごし方です。

新しい作品への挑戦は、本人が望んだときに少しずつ取り入れます。
難しさを上げ続けることや、失敗の原因を毎回説明させることを目標にしないようにしましょう。
完成の速さや数を他の人と比べる必要もありません。

家族が手伝うときの声かけと見せ方

同じ向きで、一工程ずつ見せる

向かい合うと左右が逆になり、説明が分かりにくくなることがあります。
横に並び、それぞれの紙を同じ向きに置いて見せると伝わりやすくなる場合があります。
先の工程まで一度に説明せず、一つ折ってから次へ進みましょう。

「そこを折って」だけでは分かりにくいときは、合わせる角を指で示します。
説明してすぐ手を出すのではなく、本人が確認する時間を待ちます。
手を添える場合も「ここを一緒に折ってみますか」と声をかけ、本人の了解を得てから手伝います。

間違い探しや能力の試験にしない

角が少しずれたり、見本と違う形になったりしても、すべて直す必要はありません。
本人が困っていなければ、そのまま作品として楽しめます。
修正が必要な場合も「違います」と繰り返すより、「この向きにすると次が折りやすそうです」と具体的に伝えましょう。

「前はできたでしょう」「何回説明したと思うの」といった言葉は避けたいものです。
できない理由を本人の努力不足にせず、紙の大きさ、説明の速さ、疲れ、見え方などを見直します。
今日は見るだけという選択も尊重してください。

思い出話は本人が話したい範囲で

折り紙をきっかけに、学校行事や家族との思い出が話題になることがあります。
話したい様子なら耳を傾け、思い出せないことを質問で確かめ続けないようにします。
昔の話をすることと、専門的な心理療法を受けることは同じではありません。

懐かしい話が必ず楽しいとは限りません。
話題を変えたそうなときは作品の色や飾り方へ戻し、無理に記憶を引き出そうとしないことが大切です。
また、折る作業に集中したい方には、会話を続けず静かに取り組む時間を用意します。

家庭で続けやすい進め方

最初は「一枚試してみる」程度の小さな予定で始め、時間を厳密に決めすぎないようにします。
本人が疲れる前に終われたか、次もやってみたい様子かを確かめ、暮らしに合う頻度を探しましょう。
予定の日に気が乗らなければ休んで構いません。

作品を飾る場所は本人と相談します。
小さな台紙に並べる、季節ごとに入れ替える、希望があれば写真に残すなど、保管しやすい方法を選びます。
家族が勝手に捨てたり、本人の了承なく作品や写真を人に配ったりしないようにしましょう。

家の外で楽しみたい場合は、公民館や地域の交流会などの情報を確認する方法もあります。
参加費、会場までの移動、時間、難しさを確かめ、見学できるか問い合わせると選びやすくなります。
人と一緒に行うことを好まない方には、一人で静かに楽しむ方法も大切です。

折り紙が合わなければ、言葉遊びや塗り絵など別の活動を試してみましょう。
選び方の参考として、脳トレは認知症予防になる?効果の考え方と無理なく楽しむ五つの方法もご覧ください。

折れなくなったことだけで認知症と判断しない

以前より手順が分かりにくいと感じても、折り紙一つの出来栄えで認知症かどうかは判断できません。
見え方や手の動かしにくさ、体調、作品への慣れなども関係します。
一方、服薬や支払い、外出など日常生活にも変化が続く場合は、折り紙で様子を見続けず、かかりつけ医などに相談しましょう。

折り紙は、検査や治療の代わりに行うものではありません。
上手に折ることを目的にしすぎず、本人の選ぶ楽しみとして取り入れることが大切です。
紙を選び、手を動かし、できた形を眺める時間を、本人のペースで一緒に楽しんでください。

タイトルとURLをコピーしました