はじめに
失業などの理由で経済的に困った時に、身内がいる人は一時的に援助を受ける事も可能ですが、そうでない場合は一気に生活困窮に陥る危険性があります。現在の日本には、そういった身寄りのない人たちでも利用できる「生活福祉資金貸付制度」という公的な貸付制度が存在しています。
そこで今回は、「生活福祉資金貸付制度」の利用方法や貸し付けを受ける時の注意点について解説していきます。
生活福祉資金貸付制度とは?

「生活福祉資金貸付制度」は低所得者や高齢者などの経済的弱者が安定した生活を送れるように、社会福祉協議会(以下、社協)が資金の貸し付けや相談を行う制度です。
返済期限や利子は資金の種類によって異なります。総合支援資金や福祉費は、連帯保証人がいる場合は無利子、いない場合は年1.5%です。緊急小口資金と教育支援資金は無利子ですが、不動産担保型生活資金は別の利率が適用されます。返済期限も一律に10~20年ではないため、申し込む資金の条件を確認しましょう。
貸付の可否は、資金の使い道や世帯の状況、返済の見込みなどを踏まえて審査されます。相談支援とあわせて利用する制度なので、困りごとや返済への不安も窓口で相談しましょう。
生活福祉資金貸付制度の種類

生活福祉資金には4種類あり、それぞれ資金の目的と限度額が決められています。
総合支援資金(生活再建のための資金)
生活支援費
生活再建までの間に必要な生活費用(2人以上世帯だと月20万円、単身世帯は月15万円以内)
住宅入居費
敷金や礼金など住宅の賃貸契約に必要な資金(40万円以内)
一時生活再建費
生活再建のために一時的に必要な資金(60万円以内)
福祉資金(一時的な生活費のための資金)
福祉費
生業を営むために必要な経費や福祉用具などの購入費(580万円以内 )
緊急小口資金
緊急かつ一時的に生計の維持が困難となった場合に必要な資金(10万円以内)
教育支援資金(学費のための資金)
教育支援費
低所得者世帯の子どもが高校や大学などに修学するために必要な資金(月額で高校3.5万円、高専6万円、短大6万円、大学6.5万円以内)
就学支度費
低所得者世帯の子どもが高校や大学などに入学するために必要な資金(50万円以内)
不動産担保型生活資金(不動産を担保とする資金)
不動産担保型生活資金
低所得の高齢者世帯に対し、一定の住居用不動産を担保として生活資金を貸し付ける資金(土地の評価額の70%、30万円以内 )
要保護世帯向け不動産担保型生活資金
生活保護法における要保護の高齢者世帯に対し、一定の居住用不動産を担保として生活資金を貸し付ける資金(生活扶助額の1.5倍以内)
生活福祉資金の申し込み方法

連帯保証人の要否は資金の種類によって異なります。総合支援資金や福祉費は、保証人がいなくても貸付可能です。緊急小口資金は保証人不要で、教育支援資金も保証人は不要ですが、世帯内の連帯借受人が必要です。まずはお住まいの市区町村社会福祉協議会に相談してください。
福祉費・教育支援資金・不動産担保型生活資金
居住地の社協を通して申し込みを行い、貸し付けが決定された場合は都道府県社協に借用書を提出した後に貸付金が交付されます。
総合支援資金・緊急小口資金
平成27年から施行された生活困窮者支援制度の、自立相談支援事業の利用が貸し付けの要件になります。もし、まだ自立相談支援事業を利用していない場合は、各自治体の窓口に相談しましょう。
生活福祉資金貸付制度を利用する時の注意点

「生活福祉資金貸付制度」は生活が困窮した時に利用できる制度ではありますが、実際に利用するためには以下の条件を満たしている必要があります。
相談時は、収入・支出、必要な費用、現在利用している支援などを整理して伝えましょう。必要書類や訪問・面談の進め方は、資金の種類や地域の社会福祉協議会に確認してください。
低所得世帯である事
低所得世帯の目安は市町村民税非課税程度で、必要な資金をほかから借りることが難しい世帯が対象です。制度には障害者世帯や高齢者世帯を対象とする資金もあり、対象条件は資金ごとに異なります。収入の有無だけで自己判断せず、窓口で確認してください。
他の制度を利用できない事
生活保護や失業保険のように他の制度を利用できる場合には、そちらの審査を先に受ける必要があります。
返済の見込みがある事
返済の見込みについては社協の職員が、申込人の健康状態や就労の可能性、資格の有無などから判断します。例えば、申請者が病気の療養中で仕事ができない状況だと返済能力なしと判断され、生活保護の受給を勧められる事があります。
貸し付けを申し込む都道府県に居住している事
相談先は、お住まいの地域の市区町村社会福祉協議会です。住民票の住所と実際の居住地が異なる場合は、手続きに必要な対応を窓口に確認してください。
当制度の連帯保証人になっていない事
当制度において他の世帯の連帯保証人になっている場合は、自分が申し込みを行う事はできません。
まとめ
生活福祉資金貸付制度は、都道府県社会福祉協議会が実施する公的な貸付制度です。資金ごとに対象や条件が異なるため、生活費に困ったときは、お住まいの市区町村社会福祉協議会で利用できる支援を相談しましょう。
出典:厚生労働省「生活福祉資金貸付制度」、貸付条件等一覧(2026年10月確認)
貸付には審査があり、希望する金額を必ず借りられるわけではありません。家計の状況や必要な支出を整理し、返済の見通しとあわせて相談しましょう。この記事は通常の制度についての説明です。新型コロナウイルス感染症に伴う特例貸付は、2022年9月末で申請受付を終了しています。



