定年後に歴史や文学を学びたい、仕事で関わった分野を改めて勉強したい、大学卒業を目指したい。
シニア世代の学び直しには、さまざまな目的があります。
大学で学ぶ方法は、学部へ正規入学するだけではありません。
必要な科目だけ履修したり、公開講座を受けたりする選択肢もあります。
最初に考えたいのは、「学位が必要か」「単位を取りたいか」「知識を得ることを楽しみたいか」です。
この記事では、大学での学び方の違いと、募集要項で確認すること、費用や学習時間の見積もり方を整理します。
シニアの学び直しは目的から制度を選ぶ
大学で学ぶといっても、卒業を目指す場合と、一つの分野を学びたい場合では必要な期間や手続きが異なります。
例えば、好きな歴史の講義を一度聞いてみたいなら、公開講座が候補になります。
学士の学位を取得したいなら、正規の課程に入り、大学が定める卒業要件を満たす必要があります。
学ぶ目的を決めるときは、関心のある内容と、生活の中で使える時間を分けて書き出しましょう。
「大学に通う」ことだけを先に決めず、知りたいことを学べるか、授業を継続して受けられるかを確認します。
学位を目指すかどうかが決まらない場合も、公開講座などで授業の雰囲気を確かめる方法があります。
大学で学び直す四つの方法
正規入学して卒業・学位取得を目指す
正規の学生として学部へ入学する場合は、入学資格と選抜方法を確認します。
社会人を対象とした選抜や年齢などの条件を設けた制度がある大学もありますが、「シニア入試」という共通の制度が全国一律にあるわけではありません。
対象学部、募集人数、試験科目、提出書類は大学ごとに異なります。
入学後は、必修科目、卒業に必要な単位数、在学期間などの要件を満たします。
過去に大学で修得した単位がある方は、編入学や既修得単位の認定を利用できるかも確認してください。
以前の単位がすべて認められるとは限らず、卒業までに必要な期間や費用にも影響します。
科目等履修生として単位を取る
科目等履修生(かもくとうりしゅうせい)は、大学の特定の科目を履修し、試験など所定の条件を満たすことで単位を修得する制度です。
正規入学とは異なる立場で、関心のある分野や必要な科目を学ぶ選択肢になります。
履修できる科目、出願資格、選考方法、期間は大学や学部によって違います。
将来の入学や資格取得に単位を使いたい場合は、その目的に認められる科目かを事前に確認しましょう。
「単位が取れること」と「希望する大学の卒業単位や資格要件に算入できること」は同じではありません。
出願前に、受講先と、単位の利用先となる大学や資格の窓口へ確かめることが大切です。
聴講生として授業を受ける
聴講生(ちょうこうせい)は、単位修得を目的とせず、大学の授業を受ける学び方です。
知識を深めたい一方で、単位を取る必要はない方の候補になります。
ただし、授業に自由に出入りできる制度ではありません。
申込みや選考、費用、受け入れる科目の条件を確認する必要があります。
試験や課題、出席についての扱いも大学ごとに確認してください。
聴講できる授業が限られている場合や、希望科目がその年度に開講されない場合もあります。
科目等履修生との違いが分かりにくいときは、大学の教務担当窓口へ「単位は不要で、この科目を学びたい」と目的を伝えて相談しましょう。
公開講座や履修証明プログラムを利用する
大学の公開講座は、一般向けに開かれる学習の機会です。
一回だけの講演から複数回の講座まであり、参加対象、申込み方法、費用は講座ごとに違います。
大学の通常授業に学生として参加する制度とは区別し、受講すれば卒業単位が得られると考えないようにしてください。
体系的に学ぶ方法には、履修証明(りしゅうしょうめい)プログラムなどもあります。
修了時に得られる証明書と学位、資格はそれぞれ異なるため、何を満たすと何が得られるのかを確認しましょう。
名称だけで判断せず、講座案内や募集要項に書かれた修了条件を読みます。
通信制・オンラインでも通学の有無を確認する
通信制大学は、自宅での学習を中心に進めたい方の選択肢です。
ただし、授業の配信方法、課題提出、試験、対面授業の有無は大学や科目によって異なります。
「通信制だからすべて自宅で完結する」「試験もいつでも受けられる」とは限りません。
通学が必要な場合は、会場と日程、交通や宿泊の負担も確認してください。
オンライン授業にも、決まった時刻に参加する形式と、配信された授業を期間内に視聴する形式があります。
録画視聴ができるか、出席の確認方法、質問の方法、提出期限を調べましょう。
スマートフォンだけで学べると思っていたら、パソコンでのレポート作成が必要だった、という行き違いも避けたいところです。
放送大学の教養学部では、卒業を目指す全科履修生のほか、一定期間在籍して科目を学ぶ選科履修生や科目履修生があります。
学生の種類によって在学期間や入学料が異なるため、学びたい期間と目的に合わせて選びます。
他大学でも同じ名称や条件とは限らないので、それぞれの案内を確認してください。
費用は授業料だけでなく総額で比較する
学費には、検定料や入学料、授業料のほか、教材費、実習費、施設の利用に関わる費用などが含まれる場合があります。
通学の交通費や、オンライン学習の端末・通信環境も必要に応じて見積もりましょう。
学費を一律に「通学制の何分の一」と示すことはできません。
例えば放送大学でも、全科履修生、選科履修生、科目履修生では入学料や在学期間が異なります。
一科目から学ぶ場合と卒業を目指す場合では、履修する単位数によって授業料の総額も変わります。
出願年度の公式な学費案内で、選んだ学生種と科目の合計を計算してください。
年齢や社会人向けの減免、奨学金がある場合も、対象、選考、適用期間、返済の有無を確認します。
シニア向けの入試に合格すれば必ず学費免除になるわけではありません。
学習期間が延びた場合の費用、途中で休学・退学した場合の扱いや返金条件も、申込み前に把握しておくと安心です。
生活に合う学習量を見積もる
授業時間以外にも、教材を読む、調べる、レポートを書く、試験の準備をするといった時間が必要です。
週の予定表に、仕事、家事、介護、通院、休養の時間を書き込み、どこに学習時間を確保するかを考えましょう。
科目数を多くすることより、提出期限まで無理なく取り組めるかを重視します。
久しぶりの勉強では、専門用語や資料の読み方に慣れるまで時間がかかることもあります。
まずシラバスと呼ばれる授業計画を読み、学習内容、前提知識、評価方法を確かめてください。
入門科目から始める、履修科目を絞るなど、取り組み方を調整する方法もあります。
文字の見え方、聞こえ方、移動などに配慮が必要な場合は、出願前に大学の相談窓口へ問い合わせましょう。
希望する支援を具体的に伝え、教材や試験、教室でどのような対応が可能かを確認します。
家族の理解が必要な場合も、予定と費用を共有してから進めると行き違いを減らせます。
資格取得が目的なら取得条件を別に確かめる
大学で関連分野を学ぶことと、資格を取得できることは別です。
教員免許などを目指す場合も、必要な科目や実習、入学前の学歴、すでに持つ資格などによって条件が変わります。
希望する資格に対応する課程があるか、修了後に得られるのは資格そのものか受験資格かを確認してください。
就職や活動のために資格が必要な方は、取得までの期間と費用に加え、実際の募集条件も調べましょう。
大学を卒業したり資格を取ったりすれば、希望する仕事が保証されるわけではありません。
純粋に学ぶ楽しみと、仕事に必要な要件を分けて考えると、学校選びの基準が明確になります。
出願前に確認したいこと
候補の大学が見つかったら、最新の募集要項で、対象となる学部や科目、入学資格、出願期間、必要書類、選抜方法を確かめます。
続いて、授業や試験の日程、通学の必要性、卒業・単位・修了の条件、費用の総額を確認しましょう。
古い紹介記事の学校数や料金を、そのまま今年度の条件として使わないことが大切です。
分からない点は、大学の入試担当や教務担当へ、学びたい科目と目的を具体的に伝えて相談します。
学位の取得にこだわらず、まず関心のある活動を探したい方は、老後の趣味が見つからない方へ 7つの候補と費用・体力に合う選び方も参考にしてください。
大学での学び直しは、若い世代と同じ速さで取り組むことを競うものではありません。
何を学びたいかを出発点に、生活に合う制度、費用、科目数を選びましょう。
公開講座や一科目から始め、経験してから次の学習計画を考える方法もあります。



