デイサービスは、自宅で暮らす方が日中に事業所へ通い、生活の支援や機能訓練などを受けるサービスです。
本人の活動の機会をつくるとともに、家族が休息したり仕事や用事を続けたりするための支えにもなります。
ただし、どの事業所でも同じ内容を受けられるわけではありません。
この記事では、介護保険の通所介護(つうしょかいご)を中心に、利用条件、サービス内容、費用、利用前の準備を紹介します。
本人の希望と体調に合うかを確かめ、担当ケアマネジャーや事業所の相談員と利用方法を考えましょう。
デイサービスは自宅での暮らしを支える通所サービス
施設への入所とは異なる
デイサービスは日帰りで利用するもので、生活の拠点は自宅にあります。
送迎、食事、入浴、排せつの支援、機能訓練などを必要に応じて受けますが、提供時間や内容は事業所によって異なります。
半日程度の利用や、食事・入浴を提供しない事業所もあります。
「朝から夕方まで必ず預かってもらえる」と考えず、実際に家を出る時刻と帰宅する時刻を確認してください。
営業日、祝日の対応、送迎の範囲も事業所ごとに違います。
家族の勤務時間と合わない場合は、ほかの支援を組み合わせることも相談します。
要支援の方は総合事業などを確認する
介護保険の通所介護は、要介護一から五の認定を受けた方などを対象とするサービスです。
要支援一・二の方は同じ通所介護をそのまま使うのではなく、市区町村の総合事業による通所型サービスなどを検討します。
対象や利用方法は地域包括支援センターなどへ確認しましょう。
認定がない段階でも、生活に困りごとがあれば相談できます。
年齢や認定の有無によって使える制度が異なるため、「デイサービス」という通称だけで対象を判断しないことが大切です。
四十歳から六十四歳の方の介護保険利用には、特定疾病などの条件があります。
利用できる支援と事業所ごとの違い
健康確認や日常生活の支援
来所時の体調確認、食事、入浴、排せつなどの支援が行われます。
ただし、看護職員がいることと、あらゆる医療処置に対応できることは同じではありません。
服薬、食事の形態、持病、必要な処置などを事前に伝え、受け入れ可能な内容を確認してください。
入浴では、浴槽の形だけでなく、移動や着替えの介助、見守り、本人の体調に応じた判断も重要です。
介護度の数字だけで適した入浴方法が決まるわけではありません。
本人の動きや好み、医療上の注意点を共有し、安全に利用できる方法を相談します。
機能訓練と通所リハビリテーションは区別する
デイサービスの機能訓練は、立ち座りや歩行など、日々の生活を支える動きを保つために行われます。
器具の多さや運動の強さだけで内容を評価せず、本人の目標や体調に合わせて調整してもらえるかを確認しましょう。
参加したことで必ず身体機能が回復するというものではありません。
通所リハビリテーション、いわゆるデイケアは、通所介護とは別のサービスです。
医師の関与やリハビリテーションの提供体制などが異なります。
歩行や生活動作について専門的な支援を希望する場合は、主治医やケアマネジャーに目的を伝え、適したサービスを相談してください。
活動は本人の好みと疲れ方に合わせる
体操、手作業、音楽、交流などの活動は、事業所によって特色があります。
大勢で過ごすことが好きな方も、静かな場所で個別に過ごしたい方もいます。
「脳に良いから」と苦手な活動を無理に続けるより、休憩や別の過ごし方を相談できることが大切です。
折り紙や計算などを行えば認知症(にんちしょう)を確実に防げる、と考えるものでもありません。
活動の目的や本人の楽しみを大切にし、正解数や作品の完成だけで評価しないようにしましょう。
気分や体調で参加しにくい日があることも、職員に伝えてください。
利用開始までの流れ
生活の困りごとを相談し、必要な手続きを進める
まず、市区町村の介護保険窓口や地域包括支援センターなどへ相談します。
要介護認定が必要な場合は申請し、認定調査や主治医意見書などを基に判定を受けます。
結果の通知は原則として申請から三十日以内ですが、事情により時間がかかる場合もあります。
申請に必要な本人確認や医療保険の情報などは、現在の自治体の案内で確認してください。
以前の健康保険証や印鑑が全員に必要だとする古い記事を、そのまま準備リストとして使わないようにします。
本人が入院している、家族が遠方にいる場合も、申請の進め方を窓口に尋ねましょう。
ケアプランと事業所の契約を確認する
認定後は、本人の希望や必要な支援に合わせてケアプランを作り、利用する事業所と契約します。
何のために通うかを「入浴の支援を受ける」「外出の機会を持つ」「家族が休息する」など具体的にすると、サービスを選びやすくなります。
回数は本人の状態や費用などを踏まえて相談します。
見学や体験利用の有無、料金、送迎、持ち物も事前に確認してください。
最初から一日体験が全員に適しているわけではありません。
体力や不安に合わせて短い見学から始めるなど、本人に合う方法を相談しましょう。
候補の探し方や見学時の質問は、デイサービスの選び方と見学チェック!本人に合う施設を探すポイントで詳しく紹介しています。
費用は介護保険分と実費を合わせて考える
介護保険対象のサービス費の自己負担は、本人の負担割合などによって変わります。
原則一割で、一定以上の所得のある六十五歳以上の方は二割または三割となります。
介護保険負担割合証を確認し、事業所には本人の条件で費用の見込みを出してもらいましょう。
利用時間、要介護度、事業所の規模、加算などによっても金額は異なります。
食費やおむつ代、日常生活費など、保険対象外の負担もあります。
「一割負担」と聞いて食事代などもすべて一割になると考えず、内訳を確認してください。
月額を考えるときは、予定する利用回数に加え、ほかの介護サービスの利用状況も見ます。
支給限度額を超える分は全額自己負担になる場合があります。
欠席時に食事代やキャンセル料が発生するか、いつまでに連絡すればよいかも、契約前に確かめましょう。
送迎と持ち物の準備
玄関から乗車までの支援も確認する
送迎では、家の前まで来ることだけでなく、玄関の段差、エレベーター、車いすの利用などを伝えます。
家族の立ち会いが必要か、どこまで職員が介助するか、帰宅時に誰が迎えるかを確認してください。
乗り合いのルートによって乗車時間が長くなる場合もあります。
交通事情で時刻が前後する場合の連絡方法や、本人が送迎車に乗りたくないときの対応も相談します。
車酔いや長時間座ることへの不安がある方は、距離だけでなく実際の送迎方法を確かめましょう。
家族が送迎する場合の扱いも事業所へ確認してください。
薬と必要な情報は事業所の指示に合わせる
着替え、タオル、室内履きなど、必要な物は事業所から案内を受けます。
持ち物の取り違えを防ぐため、本人が確認しやすい名前の表示などを相談しましょう。
眼鏡や補聴器など、日常に必要な物まで一律に置いていくのではなく、管理方法を決めて持参します。
利用中に服薬が必要な場合は、薬の名前、量、時刻、渡し方を事前に共有します。
自己判断で別の容器へまとめたり、用量を変えたりせず、事業所や薬剤師に確認してください。
緊急連絡先、お薬手帳などの情報、受診時に必要な確認書類の扱いも尋ねます。
現金や貴重品は、必要性と管理方法を確認して持参します。
すべての事業所でお金を使う機会がないと断定はできません。
紛失の際の連絡、預かりの可否、本人が自分で管理したい物への対応を、契約や利用案内で確認しておきましょう。
本人が利用を嫌がるときは理由を聞く
知らない場所への不安、騒がしさ、送迎の疲れ、活動の好みなど、利用しづらい理由はさまざまです。
嫌がることを単なるわがままと考えず、いつ、どの場面で負担があるかを聞きます。
利用時間や曜日、過ごし方を変えることで対応できる場合もあります。
帰宅後の疲れや食欲、睡眠の変化も見て、気になる点を職員やケアマネジャーに伝えましょう。
家族の休息も必要な支援なので、本人か家族かの二者択一にせず、別の事業所や訪問・宿泊サービスなども含めて相談します。
利用開始後も計画は見直せます。
宿泊サービスは日中のデイサービスと別に確認する
事業所によっては夜間の宿泊サービスを提供していますが、通常の通所介護に宿泊が含まれるわけではありません。
いわゆるお泊まりデイサービスは、介護保険制度外の自主事業として提供されるもので、ショートステイとも区別が必要です。
宿泊を検討する場合は、料金、夜間の職員配置、寝る場所、急変時の対応、利用日数などを確認します。
日中に慣れている場所だから夜間も同じ体制とは限りません。
本人の状態に合う支援を、ケアマネジャーなどと相談して選んでください。
制度の入口は、公的介護保険はいつ使える?利用条件・申請の流れ・自己負担を解説で整理しています。
本人の希望と家族の生活を支えるため、必要なことを一つずつ確かめながら利用を進めましょう。



