子どもの独立は、家族に必要な保障を計算し直す機会です。
教育費の負担が減っても、配偶者の生活費、住宅ローン、病気や介護への備えは家庭ごとに異なります。
保険料を下げることだけを目的にせず、「何のために、いつまで、いくら備えるか」を整理しましょう。
最初に保険と家計の一覧を作る
保険証券や契約者向けの画面で、現在の契約を確認します。
勤務先の団体保険や共済、住宅ローンの団体信用生命保険も含めると、保障の重複や終了時期を把握しやすくなります。
- 契約者・被保険者・保険金受取人と連絡先
- 死亡・入院・手術・介護など、支払われる条件と金額
- 保障が終わる年齢、保険料の払込期間、更新後の保険料
- 解約返戻金(かいやくへんれいきん)の現在額と今後の見込み
- 預貯金、年金見込額、ローン残高、毎月の生活費
家族には保険の存在と請求先を伝えます。
契約者用のパスワードや暗証番号を、家族共有の一覧にそのまま記載することは避けましょう。
ポイント1 死亡保障は遺族の不足額から考える
死亡保障の目安は、遺族に必要な支出から、見込める収入や使える資産を差し引いた不足額です。
生活費の総額だけを、そのまま必要な死亡保険金と考えないようにします。
必要な支出と受け取れるお金を分ける
- 支出:遺族の生活費、住居費、残る教育費、葬儀・整理費用など
- 収入:遺族年金、配偶者の収入、勤務先の死亡退職金など
- 資産:生活費に使える預貯金や、すでに加入している死亡保障など
遺族年金は加入歴や家族構成などにより異なります。
自分の老齢年金が、そのまま配偶者に引き継がれるわけではないため、年金事務所などで確認しましょう。
計算例は家庭の数字に置き換える
例えば、ある期間の必要支出が1,800万円、同じ期間の収入見込みが1,200万円、使える預貯金が300万円なら、不足は300万円です。
これは計算方法を示す仮の例で、標準的な保障額ではありません。
物価の変化や大きな修繕費も考え、手元に残す生活予備費を決めてから検討します。
ポイント2 医療・介護は公的制度と貯蓄を確認する
年齢が上がったからといって、すべての人が民間保険を増やす必要はありません。
公的医療保険・介護保険で利用できる給付を確認し、家計で負担できない部分を考えます。
- 医療:高額療養費制度などの対象と、自分に適用される条件を確認する
- 対象外の支出:差額ベッド代、食費、交通費、収入減などを分ける
- 介護:サービスの自己負担に加え、住居費や生活費も見込む
- 民間保険:入院・通院・手術・介護の支払条件と上限を確認する
「先進医療特約があれば自由診療をすべて保障する」「要介護認定を受ければどの介護保険でも支払われる」とは限りません。
商品の名前だけで判断せず、約款と契約概要の対象範囲を確認してください。
ポイント3 減額・払済・解約は条件を比べて選ぶ
減額で保険料を抑える
死亡保障などを減額できる契約では、以後の保険料を抑えられる場合があります。
最低保険金額や、特約への影響、減らした部分の取扱いは契約によって異なります。
後から同じ条件に戻せるとは限らないため、変更後の保障一覧を確認しましょう。
払済保険に変更する
払済(はらいずみ)保険は、その時点の解約返戻金を使い、以後の保険料払込みをやめて、一般に保障額を小さくして継続する方法です。
利用できない契約もあり、特約が消滅する場合があります。
保険会社に変更後の保障額・期間・返戻金を試算してもらいます。
解約や乗換えは失う保障まで確認する
解約返戻金は、払い込んだ保険料を下回ることがあります。
新しい契約では、年齢や健康状態によって保険料や加入条件が変わり、保障の開始まで待機期間などが設けられることもあります。
乗換えをする場合は、新契約の成立と保障開始、対象外となる条件を確認してから旧契約の扱いを決めます。
夫婦で見直すときは一人になった後の家計も確認する
夫婦それぞれについて、契約内容と年金・預貯金を整理します。
どちらかが亡くなった後も住居費などが残るため、生活費が単純に半分になるとは限りません。
夫が先に亡くなる場合と妻が先に亡くなる場合を分け、残る人の収入と支出を確認しましょう。
- 夫婦それぞれの死亡・医療・介護保障と、保障終了時期。
- 一人になった後の年金等の収入、住居費、生活費。
- 入院や介護の際に、請求手続きを手伝う人と保険会社の連絡先。
- 保険料を払い続けても確保できる生活予備費。
必要な保険金額や入院日額を、年齢だけで一律に決めることはできません。
十分な預貯金がある場合も含め、今の契約の継続・変更と追加加入を比較してください。
相続対策は受取人と税金の条件を確認する
死亡保険金の税金は、被保険者、保険料を負担した人、受取人の関係で異なります。
亡くなった人が保険料を負担し、相続人が死亡保険金を受け取る場合には、相続税の非課税限度額として「500万円×法定相続人の数」があります。
相続人以外の受取人にはこの非課税枠は適用されません。
節税効果だけで加入を決めず、当面の生活資金や解約時の返戻金も確認しましょう。
60歳前後は退職後の収入と保障の終了時期を確認する
子どもの独立に限らず、定年退職や再雇用で収入が変わるときも見直しの機会です。
働いている間と退職後を分けて、保険料を含む毎月の支出を確認しましょう。
年齢別の平均保険料や加入率は、自分に必要な保障額を決める基準ではありません。
- 退職後に続けられる勤務先の団体保険と、終了する保障。
- 医療特約の保障期間と保険料の払込期間。
- 年金受給までの生活費と、急な支出に使える預貯金。
- 住宅ローンの残高と団体信用生命保険の契約内容。
持病がある場合は加入条件を個別に比較する
持病や治療歴があっても、通常の保険に加入できる場合や、保険料の割増し・保障の制限などの条件付きで加入できる場合があります。
最初から加入できないと決めつけず、告知で尋ねられた内容を正確に伝えて確認します。
引受基準緩和型(ひきうけきじゅんかんわがた)は告知項目を限定した保険で、無選択型(むせんたくがた)は健康状態の告知や診査が不要な保険です。
加入のしやすさだけでなく、保険料、保障が始まる時期、保険金が削減される条件、対象外の病気などを商品ごとに確認してください。
保険料の割増しは、受け取る保険金が増えるという意味ではありません。
参考:生命保険文化センター「健康上の不安があると、生命保険は契約できないの?」
見直しの相談で確認したいこと
- 継続・減額・払済・解約のそれぞれで、今後の総保険料はいくらか
- なくなる保障や特約と、残る保障は何か
- 退職後の収入でも保険料を払い続けられるか
- 相談料の有無と、紹介できる保険会社の範囲はどうか
子どもの独立後は、保障を必要な範囲に整え、手元資金とのバランスを取り直すことが大切です。
契約をすぐに変える前に、現在の保険会社へ変更案の試算を依頼するところから始めましょう。



