60代の生命保険料は、同年代の平均より高いか低いかだけでは判断できません。
働き続けている人、退職した人、家族を扶養している人では、必要な保障と支払える金額が異なるためです。
まず最新の平均額が何を集計した数字なのかを確認し、自分の家計と保障内容を分けて見直しましょう。
60代の生命保険料の平均はいくら?
生命保険文化センター「2025年度 生活保障に関する調査」によると、60代の年間払込保険料の平均は、男性20.2万円、女性15.1万円です。
年額を12で割った月額換算では、男性約16,800円、女性約12,600円になります。
| 60代の区分 | 年間平均 | 月額換算 |
|---|---|---|
| 男性 | 20.2万円 | 約16,800円 |
| 女性 | 15.1万円 | 約12,600円 |
月額は年間平均を12で割り、百円単位に丸めた計算値です。
実際に月払いしている人だけの平均ではありません。
個人の平均であり、世帯の保険料総額ではない
この数字は生命保険・個人年金保険の加入者のうち、実際に保険料を支払っている人の年間払込額の平均です。
個人年金保険を含み、一時払や頭金の保険料は除かれます。
国民健康保険料や介護保険料、自動車保険料、火災保険料など、家計のすべての保険料を合計した数字ではありません。
夫婦で支払っている総額と、この個人の平均をそのまま比べないようにしましょう。
また、平均は「この金額まで加入すべき」という推奨額でも、最も多くの人が支払う金額でもありません。
平均より高い理由を契約ごとに確認する
支払額が高くても、保障が大きい場合と、個人年金など将来の受取りに備える契約が含まれる場合では意味が異なります。
反対に、支払額が少なくても、保険料の払込みが終わった契約で保障が続いている場合があります。
保険料だけを比べず、保障内容・保険期間・払込期間を並べることが先です。
60代の保険料は今後の家計で考える
退職前と退職後の収支を分けて計算する
60代になったら全員が年金生活に移るわけではありません。
現在の給与、退職時期、年金を受け取り始める時期に合わせて、今と数年後の手取り収入を確認します。
保険料が今は払えても、給与収入が減った後に無理なく続けられるかを考えましょう。
生活費、住居費、税金・社会保険料、医療や介護に備える資金を先に整理し、保険料を払った後も生活の予備費が残るか確かめます。
平均額に近づけるために加入を増やしたり、貯蓄を過度に取り崩して契約を維持したりする必要はありません。
毎月の金額と年間総額をそろえる
月払いと年払いが混在している場合は、年間総額に換算して一覧にします。
家族の口座やカードから支払っている契約も含め、誰の保障にいくら使っているかを確認してください。
更新型の契約では、次の更新後の保険料と保障が続く年齢も確認します。
- 現在の年間保険料と、更新後の予定額
- 保険料をいつまで支払うか
- 保障がいつまで続くか
- 満期金や解約返戻金の有無と金額
払込期間の終了と、保障の終了は同じとは限りません。
例えば払込みが終わっても死亡保障が続く契約があります。
「もうすぐ払込みが終わる契約」を解約する前に、その後の保障を確認しましょう。
死亡保障と医療保障を分けて見直す
死亡保障は残される家族の生活費から考える
子どもの独立などで必要な死亡保障が小さくなる場合はあります。
ただし、配偶者の生活費、扶養している家族、住居費や借入れが残る場合もあり、60代だから葬儀費用だけで十分とは限りません。
亡くなった後に必要な費用と、残される家族の収入・利用できる資金を書き出します。
遺族年金などは受給条件を確認し、受け取れると決めつけずに見積もってください。
葬儀や片付けの費用と、その後の生活費を分けて考えると、保障の過不足を整理しやすくなります。
医療保障は公的制度と貯蓄で不足する部分を確認
公的医療保険には、保険診療の自己負担が一定の限度額を超えたときに負担を軽減する高額療養費(こうがくりょうようひ)制度があります。
一方、入院時の食事代、差額ベッド代、先進医療の技術料などは対象外です。
制度の条件や自分の限度額は、加入する健康保険の窓口で確認してください。
通院の交通費や日用品、働けない間の収入減も含め、手元の貯蓄からどこまで負担できるか考えます。
民間の医療保険については、入院日額だけでなく、一時金、手術・通院の給付条件、支払日数の上限を確認しましょう。
病気への不安だけで保障を増やすと、普段の家計に負担が残ることがあります。
医療保障の必要性を詳しく確認したい方は、高齢者に医療保険は必要?公的制度・貯蓄・保障から考える判断の手順もご覧ください。
同じ病気に備える契約でも給付条件は異なる
医療保険とがん保険など、似た目的の契約が複数あっても、直ちに無駄とはいえません。
診断時に受け取るのか、入院や治療を受けたときに受け取るのかによって使い道が変わります。
何が起きたら、いくら受け取れるのかを比べ、必要な保障を残してください。
解約する前に今の契約で調整できるか確認する
減額や特約の整理も選択肢になる
見直しは、新しい保険への乗換えだけではありません。
現在の契約の保障額を減らしたり、不要になった特約を外したりできる場合があります。
ただし、主契約を減額すると特約も減額されるなど、他の保障に影響することがあるため、変更前後を確認します。
保険料の払込みを止め、保障額を小さくして契約を続ける払済保険(はらいずみほけん)などの方法が使えるかも、保険会社に相談できます。
利用できる契約や条件は限られ、特約がなくなる場合もあります。
保険料がなくなるという点だけで決めないようにしましょう。
新しい保障の開始を確認してから旧契約を整理する
新規契約では現在の年齢や健康状態などによって、保険料や加入条件が変わります。
加入できない場合や、特定の病気が保障されない条件が付く場合もあります。
先に今の契約を解約すると、予定していた保障を確保できないおそれがあります。
乗り換える場合は、新しい契約の成立だけでなく、保障の開始日、待ち期間、保障対象外の条件まで確認します。
解約した契約を元に戻せるとは限りません。
新旧の保障を比較してから手続きしてください。
平均額と比べた後に作る契約比較表
保険料が平均より高いと分かっても、その差額をすべて削ればよいわけではありません。
まず契約ごとに「誰のための保障か」「何が起きたら受け取れるか」「いつまで必要か」を書き、続ける理由を確認します。
自分の医療費に備える契約と、配偶者の生活費に備える契約を分ければ、同じ金額の保険料でも役割が違うことが見えてきます。
月額だけでなく変更後の保障を横に並べる
例えば、現在の月額保険料が1万8,000円、見直し案が1万3,000円なら、差額は月5,000円、年間6万円です。
これは計算方法を示す仮の例で、60代の適正額や商品の見積もりではありません。
比較表には節約額だけでなく、減る死亡保障額、外れる特約、入院や手術の給付条件も書き添えます。
年6万円の負担を減らせても、残したかった保障までなくなるなら、別の見直し方を検討します。
一方、役割を終えた保障が残っているなら、減額後の条件を確認するきっかけになります。
現在の契約をそのまま続ける案も同じ表に入れ、変更する場合だけが有利に見える比較を避けましょう。
その場で決めず不明点を確認する
契約書類の説明が分からない場合は、変更前後の内容を書面で示してもらいます。
保険料の金額、保障が変わる日、解約返戻金(かいやくへんれいきん)、取り消せる手続きの範囲を確認し、回答日と担当窓口を控えましょう。
家族に相談する際も、月額の安さだけでなく、誰にどの負担が残るのかを共有すると判断しやすくなります。
保険証券をそろえて家族と確認しよう
まず、保険証券や契約内容のお知らせを集め、契約者、被保険者、受取人、保障内容、保険料、満期・更新時期を一つの一覧にします。
紙の証券がない契約も、契約画面や保険会社への照会で確認できます。
請求時の連絡先や書類の保管場所も家族に共有しておきましょう。
60代の平均保険料は、家計を点検するきっかけになります。
目標は平均額に合わせることではなく、生活費と予備資金を確保しながら、自分では負担しきれない損失に備えることです。
判断に迷う場合は、現在の契約を維持した場合も含めて比較し、変更後に困らないかを確かめてください。



