お骨上げの喉仏はどこの骨?実は第二頸椎と呼ばれる首の骨

お骨上げで喉仏と呼ばれる遺骨を骨壺に納める様子 葬儀

はじめに

火葬後のお骨上げでは、火葬場の職員から「こちらが喉仏です」と説明されることがあります。
喉仏と聞くと、多くの人は首の前側にある膨らみを思い浮かべるのではないでしょうか。
しかし、お骨上げで喉仏と呼ばれている遺骨は、普段私たちが喉仏と呼んでいる部分の骨ではありません。
お骨上げの喉仏は、首の部分に並ぶ背骨の一つである第二頸椎(だいにけいつい)を指します。
第二頸椎は、その形が座禅を組む仏様のように見えるとされ、お骨上げでは大切に扱われてきました。
この記事では、お骨上げでいう喉仏の正体や、なぜ第二頸椎を喉仏と呼ぶのか、骨がきれいに残らなかった場合の考え方まで分かりやすく解説します。

お骨上げでいう喉仏とは

お骨上げの喉仏は第二頸椎

お骨上げで喉仏と呼ばれているのは、第二頸椎という首の骨です。
頸椎(けいつい)とは、頭と胴体をつないでいる首の部分の背骨を指します。
人の頸椎は第一頸椎から第七頸椎まであり、第二頸椎は上から2番目に位置しています。
第二頸椎は「軸椎(じくつい)」とも呼ばれ、第一頸椎とともに頭を支えたり、首を左右に回したりする働きを担う骨です。
第二頸椎には、上に向かって伸びる歯突起(しとっき)という特徴的な突起があります。
この複雑な形を一定の方向から見ると、仏様が座禅を組んでいる姿のように見えるといわれています。
そのため、火葬後のお骨上げでは第二頸椎を喉仏と呼び、大切に扱う習慣が広まりました。

首の前に見える喉仏とは別のもの

私たちが日常的に喉仏と呼んでいるのは、首の前側に見える膨らみです。
この膨らみは、喉頭(こうとう)を構成する甲状軟骨(こうじょうなんこつ)によって形成されています。
正式には喉頭隆起(こうとうりゅうき)と呼ばれます。
つまり、日常生活でいう喉仏と、お骨上げでいう喉仏は、位置も体の組織も異なります。
日常生活でいう喉仏
 甲状軟骨によってできる首の前側の膨らみ
お骨上げでいう喉仏
 首の背骨の一つである第二頸椎
「喉仏の骨」という言葉から、首の前にある膨らみの骨が残ったものだと思われがちですが、実際には別のものです。

お骨上げの喉仏は女性にもある

首の前側にある喉頭隆起は男性の方が目立ちやすいため、喉仏は男性だけにあると思われることがあります。
しかし、喉頭隆起をつくる甲状軟骨は男女ともにあります。
お骨上げで喉仏と呼ばれる第二頸椎も、もちろん男女ともにある骨です。
そのため、お骨上げの喉仏に男女の違いはありません。
女性の遺骨にも第二頸椎はあり、形を保って残っていれば、火葬場の職員から喉仏として説明されることがあります。

なぜ第二頸椎を喉仏と呼ぶのか

座禅を組む仏様のように見える

第二頸椎が喉仏と呼ばれる代表的な理由は、骨の形が座禅を組む仏様に見えるためです。
第二頸椎には中央部分から伸びる歯突起があり、その周囲には左右に広がる部分があります。
この形を正面や斜めから見ると、中央の突起が仏様の頭や胴体、左右に広がる部分が組んだ手足のように見えるとされています。
ただし、実際の遺骨は火葬によって変形したり、一部が欠けたりすることがあります。
誰が見ても完全な仏様の姿に見えるわけではありません。
あくまで日本の葬送文化の中で、仏様の姿になぞらえて大切にされてきた骨と考えるとよいでしょう。

呼び名の由来には複数の説明がある

第二頸椎が喉仏と呼ばれる理由には、仏様の姿に見えるという説明のほか、首の付近にある骨だからという説明もあります。
ただし、いつ、どこで喉仏という呼び名が定着したのかを明確に示す資料は多くありません。
そのため、「昔の人が故人の体の中に仏様を発見した」といった話を歴史的な事実として断定するのは適切ではありません。
一般には、骨の形が仏様に似ていると考えられ、仏教的な意味を重ねて喉仏と呼ぶようになったと説明されています。

喉仏はお骨上げでどのように扱われるのか

最後に骨壺へ納めることが多い

お骨上げでは、足元の骨から上半身へ向かって順番に拾い、故人が骨壺の中で立つような形になるよう納める方法があります。
この方法では、頭部の骨を納めた後、喉仏を最後に骨壺へ入れることがあります。
喉仏は故人と血縁の深い人や喪主が納める場合もあります。
ただし、骨を拾う順番や喉仏を納める人について、法律で定められた全国共通の決まりがあるわけではありません。
火葬場や地域によって方法が異なるため、実際のお骨上げでは職員の案内に従いましょう。

葬儀から火葬、お骨上げまでの全体的な流れについては、葬儀とは?費用相場・流れ・種類と後悔しないための準備で詳しく解説しています。

すべての火葬場で同じ扱いをするわけではない

火葬場によっては、遺族が一つひとつ遺骨を拾うのではなく、職員が補助しながら骨壺へ納めることがあります。
喉仏を必ず最後に入れるとは限らず、骨の状態によっては第二頸椎をはっきり確認できない場合もあります。
宗教や宗派によっても、喉仏の扱いに対する考え方が異なる可能性があります。
事前に細かな作法を覚える必要はありません。
お骨上げの場では、火葬場の職員が骨の位置や拾い方を説明してくれます。
分からないことがあれば、その場で職員や葬儀社の担当者へ確認すれば問題ありません。

東日本と西日本では収骨方法が異なる

東日本では全体収骨が多い

東日本では、火葬後に残った遺骨の多くを骨壺へ納める全体収骨が広く行われています。
多くの遺骨を納めるため、比較的大きな骨壺が使われる傾向があります。
足元から頭部へ向かって順番に遺骨を納め、最後に喉仏を入れる方法もあります。
ただし、東日本のすべての地域で同じ方法を採用しているわけではありません。
都道府県や火葬場によって違いがあるため、東日本なら必ず全体収骨になるとは限りません。

西日本では部分収骨が多い

西日本では、火葬後に残った遺骨の中から主要な部分を選んで納める部分収骨が広く行われています。
関西地方では、東日本より小さな骨壺を使用し、足や腕、腰、胸、頭などの遺骨を一部ずつ納めることがあります。
喉仏は部分収骨でも大切な骨として選ばれることがあります。
ただし、どの骨をどれだけ納めるかは火葬場によって異なります。
西日本であっても全体収骨を行う地域があり、遺族の希望だけでは収骨方法を変更できない場合もあります。
地域による大まかな傾向はありますが、実際の手順については利用する火葬場へ確認することが大切です。

喉仏がきれいに残らないこともある

火葬後の遺骨の状態には個人差がある

第二頸椎は、火葬すれば必ず仏様のような形で残るものではありません。
火葬後の遺骨の状態は、年齢や骨の状態、体格、火葬設備など、さまざまな条件によって異なります。
第二頸椎の一部が崩れていたり、ほかの骨と重なっていたりして、仏様のような形を確認できないこともあります。
火葬場の職員が喉仏について説明しない場合もありますが、それ自体は珍しいことではありません。
「喉仏が見つからなかった」「形が崩れていた」と必要以上に心配する必要はありません。

残り方と成仏には関係がない

喉仏がきれいに残ると、火葬場の職員から「仏様のような形に残っています」と説明されることがあります。
その言葉によって、遺族の気持ちが少し落ち着くこともあるでしょう。
一方で、喉仏が崩れていると、「故人は無事に成仏できなかったのではないか」と不安になる人もいます。
しかし、遺骨の残り方によって故人が成仏できるかどうかが決まるわけではありません。
喉仏がきれいに残らなかったことを、不吉なことや供養不足と結び付ける必要はありません。
遺骨の状態は身体的な条件や火葬の状況によって変わります。
形が残っているかどうかではなく、家族が故人を思い、丁寧に見送ることが大切です。

骨の状態から病気を断定することはできない

お骨上げの際、火葬場の職員から骨の状態について簡単な説明を受けることがあります。
しかし、焼骨を見ただけで、故人の病気や死因、生活習慣などを正確に判断できるわけではありません。
骨の色や崩れ方を見て、「この薬を飲んでいたから色が付いた」「働きすぎたから骨が変形した」などと断定する説明には注意が必要です。
医療用の金属などが残っていれば、治療を受けていた部位を推測できる場合はあります。
それでも、お骨上げは病気を診断する場ではありません。
遺骨の状態について気になる説明を受けても、それだけで故人の病歴や生前の過ごし方を決め付けないようにしましょう。

喉仏を分骨することもある

本山納骨のために分ける場合がある

宗派や地域によっては、遺骨の一部を菩提寺や宗派の本山へ納めることがあります。
このような本山納骨のため、喉仏を含む遺骨の一部を別の小さな骨壺へ納める場合があります。
ただし、必ず喉仏だけを本山へ納めなければならないわけではありません。
納める遺骨の部位や量、使用する骨壺は、寺院や宗派、地域の慣習によって異なります。
本山納骨を予定している場合は、火葬前に菩提寺や葬儀社へ相談しておきましょう。

火葬場で分骨するなら事前に伝える

火葬時に分骨したい場合は、火葬場へ向かう前に葬儀社へ伝えておくことが大切です。
当日になって急に申し出ると、分骨用の骨壺を用意できない可能性があります。
火葬場で分骨する場合は、分けた遺骨を後から納骨できるよう、分骨証明書を発行してもらいます。
分骨証明書の名称や申請方法は火葬場によって異なるため、事前に葬儀社や火葬場へ確認しておきましょう。
すでにお墓や納骨堂へ納めた遺骨を分ける場合は、墓地や納骨堂の管理者へ相談し、必要な証明書を発行してもらいます。
家族だけで骨壺を開けて分けてしまうと、後から納骨する際に証明書を用意できず、手続きに困る可能性があります。
分骨を希望するときは、納骨先と必要書類を先に確認することが重要です。

分骨証明書の手続きや、火葬時・納骨後・自宅で保管している遺骨を分ける方法については、分骨すると成仏できない?迷信の理由と手続き・供養方法を解説で詳しく解説しています。

お骨上げでは火葬場の案内に従う

お骨上げの作法は、地域や火葬場によって異なります。
二人で一つの遺骨を箸ではさむ方法が広く知られていますが、一人ずつ拾う地域や、職員が遺骨を骨壺へ納める火葬場もあります。
第二頸椎を喉仏と呼ばない場合や、喉仏について特別な説明を行わない場合もあります。
自分が知っている方法と異なっていても、その場の方法が間違っているとは限りません。
火葬場の職員は、遺骨の状態を確認しながら収骨の手順を案内します。
知識にこだわるのではなく、職員の説明を聞き、周囲の遺族とともに静かに故人を見送ることが大切です。

まとめ

お骨上げで喉仏と呼ばれている遺骨は、首の前側にある一般的な喉仏の骨ではありません。
首の背骨の一つである第二頸椎を指します。
第二頸椎は軸椎とも呼ばれ、特徴的な歯突起を持っています。
その形が座禅を組む仏様のように見えることから、お骨上げでは喉仏と呼ばれ、大切に扱われてきました。
ただし、第二頸椎が必ず完全な形で残るとは限りません。
崩れていたり、見つけにくかったりしても、故人の成仏や供養とは関係ありません。
お骨上げの方法や喉仏の扱いも、地域や火葬場によって異なります。
事前の知識だけで判断せず、実際のお骨上げでは火葬場の職員や葬儀社の案内に従いましょう。
喉仏について正しく理解することは、骨の形に一喜一憂するためではありません。
故人の体を構成していた遺骨を丁寧に納め、家族が最後のお別れをするお骨上げの意味を知ることにつながります。

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