はじめに
相続税は、相続したすべての人にかかる税金ではありません。
遺産の合計額が基礎控除額を超える場合に、相続税の申告や納税が必要になる可能性があります。
そのため、相続税対策を始める前に、まず財産と債務を調べ、相続税がかかるかどうかを確認することが大切です。
相続税対策には、生前贈与、生命保険、不動産の活用、配偶者の税額軽減、小規模宅地等の特例などがあります。
ただし、節税だけを優先すると、生活資金が不足したり、分けにくい不動産が残ったり、家族間で争いが起きたりすることがあります。
この記事では、相続税対策の主な方法と利用条件、対策を始める前に知っておきたい注意点を紹介します。
相続税対策を始める前に確認すること
相続税対策は、財産の状況や家族構成によって必要な方法が異なります。
最初から生前贈与や不動産購入を検討するのではなく、現在の財産を整理するところから始めましょう。
財産と債務を一覧にする
相続税がかかるか確認するためには、亡くなった人が所有する財産を調べる必要があります。
主な財産には、次のようなものがあります。
・現金、預貯金
・土地、建物
・株式、投資信託、債券
・生命保険金
・死亡退職金
・自動車、貴金属、骨董品
・他人に貸しているお金
・著作権などの財産的な権利
住宅ローン、金融機関からの借入金、未払いの税金や医療費などの債務も確認します。
プラスの財産だけでなく、債務や葬儀費用も含めて整理することで、相続税の対象となる財産のおおよその金額を把握できます。
法定相続人を確認する
相続税の基礎控除額や生命保険金の非課税限度額は、法定相続人の人数によって変わります。
法定相続人になるのは、亡くなった人の配偶者と、法律で定められた順位の親族です。
子がいる場合は子、子がいない場合は父母などの直系尊属、子も直系尊属もいない場合は兄弟姉妹が相続人になります。
すでに亡くなっている子や兄弟姉妹に子がいる場合は、代襲相続(だいしゅうそうぞく)が発生することもあります。
戸籍を確認せずに法定相続人の人数を判断すると、基礎控除額などを誤る可能性があります。
相続人の範囲や順位、遺産分割など相続全体の基本は、相続とは?相続人・遺産の分け方・手続き・期限・相続税の基本で詳しく解説しています。
基礎控除額を計算する
相続税の基礎控除額は、次の式で計算します。
3,000万円+600万円×法定相続人の数
例えば、法定相続人が配偶者と子2人の合計3人の場合、基礎控除額は次のようになります。
3,000万円+600万円×3人=4,800万円
正味の遺産額が4,800万円以下であれば、原則として相続税はかかりません。
相続税対策が必要かどうかを判断する最初の基準になります。

相続税がかかるか概算する
相続税は、遺産の合計額だけで決まるわけではありません。
債務や葬儀費用を差し引き、生命保険金などの非課税限度額を考慮して、課税対象となる財産を計算します。
土地や建物は購入価格や売却価格ではなく、相続税の評価方法に基づいて評価します。
自宅の土地などに小規模宅地等の特例を利用できる場合は、評価額が大きく下がることもあります。
正確な税額計算が難しい場合は、財産の概算額をまとめたうえで税理士に確認しましょう。
相続税の基礎控除
基礎控除は、一定額までの遺産を相続税の対象から外す仕組みです。
正味の遺産額が基礎控除額以下であれば、通常は相続税の申告も納税も必要ありません。
ただし、財産の評価を誤って基礎控除額以下だと判断すると、後から申告漏れを指摘される可能性があります。
特に、複数の不動産や非上場株式、名義預金がある場合は注意が必要です。
基礎控除以下でも申告が必要になる場合はある?
正味の遺産額が最初から基礎控除額以下であれば、原則として相続税の申告は必要ありません。
一方、配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例を適用した結果、相続税が0円になる場合は、原則として相続税の申告が必要です。
「最終的な税額が0円なら申告しなくてもよい」と判断しないようにしましょう。
生前贈与による相続税対策
生前贈与とは、生きているうちに財産を家族などへ無償で渡すことです。
生前に財産を移すことで、将来の相続財産を減らせる可能性があります。
ただし、贈与税がかかったり、贈与した財産が相続財産に加算されたりすることがあるため、相続税と贈与税の両方を考える必要があります。
暦年課税の年110万円の基礎控除
暦年課税では、1月1日から12月31日までの1年間に贈与を受けた財産の合計額から110万円を差し引けます。
110万円は、贈与した人ごとではなく、贈与を受けた人ごとに計算します。
例えば、同じ年に父から100万円、母から100万円を受け取った場合、贈与額の合計は200万円です。
200万円から基礎控除額110万円を差し引いた90万円が、贈与税の課税対象になります。
年110万円以下の贈与を繰り返せば、必ず相続税を減らせるわけではありません。
贈与した人が亡くなった時期や、贈与を受けた人が相続で財産を取得したかどうかによって、相続財産への加算対象になることがあります。

相続開始前の贈与が加算される期間
暦年課税による贈与のうち、相続や遺贈で財産を取得した人が、亡くなった人から一定期間内に受けた贈与は、相続税を計算するときに相続財産へ加算されます。
税制改正により、この加算期間は従来の3年から7年へ段階的に延長されています。
2024年1月1日以後に行われた贈与から新しい制度が関係するため、実際に加算される期間は相続が発生した日によって異なります。
延長された4年間に行われた贈与については、合計100万円まで加算されない仕組みがあります。
死亡直前に毎年110万円ずつ贈与すれば、その全額を相続財産から外せるとは限りません。
相続時精算課税の年110万円の基礎控除
相続時精算課税は、原則として60歳以上の父母や祖父母から、18歳以上の子や孫へ贈与するときに選択できる制度です。
この制度には、年110万円の基礎控除と、累計2,500万円の特別控除があります。
2024年1月1日以後の贈与では、年110万円以下の部分は原則として贈与税の申告が不要で、贈与者が亡くなったときの相続財産にも加算されません。
年110万円を超える部分は、累計2,500万円の特別控除を利用できます。
特別控除を使った財産は、贈与者が亡くなったときに贈与時の価額で相続財産へ加算されます。
2,500万円を超えた部分には、一律20%の贈与税がかかります。
相続時には、すでに支払った贈与税を相続税から差し引いて精算します。
一度相続時精算課税を選択すると、同じ贈与者からの贈与について暦年課税へ戻すことはできません。
将来値上がりが見込まれる財産を早めに渡したい場合などに利用されますが、必ず節税になる制度ではありません。
住宅取得等資金などの非課税制度
父母や祖父母から住宅の購入や新築、増改築のための資金を贈与された場合、一定の要件を満たせば贈与税が非課税になる制度があります。
受贈者(じゅぞうしゃ)の年齢、所得、住宅の床面積や性能、入居時期などに条件があります。
適用期限や非課税限度額は税制改正によって変わるため、贈与する時点の制度を確認しなければなりません。
なお、教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置は、2026年3月31日をもって新たな信託などの受付が終了しています。
通常必要となる生活費や教育費を、その都度、直接支払う場合は贈与税がかからないことがあります。
将来分をまとめて渡したり、受け取った人が預金や投資に回したりした場合は、贈与税の対象になる可能性があります。
名義預金や定期贈与に注意する
親が子や孫の名義で預金口座を作っても、通帳や印鑑を親が管理し、子や孫が預金の存在を知らなければ、贈与が成立していないと判断されることがあります。
このような預金は名義預金とされ、親の相続財産に含まれる可能性があります。
贈与を行う場合は、次の点を確認しておきましょう。
・贈与する側と受ける側の双方が合意する
・贈与のたびに贈与契約書を作成する
・贈与を受ける本人の口座へ振り込む
・通帳や印鑑は贈与を受けた本人が管理する
・贈与税の申告が必要な場合は期限内に申告する
最初から一定期間にわたり一定額を渡す約束をすると、毎年独立した贈与ではなく、定期金に関する権利の贈与と判断される可能性もあります。
生命保険を利用した相続税対策
死亡保険金は、受取人が指定されている場合、原則として受取人固有の財産になります。
民法上の遺産分割の対象にはならない一方、被相続人が保険料を負担していた死亡保険金は、相続税法上のみなし相続財産として扱われます。
死亡保険金の非課税限度額
相続人が受け取った死亡保険金には、次の非課税限度額があります。
500万円×法定相続人の数
法定相続人が3人の場合、死亡保険金の非課税限度額は1,500万円です。
相続放棄した人も、非課税限度額を計算するときの法定相続人の人数には含まれます。
ただし、相続放棄した本人は相続人ではなくなるため、その人が受け取った保険金に非課税枠を適用することはできません。
相続放棄した場合の生命保険金の扱いは、相続放棄しても生命保険金は受け取れる?税金・非課税枠と注意点で詳しく解説しています。
契約者・被保険者・受取人で税金が変わる
死亡保険金にかかる税金は、誰が保険料を負担し、誰が被保険者で、誰が保険金を受け取るかによって変わります。
・亡くなった人が保険料を負担していた場合は相続税
・受取人本人が保険料を負担していた場合は所得税と住民税
・亡くなった人と受取人以外の人が保険料を負担していた場合は贈与税
契約者の名義だけでなく、実際に誰が保険料を負担していたかが重要です。
契約内容を確認するときは、保険証券だけでなく、保険料の引き落とし口座も確認しましょう。
納税資金や遺産分割対策としての効果
生命保険には、非課税枠以外の利点もあります。
・受取人を指定できる
・遺産分割協議の終了前でも請求できる
・葬儀費用や当面の生活費を準備できる
・相続税の納税資金を確保できる
・現金を受け取った人が代償金を支払いやすくなる
故人の預金が凍結される時期や仮払い制度については、親が亡くなったら銀行口座はどうなる?凍結される時期・引き出し・解除方法で詳しく解説しています。
ただし、多額の保険金を特定の相続人だけが受け取った場合、他の相続人との間で不公平感が生じることがあります。
遺産全体の分け方を考えながら、受取人と保険金額を決めることが大切です。
不動産を利用した相続税対策
現金は、原則として残高そのものが相続税評価額になります。
土地や建物は、路線価や固定資産税評価額などに基づいて評価するため、購入価格や実際の売却価格より相続税評価額が低くなることがあります。
この差を利用して、現金を不動産へ換える相続税対策が行われることがあります。
現金と不動産で相続税評価額が異なる
市街地の土地は、原則として路線価方式で評価します。
路線価が定められていない土地は、固定資産税評価額に一定の倍率をかける倍率方式で評価します。
建物は、原則として固定資産税評価額を基に評価します。
ただし、土地の形状、道路への接し方、賃貸状況などによって評価方法は変わります。
単純に「現金を不動産へ換えれば必ず評価額が下がる」とは限りません。
貸家と貸家建付地の評価
所有する建物を第三者へ貸している場合、借家権割合などを考慮して建物の評価額を計算します。
賃貸住宅が建っている土地は、貸家建付地(かしやたてつけち)として評価額が下がる可能性があります。
ただし、実際に賃貸されている割合や利用状況によって評価額は変わります。
相続直前に建物を建てても、空室のままであれば想定した評価減を受けられないことがあります。
小規模宅地等の特例
小規模宅地等の特例は、亡くなった人が住んでいた土地や事業に使っていた土地などについて、一定の要件を満たした場合に評価額を減額できる制度です。
主な限度面積と減額割合は次のとおりです。
・特定居住用宅地等は330平方メートルまで80%減額
・特定事業用宅地等は400平方メートルまで80%減額
・貸付事業用宅地等は200平方メートルまで50%減額
自宅の土地については、配偶者が取得する場合、同居していた親族が取得して一定期間保有・居住する場合など、取得者によって要件が異なります。
配偶者や同居親族がいない場合に利用できる、いわゆる「家なき子」の要件も細かく定められています。
特例によって相続税が0円になる場合でも、原則として相続税の申告が必要です。

マンションの相続税評価方法
居住用マンションなどの区分所有財産については、2024年1月1日以後の相続や贈与から新しい評価方法が適用されています。
築年数、建物の階数、所在階、敷地持分などを基に区分所有補正率を計算し、従来の評価額を補正します。
高層階のマンションなどで、実際の市場価格と相続税評価額の差が大きくなる問題に対応するための制度です。
以前のように、マンションを購入すれば大幅に相続税評価額を下げられるとは限りません。
節税だけを目的に不動産を購入する危険性
不動産には、相続税評価額を抑えられる可能性がある一方、次のような危険があります。
・空室が続いて家賃収入を得られない
・修繕費や管理費がかかる
・固定資産税を負担し続ける
・希望する価格で売却できない
・相続人同士で分けにくい
・借入金の返済が残る
・相続税の評価減より資産価値の下落が大きくなる
相続税が減っても、それ以上に不動産の価値が下がれば、家族に残る財産は少なくなります。
節税効果だけでなく、収益性、売却のしやすさ、相続後の管理まで検討しましょう。
配偶者の税額軽減
配偶者が相続した財産については、次のいずれか多い金額まで相続税がかかりません。
・1億6,000万円
・配偶者の法定相続分
例えば、配偶者の法定相続分が1億円であれば、1億6,000万円までが対象になります。
配偶者の法定相続分が2億円であれば、2億円までが対象になります。
遺産が2億円ある場合に、その全額を配偶者が相続すれば必ず相続税が0円になるわけではありません。
配偶者の法定相続分と実際に取得する財産額を確認する必要があります。
特例を利用するには申告が必要
配偶者の税額軽減を利用する場合は、原則として相続税の申告が必要です。
相続税の申告期限までに遺産分割が決まっていない財産は、原則として税額軽減の対象になりません。
一定の手続きを行い、申告期限後3年以内に遺産分割が決まった場合などは、後から適用できることがあります。
二次相続まで考えて分け方を決める
最初の相続で配偶者が多くの財産を取得すると、配偶者の税額軽減によって相続税を抑えられることがあります。
しかし、その配偶者が亡くなったときの二次相続では、配偶者の税額軽減を利用できません。
また、一般的には法定相続人の人数が減り、基礎控除額も小さくなります。
一次相続の税額だけを0円にするのではなく、二次相続まで含めた相続税の総額を試算することが重要です。
相続財産から差し引ける債務と葬儀費用
亡くなった人の一定の債務や、相続人が負担した一定の葬儀費用は、相続財産から差し引けます。
これは税額から直接差し引く税額控除ではなく、相続税を計算する基になる課税価格から差し引く債務控除です。
控除できる債務
主に次のような債務が対象になります。
・金融機関からの借入金
・住宅ローン
・未払いの医療費
・未払いの税金
・未払いの水道光熱費
・亡くなった人が負担すべきその他の確実な債務
団体信用生命保険によって返済される住宅ローンなど、相続人が負担する必要のない債務は差し引けません。
借金が財産を上回る場合の選択肢は、相続放棄とは?期限・手続き・必要書類・費用と注意点で詳しく解説しています。
控除できる葬儀費用
主に次のような費用が対象になります。
・通夜、葬儀、告別式の費用
・火葬、埋葬、納骨の費用
・遺体や遺骨の搬送費用
・葬儀に伴う僧侶へのお布施や読経料
・通常必要と認められる葬儀関係費用
お布施などで領収書を受け取れない場合は、支払日、支払先、金額、内容を記録しておきましょう。
葬儀費用の負担者や故人の預金から支払う際の注意点は、葬儀費用は誰が払う?喪主・相続人の負担と故人の預金の使い方で詳しく解説しています。
控除できない費用
主に次のような費用は、葬儀費用として差し引けません。
・香典返しの費用
・墓地や墓石の購入費用
・仏壇や仏具の購入費用
・初七日、四十九日などの法要費用
・遺体解剖にかかった費用
葬儀と法要を同時に行った場合は、費用を区分できるよう請求書や明細書を保管することが大切です。
相続税がかからない財産
相続や遺贈によって取得した財産の中には、法律上、相続税がかからないものがあります。
墓地・墓石・仏壇などの祭祀財産
墓地、墓石、仏壇、仏具など、日常的に礼拝や供養に使われる財産は、原則として相続税がかかりません。
ただし、純金製の仏具や骨董品など、投資や換金を目的として所有していると判断されるものは、非課税にならない可能性があります。
亡くなった後に相続人が墓地や仏壇を購入しても、その購入費用を相続財産から差し引くことはできません。
必要な墓地や仏壇を生前に購入すれば、結果として現金を減らすことになりますが、本人の生活資金を圧迫しない範囲で検討する必要があります。
死亡保険金と死亡退職金の非課税枠
相続人が受け取る死亡保険金と死亡退職金には、それぞれ次の非課税限度額があります。
500万円×法定相続人の数
死亡保険金と死亡退職金の非課税枠は、それぞれ別に計算します。
非課税限度額を超えた部分は、相続税の課税対象になる可能性があります。
国などへ寄付した財産
相続や遺贈で取得した財産を、相続税の申告期限までに国、地方公共団体、一定の公益法人などへ寄付した場合、一定の要件を満たせば相続税がかからないことがあります。
寄付先や寄付の方法によっては非課税にならないため、寄付する前に対象団体と税務上の要件を確認しましょう。
養子縁組による相続税対策の注意点
養子も法律上の子として相続人になるため、養子縁組によって法定相続人が増えると、基礎控除額や生命保険金などの非課税限度額が増えることがあります。
ただし、相続税の計算で法定相続人の数に含められる養子の人数には制限があります。
・実子がいる場合は養子1人まで
・実子がいない場合は養子2人まで
特別養子や、配偶者の実子で被相続人の養子になった人などは、扱いが異なる場合があります。
相続税を不当に減らす目的と判断された場合は、養子を法定相続人の数に含められないこともあります。
養子縁組をすると、節税だけでなく相続分や遺留分にも影響します。
他の相続人の取り分が減り、家族関係が悪化する可能性もあるため、税金だけで判断してはいけません。
相続税対策で失敗しやすいケース
相続税対策の目的は、単に税額を最小限にすることではありません。
本人の生活を守り、家族が財産を円滑に引き継げる状態にすることが重要です。
相続税がかからないのに不要な対策をする
正味の遺産額が基礎控除額以下であれば、原則として相続税はかかりません。
相続税がかからないのに不動産を購入したり、多額の生前贈与をしたりすると、かえって財産を減らすことがあります。
まず現在の財産を調べ、相続税が発生する可能性を確認しましょう。
贈与したつもりが名義預金と判断される
子や孫名義の口座へ入金しても、実際には親が管理していれば、親の財産と判断されることがあります。
贈与する側と受ける側の合意や、財産を受け取った人が自由に使える状態になっていることが重要です。
配偶者に財産を集中させて二次相続が高くなる
配偶者の税額軽減だけを考えて、最初の相続で配偶者に財産を集中させると、二次相続の税負担が大きくなることがあります。
配偶者自身の財産、年齢、生活費、子の人数なども考慮し、一次相続と二次相続の合計税額を比較しましょう。
節税目的で収益性の低い不動産を購入する
不動産を購入すると、相続税評価額が下がることがあります。
しかし、空室や資産価値の下落によって、節税額以上の損失が生じる可能性があります。
「相続税がいくら減るか」だけでなく、「購入後にいくら残るか」を考える必要があります。
納税資金や遺産分割を考えていない
不動産の割合が高い相続では、相続税を払うための現金が不足することがあります。
また、分けられる現金が少ないと、自宅や土地を誰が取得するかを巡って争いになる可能性があります。
生命保険、預貯金、不動産の売却などを組み合わせ、納税資金と代償金を準備しておきましょう。
相続税対策を進める手順
相続税対策は、次の順番で進めると整理しやすくなります。
1.財産と債務を調べる
預貯金、不動産、有価証券、生命保険、借入金などを一覧にします。
不動産は固定資産税の納税通知書、預貯金は通帳や残高証明書、生命保険は保険証券などで確認します。
2.家族構成と相続人を確認する
戸籍を基に法定相続人を確認します。
誰にどの財産を残したいか、介護や家業への貢献をどのように考えるかも整理します。
3.現在の相続税額を試算する
基礎控除、生命保険金の非課税枠、小規模宅地等の特例、配偶者の税額軽減などを考慮し、現在の状態で相続が発生した場合の税額を試算します。
一次相続だけでなく、二次相続の税額も確認します。
4.家族で財産の残し方を話し合う
相続税が少ない分け方と、家族が納得する分け方が同じとは限りません。
自宅を誰が取得するか、事業を誰が引き継ぐか、納税資金をどう確保するかを話し合います。
財産の内容をすべて細かく伝えることに抵抗がある場合でも、財産の種類や保管場所は家族が確認できるようにしておきましょう。
5.税理士などの専門家に確認する
生前贈与、不動産の評価、小規模宅地等の特例、非上場株式などが関係する場合は、相続税に詳しい税理士への相談を検討します。
遺言書や遺産分割、養子縁組など法律上の問題がある場合は、弁護士や司法書士などへの相談が必要になることもあります。
制度の適用条件や税制は変わるため、実行する前に最新の内容を確認することが大切です。
まとめ
相続税対策では、最初に財産と債務を調べ、相続税がかかるかどうかを確認します。
主な対策には、生前贈与、生命保険、不動産の活用、配偶者の税額軽減、小規模宅地等の特例などがあります。
ただし、生前贈与には相続財産への加算、不動産には空室や値下がり、配偶者の税額軽減には二次相続の負担といった注意点があります。
相続税を減らすことだけを優先すると、本人の生活資金が不足したり、家族が分けにくい財産を相続したりすることがあります。
税金、納税資金、遺産分割、相続後の管理をまとめて考え、家族に合った対策を進めましょう。



