「ようやく子どもの教育費が終わった…!」 「これからは自分たちの老後資金を貯めないと」
子どもの独立は、親にとって大きな節目です。
これまで子どものためにと加入していた高額な死亡保険や、家計を圧迫していた保険料から解放される安堵感がある一方で、「このままで老後は大丈夫だろうか?」という漠然としたお金の不安に直面する時期でもあります。
この時期は、まさに「保険の見直し」のゴールデンタイムです。
これまでの「守りの保険」から「老後の人生を豊かにする備え」へと、保険の役割をシフトさせる絶好の機会と言えるでしょう。
この記事では、子どもが自立した後から高齢期にかけて、保険を見直す際の重要なポイントを3つに絞って解説します。
漠然とした不安を具体的な行動に変え、安心してセカンドライフを迎えるためのヒントを見つけてください。
ポイント1:高額な「死亡保険」は本当に必要か?夫婦で話し合う
子どもが幼い頃は、もしもの時に残された家族の生活や子どもの教育費を守るため、高額な死亡保険に加入していることが一般的です。
しかし、子どもが独立し、経済的に自立した後は、その高額な死亡保険金は本当に必要でしょうか?
多くの家庭では、子どもの独立を機に、必要な死亡保険金の額は大きく減少します。
【見直しの考え方】
- 死亡保険の目的が変わる
- 以前(子どもが独立する前): 子どもの教育費や遺族の生活費(住居費、食費など)を確保するため。
- 以後(子どもが独立した後): 残された配偶者の生活費(年金を受け取り始めるまでのつなぎ資金)や、葬儀費用、身辺整理費用をまかなうため。
具体的に必要な金額を算出してみましょう。
例えば、「妻が65歳で年金を受給するまでの10年間、生活費として月15万円が必要」とすれば、1,800万円(15万円 × 12ヶ月 × 10年)が目安となります。これに葬儀費用などを加えた額が、見直すべき死亡保険金の目標額となります。
すでに十分な貯蓄や資産がある場合は、保険金額をさらに減額したり、解約したりすることも検討できます。
【具体的な見直し方法】
- 保険金額の減額: 加入中の保険を解約するのではなく、保険金額だけを減額する。この方法なら、健康状態を問わずに手続きが可能です。
- 保障期間の変更: 終身保険ではなく、保障期間が定年退職までなど、期間を区切った定期保険への乗り換えや、既存の定期保険の期間を見直す。
- 解約も選択肢に: 保険料が家計の負担になっている、貯蓄が十分にある、遺族年金だけで生活できる見込みがある、といった場合は、思い切って解約することも検討します。
死亡保険を見直すことは、保険料の削減に直結し、その分を老後資金として貯蓄や資産運用に回すことができます。
ただし、「新しい保険に加入してから、古い保険を解約する」という鉄則は必ず守るようにしましょう。
ポイント2:老後リスクに備える「医療・介護の保障」を強化する
この時期の最大の関心事は、自分たちの老後の健康とお金ではないでしょうか。
高齢になるにつれて医療費は増加し、いつ病気や要介護状態になるかわからないという不安は、誰もが抱くものです。
【見直しの考え方】
- 若い頃の医療保険は、今の医療事情に合わない可能性がある
- 過去に加入した医療保険は、入院日額が5,000円や10,000円といった「入院給付金」が中心になっていることが多いです。しかし、近年の医療事情は、入院日数の短期化、通院での治療の増加、先進医療の普及といった変化が起きています。
- そこで、日帰り手術や通院治療にも対応できる保障、さらには、がん治療のための高額な抗がん剤治療や先進医療に対応した特約への見直しを検討します。
- 介護の備えも視野に
- 公的な介護保険制度はありますが、自己負担額や在宅介護にかかる費用は家計の大きな負担となる可能性があります。
- 民間の介護保険は、公的介護保険の「要介護認定」を条件に一時金や年金を受け取れる商品が主流です。在宅での介護費用や、将来的な施設入居費用に充てるための備えとして、この時期から検討する価値は十分にあります。
【具体的な見直し方法】
- 入院給付金と通院給付金の見直し: 1日あたりの入院給付金だけでなく、退院後の通院給付金や手術給付金の保障内容を見直します。
- 先進医療特約の追加: 健康保険適用外の高額な先進医療に備える特約は、保険料が比較的安価なため、ぜひ検討したい保障です。
- 介護保険の検討: 公的介護保険だけでは賄いきれない費用に備え、民間の介護保険の加入を検討します。
【注意点】
- 健康状態によっては加入できない場合も: 新しい保険への乗り換えを検討する場合、加入時の健康状態の告知が必要です。持病がある場合や、入院歴・手術歴がある場合は、希望する保険に加入できない可能性があります。
- 保険料と保障内容のバランス: 高齢になると保険料は高くなるため、必要な保障を確保しつつ、無理のない保険料に抑えることが大切です。
ポイント3:資産形成の手段として「貯蓄型保険」を見直す
貯蓄型の終身保険や個人年金保険は、保障と貯蓄の両方を兼ね備えています。
この時期は、これらの保険を「老後資金」という観点で見直すことが重要です。
【見直しの考え方】
- 解約する選択肢: 必要な保障が減り、解約返戻金が十分に貯まっている場合、そのお金を老後資金や退職後の生活資金として活用するために解約するという選択肢もあります。
- 継続する選択肢: 終身保険は、解約返戻金が「介護費用」や「万一の時の葬儀費用」として活用できる、柔軟な資産としての側面もあります。無理に解約せず、継続して持ち続けることも賢明な判断です。
【ポイント】
- 資産の全体像を把握する: 退職金、公的年金、iDeCoやNISAなどの運用資産、そして貯蓄型保険の解約返戻金など、全ての資産をリストアップし、老後資金の全体像を把握することが大切です。
- 「払済保険」という選択肢: 満期まで保険料を払い続けるのが難しくなった場合でも、解約返戻金の範囲内で保険料の払い込みを中止し、保障額を減らすことで、保障を継続できる「払済保険」という選択肢もあります。保険会社に相談してみましょう。
- 保険会社の担当者や専門家に相談: どのタイミングで解約返戻金が最大になるか、解約せずに活用する方法はないかなど、保険会社の担当者に相談してみましょう。
まとめ:漠然とした不安を「安心」に変えるために
子どもが自立した後から高齢期までの保険見直しは、これまでの人生を振り返り、これからの人生を設計するための大切なプロセスです。
「保険料が安いから」「何となく不安だから」という漠然とした理由ではなく、夫婦でしっかりと話し合い、「自分たちは何に備えるべきか」という目的を明確にしましょう。
その上で、無駄な保障は削り、必要な保障は強化するというメリハリのある見直しを行うことが大切です。
もし、自分たちだけでの見直しが難しい場合は、ファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談することも一つの手です。
専門家は、あなたのライフプランや資産状況に合わせた最適なプランを客観的な視点から提案してくれます。
漠然とした不安を「安心」に変え、豊かで充実したセカンドライフを送るために、今日から保険の見直しを始めてみませんか。