エンディングノートとは?何を書く?書き方・遺言書との違いと家族で作るメリット

エンディングノートを囲んで将来について話し合う親子 終活

はじめに

エンディングノートという言葉は知っていても、何を書けばよいのか、いつ書き始めればよいのかわからない人は多いのではないでしょうか。
名前から「自分が亡くなった後のために書くノート」という印象を持つかもしれません。
しかし、エンディングノートは死後の希望を書くだけのものではありません。
家族や友人の連絡先、預貯金や保険、利用しているサービス、医療や介護についての希望などを整理しておけば、普段の生活でも備忘録として役立ちます。
また、親にエンディングノートを書いてもらい、子どもが一緒に作成することで、これまで知らなかった親の考えや人間関係を知るきっかけになることもあります。
この記事では、エンディングノートとは何か、何を書けばよいのか、遺言書との違い、書き方や保管方法、親子で一緒に作るメリットまで詳しく解説します。

エンディングノートとは

エンディングノートとは、自分にもしものことがあったときに備えて、家族などに伝えておきたい情報や希望を書き残しておくノートです。
決まった書式はなく、市販の専用ノートを使うほか、普通のノートやパソコンなどを使って自分で作ることもできます。
書く内容も自由です。
預貯金や保険などの情報を書いてもよいですし、介護や医療、葬儀、お墓についての希望を書いておくこともできます。
家族へのメッセージや自分の思い出、自分史などを残しても構いません。
重要なのは、すべてを書き埋めることではなく、「自分が伝えておきたいこと」と「家族が知らないと困ること」を整理しておくことです。

エンディングノートは死後のためだけではない

エンディングノートは、亡くなった後に家族が見るものと思われがちですが、生きている本人にも役立ちます。
年齢を重ねると、契約している保険会社や銀行口座、利用しているサービスなどを自分でも把握しきれなくなることがあります。
そうした情報を一か所に整理しておけば、自分自身の備忘録になります。
入院したときに家族へ連絡してほしい人を書いておいたり、かかりつけ医や服用している薬について記録したりしておくこともできます。
生活環境や財産、契約内容を見直すきっかけにもなります。
エンディングノートを書くことは、亡くなる準備というより、現在の自分の生活を整理する作業ともいえるでしょう。

エンディングノートと遺言書の違い

エンディングノートと遺言書は、どちらも自分の意思を残すために使われますが、役割は同じではありません。
大きな違いは法的効力です。
一般的なエンディングノートには、遺言書のような法的効力はありません。
例えば、「長男に自宅を相続させたい」「預金は長女に渡したい」とエンディングノートに書いても、それだけで遺産分割について法的な効力が生じるわけではありません。
一方、遺言書は法律で定められた方式に従って作成することで、財産の承継などについて法的な効力を持たせることができます。
遺言書には法律上の決まりがあるため、作成する場合は法律上の書式や要件に従って作成する必要があります。
エンディングノートと遺言書は、どちらか一方だけを選ぶものではありません。
家族への希望や生活情報はエンディングノートにまとめ、財産の分け方など法的な効力が必要な内容は遺言書で残すという使い分けができます。

エンディングノートには何を書く?

エンディングノートには決められた項目はありません。
ただし、家族が将来困らないために、できれば整理しておきたい情報があります。
ここでは代表的な項目を紹介します。

自分の基本情報

氏名、生年月日、住所、本籍地など、自分の基本的な情報を書いておきます。
健康保険、年金、運転免許証など、自分が持っている公的な証明書や番号について、何を利用しているのかがわかるようにしておく方法もあります。
ただし、重要な番号や個人情報をすべてそのまま書く必要はありません。
家族が「何があるのか」「どこを確認すればよいのか」がわかる程度でも役立ちます。

家族・親族・友人の連絡先

家族が知っている親族だけでなく、友人や知人についても整理しておきます。
長年付き合っている友人でも、家族は名前しか知らなかったり、連絡先を知らなかったりすることがあります。
自分に何かあったときに知らせてほしい人がいる場合は、名前と連絡方法を残しておくとよいでしょう。
親族については、自分との続柄も書いておくと家族が確認しやすくなります。

預貯金・保険・不動産などの財産

どの金融機関に口座があるのか、どの保険会社と契約しているのか、不動産や株式などどのような財産を持っているのかを整理します。
口座番号や暗証番号まで必ず書く必要はありません。
まずは「どこに財産があるのか」を家族が把握できることが重要です。
借入金やローンなどの負債がある場合も、忘れずに整理しておきます。
エンディングノートに財産情報を書くこと自体に問題はありませんが、「誰にどの財産を相続させるか」という法的な指定をしたい場合は、遺言書など別の方法を検討します。

契約しているサービス

電気、ガス、電話などの生活に必要な契約だけでなく、クレジットカード、新聞、会員サービス、定期購入なども整理しておきます。
本人しか知らない契約が残っていると、家族が死後に解約先を探さなければならないことがあります。
毎月や毎年料金が発生しているものを書き出すだけでも役立ちます。
自分自身が不要な契約を見つけて整理する機会にもなります。

スマートフォンやデジタル情報

現在は、スマートフォンやパソコンの中にも重要な情報が多くあります。
メール、SNS、ネット銀行、証券口座、電子マネー、クラウド上の写真、サブスクリプションサービスなどです。
どのようなサービスを利用しているのか、家族が存在を確認できるようにしておきましょう。
ただし、エンディングノートにパスワードや暗証番号をそのまま大量に書くと、紛失や盗難の際に危険です。
パスワードそのものではなく、必要な情報をどこに保管しているのかを伝える方法なども検討しましょう。

医療や介護についての希望

自分で意思を伝えることが難しくなったときに、どのような医療や介護を希望するのかを書いておくこともできます。
介護が必要になった場合に自宅で暮らしたいのか、施設への入居も考えているのかなど、自分の考えを整理します。
終末期の医療についても、家族に伝えておきたい希望があれば書いておきます。
ただし、医療やケアについての考えは、健康状態や生活環境によって変わることがあります。
ノートに書くだけでなく、家族や医療・介護関係者とも話し合い、必要に応じて見直すことが大切です。

葬儀についての希望

家族葬、一般葬など、希望する葬儀の形があれば書いておきます。
宗教や宗派、菩提寺の有無など、家族が知らない情報があれば特に重要です。
葬儀に呼んでほしい人や、使ってほしい遺影写真について希望を残しておくこともできます。
ただし、葬儀の規模や内容は亡くなったときの状況によって変わることもあります。
細部まで家族を拘束するのではなく、「できればこうしてほしい」という希望として残しておく方法もあります。

お墓や供養についての希望

先祖代々のお墓に入りたいのか、新しいお墓を希望するのか、納骨堂や樹木葬、永代供養などを希望するのかを書いておきます。
散骨などを希望する場合も、家族に伝えておかなければ実現できない可能性があります。
すでにお墓がある場合は、墓地の名称や場所、管理者などの情報を記録しておくと家族が確認しやすくなります。

家族へのメッセージや自分史

エンディングノートは、事務的な情報だけを書くものではありません。
家族への感謝や伝えておきたい気持ちを書くこともできます。
自分がどこで生まれ、どのような子ども時代を過ごし、どんな仕事をしてきたのかなど、自分史を書いてみるのもよいでしょう。
親にとって当たり前の出来事でも、子どもは知らないことがあります。
昔の写真を見ながら思い出を書いたり、家族のルーツについて記録したりすることで、その人らしいエンディングノートになります。

エンディングノートは全部書かなくてもよい

市販のエンディングノートを見ると、項目が多くて「全部書かなければならない」と感じるかもしれません。
しかし、最初からすべてを埋める必要はありません。
まずは自分が書きやすいところから始めれば十分です。
例えば、家族や友人の連絡先だけを書く。
利用している銀行や保険会社を書き出す。
葬儀について一つだけ希望を書く。
これでも立派な第一歩です。
わからない項目や、今は決められないことは空欄のままでも構いません。
エンディングノートは試験の答案ではありません。
自分と家族に必要な情報を少しずつ加えていくものと考えると続けやすくなります。

一度書いたエンディングノートは定期的に更新する

エンディングノートは、一度完成させたらそのままでよいわけではありません。
銀行口座を解約したり、新しい保険に加入したり、引っ越したりすることがあります。
介護や葬儀、お墓についての考え方が変わることもあります。
古い情報のままでは、いざというときに家族がかえって混乱する可能性があります。
誕生日や年末年始など、年に一度程度確認する日を決めておく方法もあります。
変更があれば書き直し、不要になった情報は削除します。
日付も記入しておけば、いつ見直した内容なのかがわかりやすくなります。

エンディングノートの保管場所は家族に伝えておく

せっかくエンディングノートを書いても、家族がその存在を知らなければ必要なときに見つけてもらえません。
「エンディングノートを書いていること」と「どこに置いてあるのか」は、信頼できる家族などに伝えておきましょう。
ただし、財産や個人情報が書かれている場合は、誰でも簡単に見られる場所に置くのも問題です。
普段は安全に保管しながら、必要なときには家族が見つけられる場所を考えます。
内容によっては、情報を一つのノートにすべてまとめず、重要情報だけ別に管理する方法もあります。

親にもエンディングノートを書いてもらおう

自分の終活だけでなく、親の終活について気になっている人も多いでしょう。
親が亡くなった後や意思を伝えられなくなった後に、

  • 「どこの銀行に口座があるのかわからない」
  • 「どんな保険に入っているのかわからない」
  • 「親しい友人に連絡したいが電話番号がわからない」
  • 「どのような葬儀を希望していたのかわからない」

と困るケースがあります。
だからといって、突然親に「エンディングノートを書いておいて」と言っても、素直に受け入れてもらえるとは限りません。
「早く死ぬ準備をしろと言われているようで嫌だ」と感じる人もいます。
大切なのは、ノートを書かせることそのものを目的にしないことです。

親にエンディングノートを勧めたいものの、どう切り出せばよいかわからない場合は、 親にエンディングノートを書いてもらうには?嫌がるときの切り出し方と進め方 で、話を始めるきっかけや一緒に進める方法を詳しく紹介しています。

親子で一緒に書いてみる

親にだけ書いてもらうのではなく、自分もエンディングノートを書き、一緒に取り組む方法があります。
「自分も書いてみたから、一緒にやってみない?」
という形なら、終活を押しつける印象も弱くなります。
わからない項目を子どもが手伝ったり、昔の写真を一緒に見ながら書いたりしてもよいでしょう。
パソコンやスマートフォンが苦手な親なら、利用しているサービスを一緒に確認することもできます。

一緒に書くことで親との会話が生まれる

親子でエンディングノートを作る大きなメリットは、単に情報が整理できることだけではありません。
一つずつ質問しながら書いていくと、普段は話さない話題が自然に出てきます。
「この人とは昔からの友達なんだ」
「実はこの保険に入っている」
「お墓はこうしたいと思っている」
「延命治療についてはこう考えている」
など、子どもが初めて知ることもあるでしょう。
親の過去や考え方を聞くうちに、自分が知らなかった親の一面を知ることもあります。
エンディングノートは、親が亡くなった後のための資料であると同時に、元気なうちに親子で話すきっかけにもなります。

財産を聞き出すことだけを目的にしない

親にエンディングノートを書いてもらうときに注意したいのが、財産の話ばかりを先にしないことです。
「預金はいくらあるの?」
「家は誰に相続させるの?」
という話から始めると、親が警戒することがあります。
まずは友人の連絡先や昔の写真、かかりつけ医、日常の契約など、話しやすいところから始める方が自然です。
会話を重ねる中で、必要に応じて財産や相続についても確認していけばよいでしょう。

エンディングノートを書くときの注意点

エンディングノートは自由に書ける反面、何でも同じように書けばよいわけではありません。
特に注意したい点があります。

パスワードや暗証番号の管理に注意する

銀行口座、クレジットカード、スマートフォンなどの暗証番号やパスワードをすべて一冊のノートへ書くと、紛失した場合に大きな危険があります。
利用しているサービスの名称だけを書く、パスワードの保管場所だけを示すなど、安全性を考えて記録しましょう。

財産の分け方は遺言書と区別する

エンディングノートに「この財産を○○に渡したい」と書いても、それだけで遺言書と同じ法的効力を持つわけではありません。
財産の承継について法的な効力を持たせたい場合は、法律上の方式に従った遺言書を検討します。
相続関係が複雑な場合や、内容に不安がある場合は、内容に応じた専門家への相談も検討しましょう。討しましょう。

書いた内容が現在の希望と違っていないか確認する

介護、医療、葬儀、お墓などについての考えは変わることがあります。
昔書いた内容を家族が本人の現在の希望だと思い込まないよう、定期的に見直しましょう。
特に大切な希望については、ノートに書くだけでなく家族と話しておくことも重要です。

まとめ

エンディングノートは、自分が亡くなった後のためだけに書くものではありません。
家族や友人の連絡先、財産や契約、医療や介護、葬儀、お墓などを整理することで、自分自身の備忘録としても役立ちます。
最初からすべてを書く必要はありません。
書けるところから少しずつ始め、生活や考え方が変わったら更新していけば十分です。
また、親にエンディングノートを書いてもらいたい場合は、ただ渡して「書いておいて」と頼むのではなく、親子で一緒に作ってみるのも一つの方法です。
一緒に書くことで、これまで知らなかった親の考えや人間関係、人生の思い出を知ることがあります。
エンディングノートを情報整理のためだけのノートにせず、自分や家族について話すきっかけとして活用してみてはいかがでしょうか。

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