知っておきたい仏壇の飾り方

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仏壇の飾り方

仏壇は、信仰の場所を自宅の中に置いたもの。故人を供養するために設けます。
しかし、仏壇を拝む習慣があったとしても、基本的な仏壇の飾り方まで熟知されている方は少ないのではないでしょうか。
仏壇をより大切にし、正しく供養を行うためにも、各宗派の飾り方の特徴は知っておくことをおすすめします。
仏壇の飾り方は宗派によって異なりますが、大切なのは仏や本尊、先祖を供養する気持ちです。これはどの宗派においても同じです。

仏壇の種類

仏壇自体の種類には次のようなものがあります。

台付き仏壇

床や畳の上、仏間や床の間に置く背の高い大型の仏壇です。床に直接置く場合は台付きのものがあります。唐木などの材質のものが伝統的です。礼拝は座って行います。

上置き仏壇(小型仏壇)

各種のタンスやチェスト、机の上に置くやや小型のタイプのものです。都会ではこのスタイルが多いでしょう。礼拝は立って行います。

ミニ仏壇

テーブル、机の上などに置く上置き仏壇より更に小型のタイプのものです。礼拝は置く家具により異なり、立って行う場合も座って行う場合もあります。

モダン仏壇

現代の住宅事情にあわせて、洋室でも合うようなデザインの仏壇です。モダン仏壇、洋風仏壇、リビング仏壇などと呼ばれています。様式は様々です。

基本的な仏壇の飾り方

仏壇に飾る最低限必要な仏具は、香炉・花立・燭台の3種類で、これを3具足と言います。そこに仏飯器・茶湯器を加えた5具足が、より一般的で丁寧な飾りです。飾り方は以下の通りです。なお、遺影や手元供養品は、基本的に仏壇の外に置いてください。

最上段の中央に本尊をお祀りする

本尊とは、信仰の中心として祀られている仏像などのことです。本尊は宗派によってそれぞれ異なり、仏像や宗教的絵画・掛け軸などの場合があります。これは各宗派により教義が違うためです。仏像では木彫仏像や鋳造仏像など、絵像の掛軸では宗祖に関するものなどがあります。掛軸は仏壇の裏板に鋲で留めるか、掛軸台にかけて安置します。寸法は、仏壇内部の大きさに合わせて選びます。より丁寧にするには、本尊の左右に宗祖名号の描かれた掛け軸をかけます。 宗旨宗派により本尊として安置するものは異なり、

位牌を置く

位牌は本尊が隠れないように、本尊より一段低い2段目に置きます。 1つであれば右に、複数であれば左右に置きます。

仏器膳を置く

3段目の中央に仏器膳を置いて、その上に仏飯器・茶湯器を置きます。その左右に仏具があれば高坏(高月・たかつき)を配置します。仏器膳は仏飯器、茶湯器をのせる台、仏飯器はお供えのご飯を盛る仏具です。仏器膳の上に乗せ、右側に置きます。茶湯器はお供えのお茶や水を入れるための湯呑みで、仏器膳の上に乗せ、左側に置きます。お供物を載せるための高坏は、半紙を敷いてその上にお供えします。

最下段の配置

最下段には、花立、香炉、火立、マッチ消、お鈴などを配置するのが一般的です。花立は花を供えるための仏具、香炉は線香などを焚くための仏具です。三本脚の香炉は、手前に一本脚を置きます。ローソクを立てて明かりを灯すのが火立で、その側には火をつけ終わったマッチを入れるマッチ消を置きましょう。鈴は仏壇の前、もしくは下の中央に置き、鈴をたたく棒を右手に置きます。

宗派別の本尊と脇掛

仏壇の飾り方は、宗派別の形式があります。

天台宗

本尊に釈迦如来、阿弥陀如来、脇掛の右に天台大師、脇掛の左に 伝教大師 釈迦如来を祀りますが、阿弥陀如来を祀る場合もあります。また、寺院により薬師如来、観世音菩薩、不動明王、毘沙門天などを祀ることもあります。菩提寺によります。脇掛は右に天台大師像、左に伝教大師像となりますが、脇掛を祀らないこともあります。

真言宗

本尊に大日如来、脇掛の右に弘法大師、脇掛の左に不動明王を祀ります。ただし真言宗は分派も多いので、仏壇の飾り方はさまざまです。また、地域によっても違いがあります。

浄土宗

本尊に阿弥陀如来、脇掛の右に善導大師、脇掛の左に法然上人。仏壇もしくは厨子の前に戸張を垂らすこともあります。

浄土真宗本願寺派

本尊に阿弥陀如来、脇掛の右に親鸞聖人、脇掛の左に蓮如上人です。浄土真宗本願寺派では、位牌を置かないのが原則となっています。

真宗大谷派

本尊に阿弥陀如来、脇掛の右に十字名号(帰命尽十万無碍光如来)、脇掛の左に九字名号(南無不可思議光如来)です。原則として、位牌は置きません。

臨済宗

本尊に釈迦如来、脇掛は各派によって異なります

曹洞宗

本尊に釈迦如来、脇掛の右に承陽大師(道元) 、脇掛の左に常済大師(瑩山)です。曹洞宗では中央に本尊、右に高祖承陽大師道元禅師、左に太祖常済大師瑩山禅師を配置して三尊仏形式として祀ります。

日蓮宗

本尊に曼荼羅(十界曼荼羅)、釈迦牟尼仏、三宝尊のいずれかを祀ります。脇掛の右に鬼子母神、脇掛の左に大黒天を祀ります。

モダン仏壇の飾り方

住宅、生活スタイルの洋風化でモダン仏壇が増えています。モダン仏壇は小型でスペースが限られているため、従来であれば一対(2個)で飾っていた仏具なども1つのみで飾ることもあります。仏具を減らすことも多くあります。簡素化の傾向は今後も変わらないでしょう。

飾り方は、基本的に仏壇の1段目の壇には、本尊を飾ります。脇掛、軸があれば左右に配置します。壇の2段目の壇には、右から位牌と仏具の茶湯器と仏具の仏飯器を飾り、位牌が複数ある時は一番左にも位牌を飾ります。

​1番下の壇には、右から鈴と仏具の前香炉と線香差しと燭台と花立などを飾ります。順の決まりはありません。線香差しや燭台や鈴なども絶対この位置に飾らなければいけないなどの決まりごとはありません。

仏壇のお参りの仕方

仏壇にお参りをするときには、まず本尊に対して一礼します。お供えがある場合には、お供えします。マッチでろうそくに火をつけ、ろうそくから線香に火をつけます。先端が赤くなった状態で線香に火が移った状態です。線香を片手で持った状態で、もう片方の手で扇いで火を消します。息を吹きかけて火を消すのはよくありません。

線香を香炉に立てます。立てる線香の本数は宗派によって異なりますが、天台宗と真言宗は3本で、他の宗派は1本ですが必ずしも厳格なものではありません。経を読む場合は、前と後に鈴を鳴らします。合掌してからろうそくの火を消して、最後に再び一礼します。

まとめ

仏壇の基本的な飾り方は、最上段に本尊を置き、宗祖や本尊以外に祀る仏の絵図などがあれば脇掛に配置します。2段目に位牌を置き、3段目の中央に仏器膳を置いてその上に仏飯器・茶湯器を置きます。仏具があれば高坏(高月・たかつき)を配置し、最下段には花立、香炉、燭台、マッチ消、鈴などを配置します。ただし、一番大切なのは故人や先祖を供養する気持ちです。正しく仏壇を飾っていても、お参りしないのでは意味がありません。