位牌を一つにまとめる方法と注意点について

仏壇・位牌

位牌を一つにまとめること

一般的に、位牌は故人一人に対し一基と思われがちですが、実は位牌はまとめることもできます。位牌を一つにまとめるということが、故人に対して失礼になるのではと思われる方もいらっしゃるかと思いますが、決して悪いことではありません。

ただし、位牌をまとめるにあたっては、まとめる形や開眼供養(魂入れ、性根入れ)や閉眼供養(魂抜き、性根抜き)など寺院の僧侶にお願いしなければならないことがあります。きちんとした方法で位牌をまとめることが大切です。

先祖位牌としてまとめる方法

先祖代々の位牌を全て仏壇に安置するには限界があります。そのため、昔から「先祖位牌」という、位牌を一つにまとめる方法が取られてきました。「〇〇家先祖代々之霊位」などと書かれた位牌が「先祖位牌」となります。ご先祖の位牌を一つにまとめた「先祖位牌」を新しく位牌を作り仏壇に安置します。先祖位牌を作る上での注意点は次の通りです。

先祖位牌に切り替える時期

先祖位牌に切り替える時期は、三十三回忌や五十回忌などの弔い上げの後となります。弔い上げをもって、それ以降の仏事は行わず、年忌法要は終了とされます。葬儀が終わり、四十九日法要で白木位牌から本位牌にするタイミングでは、直接先祖位牌にまとめることはできません。

先祖位牌の裏面

先祖位牌の表面には「○○家先祖代々之霊位」と入れます。その上に「梵字・冠文字」を入れる宗派もあります。また、先祖位牌の裏面には何も書きません。一般的な位牌の裏には俗名や亡くなった年月日、年齢(享年)を入れますが、先祖位牌の場合は、複数の方をお祀りしていますので何も入れません。

去帳について

菩提寺の僧侶にお願いをして、位牌をまとめるご先祖様の戒名を過去帳に写しかえてもらいます。過去帳を作ったら、「見台」という仏具に乗せてお祀りします。

開眼供養と閉眼供養

新しい位牌は開眼供養を行い、古い位牌は閉眼供養を行いお焚き上げして頂きます。古い位牌には魂が宿っていますので、閉眼供養を行わずに処分することは控えます。

回出位牌としてまとめる方法

回出位牌(くりだしいはい)とは箱型をした少し大きめの位牌で、中に数枚の札板が入っているものです。繰出位牌と書かれる場合もあります。回出位牌を使うと、一枚一枚の札板に、ご先祖や故人の戒名・没年月日・俗名・享年をそのまま書き写すので、過去帳などを使う必要はありません。ただし、浄土真宗の場合は、位牌を作らない代わりに過去帳を作りますので、注意が必要です。

ひとつの位牌に10枚前後の札板の収納が可能です。札板は一番上に「〇〇家先祖代々之霊位」と書いた札を置き、1つにまとめた位牌であることが分かるようにします。そして二番目の札からは、命日が近い順番に札板がくるよう入れておきます。そして命日が過ぎたら一番後ろに回します。命日が近い順にご先祖の札板を出していくことから「回出位牌」と呼ばれています。回出位牌を作る上で注意したいのは次の点です。

板札への記載

板札への記載は、僧侶に行ってもらうのが一般的です。菩提寺がない場合は、仏具店などにお願いすることになります。

回出位牌の順番の入れ替え

回出位牌は、ご先祖の命日に合わせて順番を入れ替える必要があります。命日とは、訟月命日(しょうげつめいにち)と月忌命日(がっきめいにち)の両方となります。訟月命日とは、故人となった月日のこと、月忌命日とは故人となった日のことになります。

夫婦位牌としてまとめる方法

夫婦連名で作る位牌のことを「夫婦位牌」と言います。1基の位牌に、2人の戒名を連名で入れます。表面には戒名を入れ、裏面には没年月日、年齢、俗名などを入れます。一般的な位牌よりも記載する行数、文字数が多くなるため、4寸以上のサイズがお勧めとなります。

夫と妻のお位牌への名入は、宗派や寺院で異なる場合がありますので事前の確認が必要です。夫婦位牌には、ご夫婦の戒名や命日などを並べて文字入れできるよう、札幅が横に長い「巾広位牌」が使われます。夫婦位牌の注意点は以下です。

夫婦位牌のサイズ

夫婦位牌は2人分の情報が記されるため、一般的な位牌よりも大きなサイズとなります。仏壇に十分に収納できるかどうか、作成前には置き場所のサイズも確認しておきます。

夫婦位牌を用意するタイミング

夫婦のどちらかが亡くなった時に作り、もう片方が亡くなった時に戒名等を追記するケースと、最初は1人用の位牌としておき、夫婦二人とも亡くなったタイミングで夫婦位牌に作り変えるケースがあります。

文字の入れ方

交差型と真裏型の2種類があります。交差型は表面・裏面どちらも、向かって右側に男性の名前、左側に女性の名前を入れる方法です。真裏型は、表面は向かって右側に男性の名前、左側に女性の名前、裏面は向かって右側に女性の名前、左側に男性の名前を入れる方法です。
よく使われるのは真裏型です。

位牌の供養

位牌をまとめる際には、古い位牌と新しい位牌の供養をする必要があります。供養は、僧侶に自宅まで来ていただくか、菩提寺に今まで使っていた複数の古い位牌と新しい1柱の位牌を持っていって執り行われる儀式です。

位牌の閉眼供養

まず位牌をまとめる場合には、これまで使っていた位牌から故人の魂を抜いてもらう閉眼供養をする必要があります。
この儀式は宗派や地域によって、お性根抜き(おしょうこんぬき)や「魂抜き」など色々な名前で呼ばれます。

古い位牌の処分

閉眼供養をした後の古い位牌は、そのままお寺で処分していただくことも可能です。
その場合は「お焚き上げ」という焼却処分がされます。

位牌の開眼供養

新しく作った位牌は開眼供養をすることで、初めて真のお位牌としての役割を持つようになります。
閉眼供養の時の反対で、僧侶に位牌に故人の魂を入れていただきます。

記録のための過去帳の用意

位牌は先祖様の記録の役割もあります。先祖位牌に合祀すると記録がなくなるため、別に過去帳をつくり戒名や没年月日、俗名を写しておきます。

位牌の費用

位牌にかかる費用は位牌の種類や素材、装飾によって異なります。
一般的な相場としては1~5万円程度ですが、デザインをこだわったりすると青天井に高くなることもあるので注意しましょう。
また、閉眼供養や開眼供養の際には僧侶に対して1万円程度のお布施も支払わないといけません。

位牌まとめの準備

位牌まとめをするためには、まず先祖の位牌がどの程度あるかを確認します。また、仏壇の大きさも確認しておきます。
お墓と位牌を守る立場であれば、位牌まとめが必要と思われたら近親の年長者の親族などに相談します。
また、必要に応じて位牌まとめについて菩提寺の住職にも相談します。

まとめ

位牌まとめとは、先祖の位牌が増え仏壇が狭くなった時などに、位牌を1つにまとめることです。
位牌をまとめる方法としては「先祖位牌」「回出位牌」「夫婦位牌」があります。位牌を1つにまとめるのは縁起が悪いようにも考えられますが、そうではありません。
ただし開眼供養と閉眼供養はしっかりしておきましょう。

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