家族葬で親戚はどこまで呼ぶべきか
近年、「家族葬」を希望する人が増えています。家族葬の場合、基本的に参列するのは親戚やごく親しい友人だけになります。
しかし、どこまでを親戚として葬儀に呼ぶべきかは、明確な定義がありません。訃報を連絡する範囲も個人の自由となり、喪主または故人が普段から親戚として付き合いのある範囲が基本となるでしょう。
一方で、家族葬では「法律上の親族」には声をかけるべきという指摘もあります。法律で親族は「6親等内の血族、配偶者、3親等内の姻族」のことをいいます。血族は親子や祖父母孫の関係で「血のつながり」があることを指し、姻族は婚姻によって親族となった義理の兄弟や親などのことを指します。
例えば、故人の配偶者の兄弟姉妹は、姻族としても2親等にあたるので対象となります。また、故人の甥姪も血族として3親等のため対象です。
広くみると、故人の兄弟の孫の配偶者も、3親等の姻族に含まれるため、親族にあたります。しかし、よほど親族間のつながりが強くない限り、3親等の姻族まで家族葬に呼ぶのは稀でしょう。
家族葬による葬儀の形式
家族葬では「無宗教葬」という形式があります。無宗教葬とは、宗教関係者を呼ばずに行う葬儀で、宗教的な儀式を行いません。「お別れの会だけにしたい」といった遺族や故人の希望によって行われます。
親戚や親しい友人しか参列しないことから、世間体を気にする必要がなく、無宗教葬でも理解が得られやすいのが大きな理由です。
また、通夜を省略する1日葬と家族葬を組み合わせた形式も人気を集めています。通夜を省略し、参列者も少ないことから、葬儀にかかる費用を大きく軽減できます。
家族葬で起き得る問題・トラブル
家族葬で葬儀を行う場合、親戚との付き合いのなかでトラブルが起きる可能性があります。以下に具体例を解説していきます。
香典と香典返し
家族葬で済ます旨を親族に連絡をすると、「香典だけでも」とお金を包んでくれる場合があります。また、参列できない代わりにと、花や供物が斎場に届けられることも少なくありません。
香典を受け取ればそのままというわけにいかず、香典返しが必要となります。家族葬では一般的な葬儀と異なり、参列者に直接香典返しを渡せないため、後に自身で郵送する必要があります。
葬儀社に名簿を渡して対応を任せることもできますが、一言添えてとなると、一人ひとり対応しなければなりません。
香典をいただくほどその手間が増え、結果的に数十枚にわたる手紙を書くことになり「普通の葬儀よりも大変だったのでは」と感じることも少なくないようです。
お寺とのトラブル
家族葬で無宗教葬を執り行う際は、あらかじめ故人が懇意にしているお寺(菩提寺)がないかを確認しておきましょう。
とくにお墓などの供養を任せている場合、葬儀を無宗教葬で済ませてしまうことで、お寺との折り合いが悪くなる可能性もあります。
想定よりも費用が高額
家族葬形式は、祭壇や供物、返礼品などを合わせると100万円程度の費用が必要となります。
基本的に家族葬は一般的な葬儀と同じ流れになるため、費用面のメリットを期待し過ぎると肩透かしを食らうかもしれません。費用を抑えたいのであれば、1日葬で通夜を省略するなど、儀式の省略も検討したほうがよいでしょう。
親戚の参列に関するトラブル
家族葬で親戚はどこまで呼ぶべきかについて、明確なルールはありません。そのため、喪主が必要ないと判断しても、親戚は参列を希望していたといったすれ違いが頻発しています。
参列者の選定は、後々の親戚付き合いが悪くなるなどのトラブルにつながりかねません。喪主と親戚のあいだでトラブルが生じないように、できれば生前のうちに本人の口から家族葬で済ます旨を伝えておきましょう。
まとめ
家族葬はまだ歴史も浅く、どこまで親戚を呼ぶかは個人の判断に任せられています。究極的に「呼ぶ・呼ばない」のトラブルを回避するには、すべての親戚を呼ぶしか方法がありません。
ただ、本人が生前のうちから直接その意思を伝えておけば、よほどのことがない限りトラブルに発展しないでしょう。