預貯金の管理で終活がスムーズに
老後の生活や亡くなった後のことを考える「終活」。
終活と聞くと、いらないものを処分したり、老後のライフプランをたてたりするなど身辺整理を想像しますが、それだけではありません。
定年退職後は、毎月年金での生活になります。
会社員か自営業か、夫婦共働きかどうかで年金の受給額は変わってきますが、昨今の年金問題や退職金の有無など、さまざまな要素から年金だけで生活していくのは困難だと言われています。
そのため、老後の資金確保を視野に入れた終活が必要になるのです。
今回は、お金の終活についてお話します。
預貯金をしっかり管理することが、終活をスムーズに行うための第一歩です。
老後の不安を解消するためにも、お金の終活を始めてみましょう。
銀行口座を整理しよう
お金の終活を始めるにあたり、まず大事なのは持っている銀行口座を把握することです。
最初に持っている通帳やカードを集めてみましょう。
よく使う口座だけでなく、昔使っていた口座や、ネット銀行も全て集めます。
使っていないものと使うものに分け、使っている口座はなるべく1つにまとめられないか検討してみてください。
光熱費や保険などまとめるために、引き落とし口座の変更をして必要最低限の口座で済むようにしましょう。
使っていない口座は、なるべく早めに解約をします。
亡くなってから解約をする場合、家族は必要書類の準備や手続きに時間がかかり、解約手続きがスムーズに行えません。
自分で解約をするのが一番早いので、生前のうちに不要な口座は解約をしておきましょう。
手続きは金融機関の店舗にて直接行えます。
また、使用している口座の住所や連絡先の変更ができているかのも確認もしておきましょう。
引っ越しなどで、口座に登録している連絡先を変更しないままにしているケースが多くあります。
10年間取引がなく、名義人と連絡がつかない口座は「休眠預金等活用法」によって、民間公益活動に活用されてしまうので、必ず口座の連絡先を変更しておきましょう。
銀行口座の整理ができたら、エンディングノートなどに口座の詳細を明記します。
銀行名、支店名、何が引き落とされているのかなど用途も詳しく書いておきましょう。
そうすることで、家族はあなたが持っている口座を把握することができます。
ただし、暗唱番号や印鑑に関しては、第三者への漏洩を防ぐために明記しないように注意しましょう。
借金の管理も忘れずに
相続開始日(亡くなった日もしくは亡くなった日を知った日)から3ヵ月以内に裁判所に申請をすると借金を放棄(相続放棄)が可能です。
そのためにも、家族に自身の借金について明確に伝えておくことが大切です。
現時点のもので大丈夫なので、リスト化してしっかり管理しておきましょう。
保険の整理、見直しも大切
銀行口座同様、保険もすべて集めて整理と契約内容の見直しをしましょう。
保険にはさまざまな種類があります。
- 損害保険関係・・・火災保険、自動車保険、地震保険など
- 生命保険関係・・・終身保険、個人年金保険、学資保険など
- その他 ・・・医療保険、がん保険、民間介護保険など
保険は契約した当時のままにしがちですが、現在の生活に合ったプランにすることが大切です。
必要のないものは解約し、不足しているものを追加するなどしてライフスタイルに合わせた保険内容にしましょう。
整理ができたらエンディングノートなどに保険会社、保険の種類や契約内容など書いておきます。
保険証券の保管場所も家族がわかるようにしておきましょう。
老後の資金をシミュレーション!お金の管理を簡単に!
老後に必要な生活費は月27万円前後だといわれています。
最低でも22万円が必要になり、余裕のある暮らしをしたい場合は32万円以上が必要です。
これに対し、年金がいくらもらえるのか、いくら貯金しておけばいいのか、不安はたくさんあるでしょう。
安心して暮らすために、あらかじめ老後に必要な資金をシミュレーションしておくことは大切です。
お金の管理を簡単にするために、何歳まで生きるかを考えて、お金の計画を立てましょう。
もらえる年金はいくら?
夫婦2人、共に会社員で働いていた場合にもらえる金額は、2人合わせて月22万円ほどです。
自営業の場合は1人あたり6万円ほどと、一気に少なくなります。
前述の通り老後に必要な生活費が月27万円なので、公的年金だけでは生活できないことがわかります。
退職金や貯金、保有している金融資産などで補っていく形になりますが、最近では退職金のない会社や、生活にゆとりがなくて貯金にまで手が回らない家庭が増えているのが現状です。
老後資金はどのくらいあれば安心?
老後に必要な資金は、最低でも2000万円といわれています。
公的年金だけでの生活では毎月3~6万円ほどの赤字になり、その分を貯金などから補わなければなりません。
しかし、実際に老後資金を貯められるようになるのは子どもが独立する頃になるので、50代くらいから貯金を始める家庭がほとんどです。
退職金のない会社も増えており、定年までの短期間に2000万円を貯めることはとても難しくなります。
また、日本の平均寿命は、男性81歳、女性87歳で、人生100年時代ともいわれている昨今。
家をリフォームする、施設に入るといった老後の暮らし方でも必要資金は変わってきます。
病気や入院に備える必要もあり、少しでも早くから老後資金を貯めなければなりません。
何歳まで生きるのか、どんなライフスタイルなのかを想定したお金の計画を立てることが重要です。
土地や不動産などの金融資産や商品を持っておく、資産を把握しておくなど、早くから老後資金のシミュレーションをしておきましょう。
家族に遺したい遺産も決めておく
老後資金で不安がありますが、できれば家族にも遺産を遺したいですよね。
まずは保有している財産を把握しましょう。
持ち家や土地、株や投資信託など、少しでも遺すものがあるか確認します。
それらを家族に相続する場合、手続きが必要になるのであらかじめ書類の用意をしておきます。
書類によっては使用期限が設けられていますが、一度揃えておくことでかんたんに再請求することができるので手続きに手間がかかりません。
また、誰が、どれだけ相続するかを伝えるために必ず遺言書を作っておきましょう。
誰も財産を把握していない、遺言書がないといったことになると、財産がどれだけあるのかを調べる財産目録を作る必要があり、かなりの時間を有します。
家族に負担がかかってしまうので、あらかじめ遺したいもの、金額などはっきり決めておきましょう。
終活はお金の管理も大切!
資産額がわからないまま生活をするのは、老後破産の可能性もありとても危険です。
だからといって不安のあまり遺しすぎるのも、もったいないといえるでしょう。
大事なのはお金をしっかり管理して、いくら持っているのか、使えるのかを把握すること。
財産を把握することで、老後のライフプランを立てられるようになります。
また、自身のお金についてエンディングノートなどでリスト化しておけば、亡くなった後に家族が困ることがありません。
銀行口座がいくつあるのかわからない、ローンがあるなんて知らなかったとなると、家族は手続きに追われてしまい、迷惑がかかります。
そういった負担をなくすためにも、お金の終活をして、将来設計を立てておきましょう。