民間の介護保険には加入すべき?

保険

はじめに

介護保険といえば国が提供している公的介護保険が一般的ですが、最近では民間企業が独自の介護保険の販売を開始しています。

国の公的介護保険だけでは老後の介護や支援が心配な人向けの保険商品となっていますが、近年の少子高齢化や長寿命化によって介護に関する問題は全ての人に起こりうる普遍的な物になりつつあります。

そこで今回は民間企業が提供している介護保険について解説していきます。

民間企業の介護保険が注目される理由

民間の介護保険には加入すべき?

近年になって民間企業の介護保険が注目されているのには理由があります。

というのも、2019年時点の日本人の平均寿命は約84歳となっており、ここ20年間で3歳程度も伸びています。一方で介護や支援を必要としない健康寿命の平均は約74歳なので、平均寿命から健康寿命を差し引いた約10年間は何かしらの介護や支援が必要という事になります。

また実際に介護が必要になれば介護費用として毎月約7.8万円を捻出しなければいけません。

もちろん、これらのデータは平均的な物なので個々人の健康状態などによって変化しますが、介護や支援が必要になるリスクは少なからず誰にでも存在します。

そのような時に公的介護保険のみだとカバー出来ない部分が出てきてしまうのではないかという不安を多くの人が抱えているので、早い段階から介護に備える事が出来る民間企業の介護保険が普及しつつあります。

民間企業の介護保険の基準

民間企業の介護保険は独自の基準を採用している所もありますが、一般的には公的介護保険の基準を流用している場合が多いです。

公的介護保険はコンピュータによる一次判定と専門家による二次判定の結果を合わせて対象者がどの程度の支援や介護を必要としているかを判断します。ただ実際の調査項目や判定方法は公表されている物よりも圧倒的に複雑で多岐に渡ります。

なので民間企業の介護保険を利用したいけれども、どういうタイミングで保険金が貰えるのか分からない人は相談窓口でしっかりと確認するようにしましょう。

民間企業の介護保険のメリット

民間企業の介護保険は保険金を現金として受け取れるという点が最も大きなメリットになります。公的介護保険を利用するにしても1~3割の自己負担は発生するので、そういった費用を保険金でカバーする事が出来ます。

また保険によっては公的介護保険が定める疾患や障害以外も保障の対応になっている事がありますし、加入の年齢制限もないので早い段階から介護に備えたい人によってはメリットが大きいです。

民間企業の介護保険のデメリット

民間企業の介護保険を利用するデメリットとしては、保険料の負担が通常よりも大きくなるという事です。また保険金の支払い基準などが公的介護保険の要介護基準と連動している場合は、要介護認定が通らないと保険金やその他の保障を受ける事は出来ません。

公的介護保険と民間企業の介護保険の違い

民間の介護保険には加入すべき?

介護が必要な人に対して保障やサポートを提供するという意味では公的介護保険と民間企業の介護保険には大きな違いはありませんが、実際の保障内容や保険金を受け取るための要件などは異なっています。

民間企業の介護保険は現金給付型

公的介護保険は支払った保険料によって各種介護サービスを利用する事が出来るので現物給付型という扱いになりますが、民間企業の介護保険は保険料を保険金として受け取るので現金給付型に分類されます。

保険料を受け取る事が出来るタイミングは各企業によって違いますが、基本的には被保険者が要介護状態になった段階で契約時に指定した受取人が現金を受け取る仕組みとなっています。

契約時の年齢が不問

公的介護保険は40歳にならなければ加入出来ない上に、介護サービスの利用には要介護認定が必要だったりと色々な制限が存在します。

一方で民間企業の介護保険は40歳未満でも契約が可能な事が多いですし、保険金の受け取りにも年齢制限がありません。最近では公的介護保険の基準を用いずに、独自の基準を使用した保険商品も登場しているので、相対的に民間企業の介護保険の方が柔軟な対応が望めます。

また民間企業の介護保険の多くは一生涯に渡って保障を行う終身型なので、一度契約を結べば自分が亡くなるまで安定した保障を受ける事が出来ます。

民間企業の介護保険の種類

民間の介護保険には加入すべき?

民間企業の介護保険は保険料重視の掛捨型と貯蓄性の高い積立型に大別されます。

掛捨型

掛捨型の介護保険では満期保険金や解約の際の払戻金などは貰えませんが、その分月々の保険料は安く設定されています。

また保険自体の仕組みも分かりやすく、保険金の受け取りに複雑な条件もないのでシンプルな保険を希望している人に向いています。

積立型

介護保険と生命保険がセットになっており、介護に関する保障だけでなく被保険人が死亡した際には死亡保険金が支払われます。

条件を満たせば掛捨型よりも多くのお金を受け取る事が出来ますが、その分保険料は割高になります。

民間企業の介護保険の必要性

民間の介護保険には加入すべき?

民間企業の介護保険に加入するべきかどうか悩んでいる人は多いと思いますが、実際のデータを見ると判断がしやすくなります。

年代別の介護リスク

支援や介護が必要になるリスクについては生命保険文化センターが以下のような年代別データを発表しています。

40歳~64歳:0.4%

65歳~69歳:2.9%

70歳~74歳:5.7%

75歳~79歳:12.8%

80歳~84歳:27.8%

85歳~  :60%

上記のデータを見てみると、70歳から徐々に介護リスクが高まり、85歳以上になると半数以上が要介護の状態になっています。

一方で74歳以下の介護リスクは20人に1人と少ない上に、介護費用の平均総額が約430万円という事を考えれば、現役時代に老後の生活費とは別に介護費用を貯蓄出来るのであれば公的介護保険のみで大丈夫という事になります。

ただ介護が必要になる理由の多くは、認知症や脳血管疾患のように日々の生活や健康管理だけでは防げない物であり、ある日急に支援や介護を受けなければ生活が出来なくなる可能性はあります。

公的介護保険の保障内容

公的介護保険では要介護度に応じて利用できる介護サービスや自己負担の割合が変化します。なので民間企業の介護保険を検討する前に、まずは公的介護保険でどれだけの金額を自己負担する必要があるのかを確認しなければいけません。

もし自己負担額が将来の自分の経済状況や収入で支払えるのであれば民間企業の介護保険に加入する必要はないですし、不足分が発生するにしても少額で済む場合は掛捨型のように月々の保険料が安い保険商品でも問題ありません。

また配偶者や子供などに介護を依頼出来る場合は介護にかかるコストは更に少なくなるので、そういった可能性も考慮しながら加入の是非について検討するようにしましょう。

まとめ

今回ご紹介した通り、民間企業が提供している介護保険は上手く活用すれば公的介護保険ではカバーできない部分を補完する事が出来るので非常に魅力的な保険商品となっています。

ただ保障やサポートの内容は各企業によって違うので、しっかりと自分の状況を踏まえて比較検討をしながら慎重に判断するようにしましょう。

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